2020‐08‐20 母を看取った後の日本滞在日記
いよいよ実家にある母の持ち物の整理に取り組み始めた。クローゼットも、押し入れも、箪笥や引き出しの中も、あらゆる収納スペースにぎっしりとものが詰まっている。どこもきちんと整理されてはいるが、余剰スペースがほとんどない。
母は、商売をしていた頃(わたしに対する暴力が最も酷かった頃だ)、たびたびデパートに出向いては、高価な衣類を大量に購入していた。彼女は当時を振り返って「あの頃のわたしは買い物依存だった」と言っていたが、実際は晩年までずっとその状態だったのではないかと思う。
彼女は、家のあらゆる収納スペースを埋め尽くしたように、自らの時間も埋め尽くそうとしているように見えた。いつも依存的な人を引き寄せては、他者の世話を焼き、面倒を見ていた。その上、ゴルフ、登山、スポーツジム、麻雀、社交ダンスと、常に動き回っていて、静かに一人で過ごすことはなかった。
母が暮らしていた空間を整理しながら、そして、その生活/人生を振り返りながら、やはり彼女は自らの自己欺瞞と本当の感情から目を背け続けていたのだと思う。空間も時間も埋め尽くすことによって、彼女はずっと自らの強烈な欠乏感や虚無感から逃げ続けていたのだろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?