ハイブリッドワークライフ 浅沼宏和

個人のライフスタイルの新しいコンセプトして「ハイブリッドワークライフ」を提唱する㈱TM…

ハイブリッドワークライフ 浅沼宏和

個人のライフスタイルの新しいコンセプトして「ハイブリッドワークライフ」を提唱する㈱TMAコンサルティングの浅沼宏和です。 マネジメントに関するさまざまなコンセプトや情報を発信していきたいと思います。

最近の記事

イノベーションとは最新技術のことではない

イノベーションというと最先端の技術革新によって成し遂げるものといったイメージがあります。 スタートアップの世界でも、「なんとかテック」とか「なんとかDX」みたいな言葉が大流行りです。しかし、「イノベーション=最先端技術」というイメージは間違いで、最先端技術はイノベーションの引き金の一つでしかありません。 経営学者のP.F.ドラッカーは、イノベーションについて「すでに存在するものを、はるかに生産的な新しい一つの全体にまとめるために欠落した小さな部品を見つけ、その提供に成功す

    • 苦情とクレームー基準が決まれば管理できる。

      労働災害に関して「ハインリッヒの法則」という物の見方があります。死亡事故1件の背後には29件の傷害事故があり、さらにその裏には300件のヒヤリ・ハットがあるという考え方です。「死亡事故が起きた以上、日常的にヒヤリ・ハットを見落としていたはずだ」と考えるのです。 管理レベルの低い組織ではそうした状況が放置されています。逆に管理レベルの高い組織ではヒヤリ・ハットを見落とさないような意識づけが行われています。意識するだけで結果は大きく異なります。 管理の基本は再発防止です。管理

      • 「楽観的な人」な人は楽観的ではない。ネガティブな思考にうまく対処しているだけ。自己肯定感の低さにどう対処するか?

        著名な心理学者・アドラーの提起した「劣等コンプレックス」という概念があります。 劣等感と似ていますが、健全な劣等感が前向きな努力の原動力になるのに対し、劣等コンプレックスは努力を避ける方向に働きます。 「テストで友達が90点、僕が80点だった。よおし、次は負けないぞ」と考えるのが健全な劣等感です。これに対し、例えば、「友達が90点、自分は25点だった。オレ、まだ本気出してないだけ」と考えるのが劣等コンプレックスです。努力するのではなく、つらい現実をごまかすことに意識が向い

        • 「副業」から「複業」の時代へ。しかし、「キャリア」の本当の意味が抜けている。

          「副業」という言い方に加えて、近年、「複業」という言葉が使われるようになりました。 「副業」とは本業の合間にちょっとしたアルバイトをするような意味の言葉です。本業に比べ、責任が重くない仕事を指すことが一般的です。 これに対し、「複業」とは、複数の本業を持つことです。「副業」という軽い表現では、仕事を取り巻く環境変化をうまく説明できません。「複業」という言葉の登場は、ワークライフについての新しい時代の到来を象徴しています。 しかし、「複業」という言葉は個人のキャリアを考え

        イノベーションとは最新技術のことではない

          ミスは無くし、失敗は適切に増やす。 その1:ミスはなぜ起きるのか?

          ミスとは「正しくない」ということです。正しくないので無くさなければなりません。これに対し、失敗は「成功できなかった」という意味です。成功するためにたくさんの失敗が必要になることは多いのです。ミスは無くし、失敗は適切に増やすものなのです。 エジソンが電球を発明する際に、6千種類の素材を実験して日本の竹が最適であることを発見しました。実験の99.9%以上が失敗に終わったわけですが、その失敗は必要なものでした。成功するためには適切に失敗することが必要です。 日常的な仕事や活動の

          ミスは無くし、失敗は適切に増やす。 その1:ミスはなぜ起きるのか?

          成果の上がる人間関係、コミュニケーション

           ドラッカーによれば、仕事上の人間関係の良い悪いは成果の有無で判断します。和気あいあいとして、楽しい会話があっても成果があがらなければ「不毛な関係」なのです。  多くの人は、仕事上の人間関係とプライベートでの関係を混同しています。そのため、成果のあがる人間関係を築けないのです。  人気お笑いコンビは仲が悪いことが多いそうです。ドラッカーの考えでは、彼らに人気があり、TVのゴールデンタイムにたくさん登場するようであれば、たとえ二人の仲が悪くても、その人間関係は「良好」といえる

          成果の上がる人間関係、コミュニケーション

          独自性はどう作る? -イノベーションの原則とは-

          社会を生き抜くには競争戦略を持つことが大切です。競争戦略とは「ライバルと競争しない戦略」のことです。ポイントは「独り占め(独占・寡占)」です。こうした独占状態を競争優位と言います。 小さな組織や個人の場合、特定の狭い領域で独占的な立場を得ることで競争を避けることができます。つまり、競争優位が得られるのです。そのような競争優位はライバルにマネされにくく、さらに、顧客や社会にとって意味のある独自性を発揮することで得られます。 では、そのような独自性はどのようにすれば得られるの

          独自性はどう作る? -イノベーションの原則とは-

          競争戦略とは”競争しない戦略”のこと。 生き抜くためには競争戦略は大切。

          組織や個人が市場や社会を生き抜く話をします。 経営学の中にマイケル・ポーターが提唱した「競争戦略」という理論があります。 名前だけを聞くと、厳しい競争を勝ち抜くための秘訣と思う人もいるかもしれません。実際には「競争戦略」とは“競争しないための戦略”です。どうすれば競争せずに生き抜けるかを考えるための原則なのです。 では「どうすればライバルと激しい戦いをせずに収益をあげられる」のでしょうか。 ポイントは「独り占め」です。業績の良い企業は市場において「独占」もしくは「寡占

