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身近にファンタジーが落ちていた話。


10年ぐらい前の出来事。
当時インフルエンザが大流行している最中、長女(推定7歳)が高熱を出したので、街の小児科に連れて行く事になった。



プリキュアを崇拝する次女(推定4歳)も一人で家に残しておくわけに行かず、一緒に連れて行く事に。車で20分ぐらいの、かかりつけの小児科まで連れて行ったのですが、評判が良い病院にプラスしてインフルの大流行で、待合室は必要以上に混み合ってました。


仮に長女美(チョジョミ)がインフルエンザだった場合、他の患者さんに感染させてしまうのも非常にご迷惑な話なので、みなさんが座っている長ソファーには座らず、ちょっと離れた所で立って待つ事にしました。


待てども待てども、中々呼ばれず、次女子(ジジョコ)も痺れを切らして来た時、ようやく順番が廻って来ました。


ヒヤマさーん、お入りくださーい。



呼ばれたは良いが、いざその時が来ると、一転 躊躇する2人。さっきまでの早くしろモードは一体どこへ行ってしまったのか?まるで、メデューサにでもガン見されたかのように体が固まっている。まぁ実際は、メデューサに睨まれてるわけでも無く、前世が片栗粉だったわけでも無く、良くある幼児あるあるで、単純に病院が苦手なだけである。

言わすもがな、今回、別に次女子(ジジョコ)は何をされるわけでも無いのだが、ひと際緊張した表情をしている。まるで合否結果を待つ、新弟子力士のような面持ちのそれである。


ガラガラガラ

病院特有の横開きの扉を開け、診察室に入って行く3人。


何故か私も姉妹の緊張感に飲まれ、意を決して入室するその後ろ姿は、
アルマゲドンさながらの名シーンのようだ。


医者 「 今日は、どうされましたか? 」


昨晩からの長女美(チョジョミ)の症状と、高熱があるという事を端的に伝えました。


医者 「 なるほど、なるほど。では検査しましょうね。 」


ビクッ となる長女美(チョジョミ)。 長めの綿棒を鼻から突っ込まれたようだ。俄然、次女子(ジジョコ)の面持ちも、幕下とは思えないダイナミックさで、地上波で流せるギリギリのラインだ。


ズビッ

鼻フックをされたような状態で、涙目になる長女美(チョジョミ)。こちらも地上波で放映するのはギリギリのラインであろう。 なんてことはなく、ギリギリガールズの検査は無事終了した。そう、次女子(ジジョコ)は何もやられてはいない。


医者 「 結果が出るまで裏の部屋でお待ちくださいね。」


インフル感染のリスクを考慮し、一時的に別室に隔離&軟禁されたわけなのだが、彼女達からすると、監禁されようが何だろうが、そこは顔面ギリギリガールズ。2秒後には診察・検査という試練を乗り越えた反動で緊張感から解き放たれ、お構い無しにハッスルハッスルしていた。「元気」って書かれたトレーナーとかに合いそうだな。

しばらくするとお医者さんが入って来た。



医者 「 お父さん、残念なお知らせです… 」

親父 「 へ? 」

姉妹 「 む? 」

医者 「 …娘さん、陽性でした。 」



あらら… やっぱそうだったかと。完治するまでは家庭内感染しないようにせにゃならんので、いろいろと大変だなぁと思いつつ、でも早めに診察に来てまぁ良かったとポジティブに捉えるようにしました。


医者 「 他の患者さんがいらっしゃるので、お帰りはこちらからお願いしますね。 お大事に。 」


一般患者さんと接触しないように、こそこそと裏の出口からの退出を促される3人。さながらお忍びで高級料亭に来ている著名人のようだ。そんな雰囲気に浸りつつ、ふと次女子(ジジョコ)の顔を見ると、奥歯に紙粘土が詰まったかのうような、何とも言えない複雑な表情をしている。なんだ?パグの化身なのか?と思ったのは秘密だ。


親父 「 どしたの? もう病院終わりだよ。 」

次女 「 ……………。」

親父 「 あぁ、あんま姉ちゃんに近づいちゃダメだよ。 」

次女 「 …おねぇちゃんは、おねぇちゃんはさぁ… 」

親父 「 あぁ、しょうがないよ、こればっかりは。 」


次女 「 …妖精だったの!? 」




あっ ファンタジーみっけ 笑


「 …そうなんだ、内緒だぜ 」と言ったかどうか記憶が曖昧(たぶん言った)ですが、その後、自分に羽が生えて無いか複雑な表情で肩甲骨あたりを確認している次女子(ジジョコ)が印象に残ってます。



―― 蛇足ですが、そんな次女子(ジジョコ)の現在は、ギガママ(ギガンテス)、長女美(チョジョミ)の身長をごぼう抜きして、中学生ながらランキング1位に君臨しております。このままのペースで7mぐらいいって欲しいものですね。






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