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ただ見ているだけで、観察していない  ‥シャーロック・ホームズ

「君は見ているが観察していない」

玄関から2階の部屋に向かう階段の段数を聞かれて答えられなかったワトソン博士に、シャーロック・ホームズがかけた言葉です。(『ボヘミアの醜聞』より)

「観察」とは「観る」ことによって気づくことです。「見る」と「観る」の違いは意識的に行うかどうかです。「観る」とは『意識的に「見る」』ことです。

「観る」ことによってさまざまな気づきが得られます。「見る」人が気づかないことを「観る」人は気づくのです。その結果、判断や行動が変わります。

ある時、米国のホワイトハウスの建物をレインボーカラーにライトアップするイベントがありました。ホワイトハウスは左右対称の建物です。そこに虹色の光を当てるのです。

ところが、不思議なことが起きます。色の帯が建物の左に3色、右に3色と左右対称になっているのです。7色であるならば真ん中に一本、色の帯が入るはずですが、それがありません。実は、欧米では「虹は6色」と考える人が多いのです。ですから、左右対称の色の帯になったのです。

「虹は7色」という常識は日本特有のものです。しかし、そのイベントの様子を見て違和感を持つ日本人は少ないのです。その写真を見せて「何か気づきませんか?」と聞いてもほとんどの人は気づきません。見ているだけで、観てはいないのです。

虹が7色であれば子供用のおもちゃのピアノの鍵盤を虹色にデザインする発想が可能です。音階はド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シの7音階の反復だからです。このデザインは欧米の人では思いつきにくいはずです。

「見る」ではなく「観る」ことは大切です。しかし、「観る」ことについてはレベルの差が生じます。ホームズのようなレベルで「観る」ことはとても難しいでしょう。それでも、「見る」と「観る」の違いを意識し続ける必要があります。


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