          競争戦略とは”競争しない戦略”のこと。 生き抜くためには競争戦略は大切。

          プロ棋士の強みは直感力、藤井聡太竜王の強みはひらめきの力

          将棋の渡辺明・前竜王と脳科学者の池谷裕二先生との対談の中でひらめきと直感の違いについて、次のような説明がありました。 「ひらめき」は理詰めに近く、勉強することで生まれます。「直感」には「なんとなく」わかる、という特徴があります。 ひらめきは大脳新皮質、直感は大脳基底核という異なる脳部位から生まれますので、脳の働き方のタイプが違うのです。「ひらめき」は理由が説明できますが、「直感」では理由が説明できません。 将棋のプロ棋士たちは、「こんな場面では、この手が“筋”なんだ」と

          プロ棋士の強みは直感力、藤井聡太竜王の強みはひらめきの力

          「ひらめき」は理由が言える、「直感」は理由が言えない

          「ひらめき(inspiration)」と「直感(intuition)」は違います。ひらめきは理由の説明できる思いつき、直感は理由が説明できない思いつきです。例えば、数学の問題の解き方を思いつくのはひらめきで、「あいつが怪しい」という刑事の第六感は直感です。  ひらめきと直感では使用される大脳の部位が違います。ひらめきは大脳新皮質の働き、直感は大脳基底核の線条体という部位による働きです。線条体は運動を司る部位でもあり、深く考えなくても歩く、走る、箸を使う、自転車に乗る、といっ

          「ひらめき」は理由が言える、「直感」は理由が言えない

          マネジメントとは経営すること、では、経営とはマネジメントすること?

          マネジメントとは何かと尋ねられると「経営することです」と答える人がいます。 その人に、「では、経営するとは何ですか?」と聞くと「そりゃマネジメントすることですよ」と言ったりします。なんだかおかしいですね。 このように堂々巡りする説明を「循環論法」といいます。実は、循環論法は日常生活でもよく見かけます。 例えば、騙されていそうな人に、「どうしてそんな話に乗ったの?」と聞くと、「だってAさんは信用できる人だから」と答えます。「どうして?」と聞くと、「Aさんはいい人だから」と

          マネジメントとは経営すること、では、経営とはマネジメントすること?

          ただ見ているだけで、観察していない  ‥シャーロック・ホームズ

          「君は見ているが観察していない」 玄関から2階の部屋に向かう階段の段数を聞かれて答えられなかったワトソン博士に、シャーロック・ホームズがかけた言葉です。(『ボヘミアの醜聞』より) 「観察」とは「観る」ことによって気づくことです。「見る」と「観る」の違いは意識的に行うかどうかです。「観る」とは『意識的に「見る」』ことです。 「観る」ことによってさまざまな気づきが得られます。「見る」人が気づかないことを「観る」人は気づくのです。その結果、判断や行動が変わります。 ある時、

          ただ見ているだけで、観察していない  ‥シャーロック・ホームズ

          「グループ」とは人の集まり、「チーム」とは目的を持った人の集まり

          「チーム」には目的が必要です。目的がなければ単なる人の集まり、つまり「グループ」です。共通の目的の元に結束するのが「チーム」、各人がバラバラの状態がグループです。 小学校で新しい学年になるとクラス分けが行われます。新しいクラスは、まだ人が集まっただけの状態、つまり「グループ」です。 学校生活の中で、子供は「クラスをよくするため」に色々な役割を分担していきます。例えば、学級委員、給食当番、生き物係、図書係‥‥などです。 また、放課後にはみんなで掃除をします。運動会ではクラ

          「グループ」とは人の集まり、「チーム」とは目的を持った人の集まり

          チーム型組織は3つのタイプに分けられる

          ドラッカーは組織には二つの基本形があると述べています。二つとはチーム型組織と職能別組織(機能別組織)です。 ドラッカーは、チーム型組織を「マンモスを狩るための組織」と名づけました。原初的な組織形態であり、状況変化に柔軟に対応できますが、効率性に欠けるという弱点があります。 これに対し、職能別組織は「ピラミッドを造るための組織」と呼ばれ、固定的・反復的仕事を効率的に行うのに適しています。しかし、状況変化に柔軟に対応するのには向いていません。 会社の名刺には、営業、企画、開

          チーム型組織は3つのタイプに分けられる

          解決不能であれば「問題」ではない、「課題」がなければ成長できない

          「問題」とはあるべき姿から外れている状況を指します。一言にまとめると「正常とのギャップ」です。 「問題がある」つまり、「正しくない」と判断するには、何が正しいのかがわかっていなければなりません。あるべき姿が曖昧であれば問題は目に見えません。 ところで、地球温暖化や先進国の少子高齢化は「問題」でしょうか。もし、自分が努力したり、行動することで解決できたり、よい影響を与えることができるのであれば「問題」と言えます。 しかし、「どんなに頑張っても何の変化も起こせない」と考える

          解決不能であれば「問題」ではない、「課題」がなければ成長できない

          「チーム」は組織だが、「グループ」は組織ではない

          「チーム」はドラッカーが「マンモスを狩るための組織」と呼んだように、原初的な組織形態です。これに対し、「グループ」は組織ではありません。 「グループ」とは、一定の基準や条件を満たした人の集まりのことです。ただ人が集まっているだけですから、「グループ」は組織でありません。組織と言えるためには共通の目的が必要なのです。 「マンモスを狩るための組織」では、「マンモスを狩る」ことが共通の目的です。この目的のために、各人に役割が与えられます。それぞれの人は自らの役割を果たすことで「

          「チーム」は組織だが、「グループ」は組織ではない