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「1位じゃないと意味がない」のほんとうの意味

世の中には、1位を獲ることに対してこだわり続ける人たちがいます。そういった人たちによって、1位を獲ることの重要性が各所で叫ばれています。

実際、「1位じゃないと意味がない」「1位以外に価値はない」という言葉を、私は何度も聞いたことがあります。

また、「日本で1番目に高い山は富士山ですが、では2番目に高い山は何でしょうか?」と質問をして、「正解は北岳です。答えられた人は少なかったはずです。2番目は記憶に残らないので1番を目指しましょう」など答える、というような定番のやり取りを聞いたことも何度かありました。


ですが、「なぜ1位じゃないと意味がないのか?」「なぜ2番目だと記憶に残らないのか?」という、その先にある疑問については、あまり語っている人がいないように思います。

私は、以前からこの疑問をずっと胸に抱えたまま生きてきました。1位を獲ることの重要性を語っている人に、前述の疑問を投げかけたいところですが、そうすると「こいつなんでわざわざわかりきったことを訊いてくるんだ」とか、「ひねくれた考えをした奴が揚げ足を取ろうとしている」と思われて答えが返ってこないかもと不安になってしまい、なかなか気軽には訊けないのが正直なところです。

なので、「なぜ1位じゃないと意味がないのか?」「なぜ2番目だと記憶に残らないのか?」という疑問の答えを、自分なりに考えてみることにします。

1位じゃないと意味がない理由

スーパーマーケットに行くと、食品や日用品のパッケージに「売上No.1」とか「顧客満足度ランキング1位」という表示をよく目にします。モノで溢れている現代社会において、「No.1」「1位」というワードは確実に購買意欲を高めます。

「1位」というものには価値があります。なぜなら、2位以下のものよりも優れていることが間違いなく明らかになっているからです(順位の決め方がほんとうに妥当で、信用していい「1位」なのか、という議論もあるかと思いますが、割愛します)。

さらに、「1位」という価値は、不特定多数の人が認めてくれる客観性のあるものです。例えば、学校の定期テストで学年1位をとった生徒は、自分が学年1位であることが明らかになっていれば、普段全く話をしない相手からも、仲が悪い相手からも、少なくとも学校の勉強はめちゃくちゃできる人であることは認めてもらえるでしょう。

私が思うに、この「どんな人でも認めてくれる」という点こそが、「1位」が持っているほんとうの価値だと言えます。なので、「1位」を獲ることにこだわっている人は、おそらく何らかのランキングで頂点になることで、どんな人でも実力を認めてくれる存在になりたいと思っているはずです。

ですので、「1位じゃないと意味がない」というより、「1位になって初めて、誰もが認める存在になれるから、1位じゃないと意味がない」といった方が、より正確に意味が伝わるような気がしています。

2番目だと記憶に残らない理由

冒頭で"2番目に高い山"の例を出して、「2番目は記憶に残らない」という話をしました。しかし、世の中には2番目の方が記憶されている例もあります。

例えば、鳥取県にある鳥取砂丘は日本で2番目に大きな砂丘です。1番大きな砂丘は青森県の猿ヶ森砂丘ですが、おそらく有名なのは鳥取砂丘の方だと思います。

鳥取砂丘の方が有名な理由は、単純に鳥取砂丘の名前を見たり聞いたりした回数の方が多いからでしょう。鳥取砂丘は誰でも入れる鳥取県イチオシの観光地なので、周りの人との会話やテレビ・雑誌で取り上げられる機会も豊富にあります。一方、猿ヶ森砂丘はほぼ全域が防衛装備庁の試験場になっている立入禁止区域なので、話題には上がりにくいです。

この鳥取砂丘と猿ヶ森砂丘の例を見ると、「2番目だと記憶に残らない」というのは、必ずしも正しいわけではなく、例え2番目であってもやり方次第では広く記憶してもらえる可能性が残っていると言えます。


私が思うに、「2番目だと記憶に残らない」と言われてしまうのは、ランキングで2番目のものが各所で取り上げられる機会が少ないからではないかと感じています。私が普段見るのはNo.1の商品ばかりであり、「この商品はNo.2です!」という宣伝文句を見ることはまずありません。

「2番目だと記憶に残らない」というよりは、「2番目をウリにして、印象に残るようにアピールする手法がまだ確立されていない」と言った方が正確かも知れません。


しかし、今年に入って「日本No.2協会」なるものが発足し、No.2の価値を上げるべく活動しているようです。

もしかしたら、No.2のものをアピールする方法について研究が進んで、No.1の独壇場になっている世の中が少しずつ変わっていくのではないかと、私はこの協会の活動に期待しています。


参考:日本No.2協会 公式サイト
https://number2.fun/


まとめ

「なぜ1位じゃないと意味がないのか?」「なぜ2番目だと記憶に残らないのか?」という、私が個人的にずっと気になっていたことを、自分勝手に掘り下げて考えていきました。

考えた結果、「1位じゃないと意味がない」理由は「1位になって初めて、誰もが認める存在になれるから、1位じゃないと意味がない」からだと思っています。

また、「2番目だと記憶に残らない」理由は、「2番目をウリにして、印象に残るようにアピールする手法がまだ確立されていない」からだと考えています。

「日本で1番目に高い山は富士山ですが、では2番目に高い山は何でしょうか?」という話は、定番となっている感もありますが、その話で止まらずにその先を考えたかったので、思考を整理するいい機会になったと思います。