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2021年3月の記事一覧
飛行船、ほうき星、燃やす
飛行船が見えた。
青い空に浮かぶ大きな飛行船。
きっと、みんなには見えない。
ほうき星が見えた。
空に大きな線を引くほうき星。
きっとみんなには見えない。
手を伸ばしてみるけれど、当然届くことは無い。
伸ばした先の掌を透けて太陽が見える。
目を瞑る。
飛行船もほうき星も見えなくなった。
みんなと同じように、私にも見えなくなった。
それでも、きっと、そこにある。
もう一度、
用意周到、朝もや、糸電話
目の前の大きな窓から望む景色には全体に靄が掛かっていた。
フロントの話によれば、このホテルの周辺には自然が多いため朝もやがかかることが多いとのことで特別珍しい光景というわけでもないそうだ。
その景色を眺めながら片手に持ったコーヒーを飲んだ。
その光景がいかにも呑気に見えたのか、近場に居た数人のゴツイ男に睨まれた。
黒いスーツ姿で、彼らの立ち姿を見る者が見れば一瞬でそのスーツの内側に銃火器
葛根湯、単行本、フェイクニュース
「はぁ……」
ため息が漏れたのは体調が悪いから。
朝起きた時点でどうにも喉が痛かった。
自分の体のだるさから大体は察しがついていたものの体温計を使う。
体温計は37.3℃を示していた。
案の定、風邪だった。
微熱ではあるが、のどの痛みと倦怠感があるので間違いないだろう。
しかし、今日は大学をサボるわけにはいかない。
必修の講義の単位が危ないのだ。
留年したくない。
風邪を押