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ひゃくま
2021年9月28日 19:56
「んぁ……」 頭の近くに置いてあったスマホがピリリリ……とアラームを鳴らしていることに気付き半ば強制的に覚醒することになった。 なんとも清々しい朝である。 カーテンを開けてみれば、心地の良い晴天と冬場特有の冷気がさらに心身の覚醒を促した。 「あー……」 おはよう、という相手もおらず言葉にならない声を発した。 一人暮らしなのだから当たり前である。 だんだんと明確に覚醒しだした頭にはス
2021年9月21日 22:27
ピピピピピ……―― 枕元に置いてあるスマートフォンが軽快な音を立て、曖昧な微睡みの中から現実へと引っ張り上げてくる。 おそらく、多くの人間がそうであるようにいくら私と言えど決していつも通りの充分な睡眠とは言えない状態であっては目が覚めることを本能的に拒否してしまうものだ。 スマートフォンのアラームを無視してそのまま微睡みの中に戻ってしまおうと、もぞもぞと芋虫のような緩慢な動きで布団を被りな
2021年9月14日 22:22
2/ 「ギィィ!!」 目の前の黒い塊、体長1,8mはあろうかという巨大な蟻が視線にこちらを捉え、唸りながらその強靭な顎で噛み砕かんと、その体躯をしならせた。 しなった体が動くと同時にこちらに飛びかかるようにして素早く接近してくる。 「ッ!!」 その直線的な動きを見逃さず、ステップで躱し、躱しざまに手にしたなんの変哲もないロングソードで切りかかる。 「ギッ……ギィィ!!」 一瞬、蟻が苦
2021年9月8日 00:01
部屋にいてはどうしようもないので仕方なしに夜風にでもあたろうかと、何も考えずに部屋を出た。 そこまではよかったが怜音はこの城について大した知識がないうえに夜間であるために暗く道が一切わからなかった。 それに城から外へ出るわけにもいかない。 結果その辺をうろうろしていたのだが、結果として迷ってしまったようで部屋に戻れなくなった。 どうしようかと悩みながら歩いていると見覚えのある中庭にたどり