感情が玉突き事故った話。
前回の記事が好評だった?ようなので、第二弾です。
もし良ければ、また読んでみてくださいー
またまた、10年ぐらい前の話。
年に1度、小学校にてバザーみたいな激アツイベントがあって、そのデビュー戦を楽しみにしていた長女(チョジョミ/推定7歳)。墨汁で顔面に「ワクワク」って書いてるようなハイテンションな顔つきだ。
イベントの概要を端的に言うと、各家庭にて不要になったオモチャや洋服などを持ち寄り/販売する、いわゆるフリーマーケットだ。しかも、学校主催なので、価格もあって無いようなもので、まさに激安のオンパレード。当然目利きによるプレミア価格設定など皆無なわけで、実行委員の親御さんのサジ加減(大きさとか汚れ具合とか)で適当に値付けがされる。
こんな感じなので、本催しには、お宝がゴロゴロ眠っているという訳だ。
うろ覚えだが、当時巷ではめったに手に入らない、妖怪ウォッチのメダルとかが10円とか20円で売っているイメーだったと記憶している。
無論、百貨店のイベントとかでは無いため、当然整理券などは無い。誰よりも早起きして、誰よりも先に並ぶの一択勝負だ。
弱肉強食を小学生用にアレンジした”早い者勝ち”というパワーワードが蔓延る。言い換えると”遅い者敗け” …まさに残酷な世の中である。
当日、出陣の朝。
年始恒例の西宮神社「福男選び」方式で、学校の昇降口前に集まる小学生の猛者たち。体力的に6年生と1年生では大人と子供ほどの開きがあるが、そこは同じ小学生、んなことはお構い無しだ。
ワサワサとうねる人海は、今では考えられないぐらいの超密状態。
しばらくすると、扉が一斉に開いた。
いけぇー!! ズドドドドドォー!!
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…戦いを終え、やり切った顔で長女美(チョジョミ)が家に帰って来た。
「 ご帰還、お疲れ様であります。」
”うむ” と言った表情で、嬉々として戦利品を床に並べる長女美(チョジョミ)。ひとつひとつ、購入した品を楽しそうに確認している。傍で観ている次女子(ジジョコ)の目もひと際輝いている。
まだ園児ではあるが、三輪車に足を掛け、現場に乗り込む気がマンマンなようだった。鼻息と共に、心のエンジン音をふかす音が聞こえて来る。
あれ??
確か300円ぐらいの軍資金を渡していたかと思うが、戦利品に対しての残額に誤差が生じているようだ。
…いくらか足りなくね?
小1という体力的に不利な状況、おしくらまんじゅう関東大会並みの超密度、早い者勝ちという弱肉強食な精神的プレッシャー。そして辻褄が合わない軍資金。 …不穏な要素しか見当たらない。
「どうしたの?お金足りないみたいだけど。」
「 ……………。」
俯いて黙秘権を行使している長女美(チョジョミ)。目も合わせず、何とも気まずそうな表情である。
ピーン
まさか、どさくさに紛れて上級生とかに巻き上げられたとか!? もしくは突き飛ばされて転んだ拍子に落としたとか!? 悪い想像はあっという間に加速し、心配に比例して確認の語気が荒くなる。
「 どした? 誰かに盗られたんか!」
「 ……………。」
「 黙ってても分からんぜよ!大丈夫でごんすか!」
東京出身だが、興奮してどこぞの方言も自然と混ざり合う。すると、ひたすら沈黙を保っていた長女美(チョジョミ)が突如号泣し出した。
「 うわぁぁぁあああん 」
「…やっぱそうかぁ 誰かに盗られたんだな!」
「 ゴベンナザイィぃぃぃ 」
後ろ手に隠し持っていたビニール袋から、ネックレスを2つ取り出した長女美(チョジョミ)
「 これも、買いましだぁぁああ 」
!?
へっ? 盗られたんじゃないの。。?
どうやらアクセサリー等は買わないようにと、事前に母から言われていたようだった。その金額50円×2。隠し通すつもりだったが、我慢の限界が来てゲロったようだった。
べっ、別にお小遣いの範囲内で何買おうがイイじゃん! …マ、マダムお似合いですよ。センス神じゃん。…こちらも怒ってるわけでは無かったので、必死に取り繕うしか無かった。
後から分かったのだが、
黙秘の理由は、単に買ってはいけない物を買って怒られると思ったから…
では無かった。
どうやら1つは自分用に、
もう1つは母へのサプライズプレゼント用だったそうだ。
(母親は、当時マイコプラズマ肺炎で1週間ぐらい入院してた)
あぁ それで黙ってたのね。
な、なんかスマソン。。
その事を土産話としてお見舞いついでに妻に話したら、シルバーバックみたいに、ゴホウホ笑い泣きしながら咳込んでた。+けたたましいドラミングで病院がちょっと揺れてた。
えっ? 聞きます?
ちなみに、父親には何も無かったですが、何か?笑 カリスマ性がダダ漏れしてるから近寄り難いんだろう、そうに違いない。きっとそうだ。
…なんとも複雑な気持ちになったって話でした。
完