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チーム型組織は3つのタイプに分けられる

ドラッカーは組織には二つの基本形があると述べています。二つとはチーム型組織と職能別組織(機能別組織)です。

ドラッカーは、チーム型組織を「マンモスを狩るための組織」と名づけました。原初的な組織形態であり、状況変化に柔軟に対応できますが、効率性に欠けるという弱点があります。

これに対し、職能別組織は「ピラミッドを造るための組織」と呼ばれ、固定的・反復的仕事を効率的に行うのに適しています。しかし、状況変化に柔軟に対応するのには向いていません。

会社の名刺には、営業、企画、開発、生産などといった部署名が肩書として記載されています。その肩書は職能別組織における位置づけをあらわしています。ある程度固定的な役割であるため、名刺に記載できるのです。

多くの組織はこの二つの基本形を組み合わせてできています。そして、チームの形態に固定的な要素がどの程度入り込むかでいくつかのタイプに分けることができます。

ドラッカーはチーム型組織を柔軟性の程度に応じて、野球型、サッカー型、テニスのダブルス型の3つに分類しています。

野球型組織とは、各人の役割が明確に分かれている組織です。それぞれの役割については各人が責任を持って行う必要があり、互いに直接助け合うことはできません。ピッチャーやバッターの仕事が一人で行われることを考えるとわかりやすいでしょう。

ドラッカーは、高度な外科手術を行うチームは野球型に分類されると説明しています。手術計画に基づいて、さまざまな職能の人たちが一堂に会してチームを組んでいるところが職能別組織の要素を多分に反映しているからです。

次に、サッカー型組織とは、各人の役割は決まっているものの、お互いの役割を常に調整し続けて仕事を行っていく必要がある組織です。つまり、チームプレイが強く求められるのです。野球型組織に比べて柔軟性に富んでいます。

ドラッカーは、オーケストラもこのタイプの組織であり、また、病院の救急チームの仕事がこのタイプであると述べています。

サッカー型の組織では、監督や指揮者、つまりリーダーが必要になります。また、共通の戦術、楽譜が必要になります。チームワークさえよければ野球型組織よりも柔軟で迅速な行動が可能になります。

そして、テニスのダブルス型組織とは、各人が高度に自立し、お互いに強みを生かし、弱みをカバーする組織です。ドラッカーは、少数編成のジャズ・バンドや企業のトップマネジメント・チームがこの組織形態に当たると述べています。

少人数でしか機能しない組織形態ですし、各人には高度な能力と自立性が求められます。ドラッカーはチーム型組織の中では、テニスのダブルス型組織が最強のチーム形態であると述べています。しかし、組織が機能するまでには長い間の調整期間が必要になるとも指摘しています。チーム作りが最も大変な組織形態だということです。

ドラッカーは、これらチームの3つのタイプは全く異質であるがゆえに併用はできないと考えました。そして、仕事が高度になるほど、サッカー型、テニスのダブルス型への移行が必要とされるようになると指摘しています。

近年、「ティール組織」がもてはやされていますが、ドラッカーのテニスのダブルス型組織の応用型として見ると理解しやすいかもしれません。最新のマネジメント理論に見えるものも、古くから原型は存在している場合が多いのです。

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