ハードボイルドなヘミングウェイも猫が好き🐾
昨夜、友人のM先生から「大藪春彦新人賞に出したいから作品を読んでみた感じを教えてほしい」と連絡がきた。
大藪春彦新人賞といえば、第一回で赤松利市先生が受賞した、あの大藪春彦新人賞!?
作品を読む前に大藪春彦新人賞の下調べしました。今回は第六回で……締め切りは明日!?
あれ、二、三日前に「新しいのを書くの」って言ってツイッター断ちしていましたよね?
あ、明日!?(2022/04/24)
第六回大藪春彦新人賞とは
審査員が今野敏先生と馳星周先生ですと!?
M先生の好きな作家さんが、どんぴしゃで審査員に。
うーん、これは脊髄反射で応募したくなる気持ちはわかる。
けど、三日前からって……いっそ痛快な状況だから、原稿が間に合うかどうか賞がとれるかどうかより先に、M先生の挑戦を実録コラムにしたいです。
よろしいですか?
M先生?
イニシャルなら、よい?
わかりました。ではイニシャルで……あ、来年何か賞をとったら名前だしますよー。いいですね?
連絡から十五分後。さっそく冒頭約一万文字の原稿を読みました。
……
…………
………………っかー!
※以下段落の文は読まなくても大丈夫ですただの叫びです。
一通り作品に影響されてロックな感想を送ったあとは……さて、本題に戻りましょう。
Q. これをわたしに読ませて、何を聞きたいのかな?
A. これ、ハードボイルドになっているかな?
……なってない。けど、お互いが認識している「ハードボイルド」にずれがあるのかもしれない。
これがハードボイルドかどうかを論じる前に、互いの認識をすり合わせてゼロ地点を決めましょう。
ということで、ハードボイルドを調べました。
ハードボイルドとは
卵などを「固くゆでた」という意味です。
ハードボイルドエッグは固ゆで卵。ぱさぱさしてます。
ソフトボイルドという言葉もあります。こちらは卵に例えると半熟ゆで卵。
わたしの記憶が正しければ(WEB検索では見つからないのですが)海外の著名なハードボイルド作家(レイモンド・チャンドラーかな)が「ハードボイルド」とは何かを凄い枚数で書いた本があった気がします。語源はイギリスだった気がします。
もうひとつ。これも短い時間では出典を探せなかったので、あやしいわたしの記憶です。
縫製関係の職業を経験した人は聞いたことがあると思いますが、紳士用ワイシャツの襟につけた糊(キーピング)を落とすとき「ハードボイルド」します。ゆでないと、あの固いバリバリになった糊が落ちないという現象から「ハードボイルドな人」は頑固な人。堅物な人を揶揄する言葉。
だったと思います。たしか……おそらく……。
そんな経緯を踏まえ「ハードボイルド」はウィキペディアによると、大きく分けて三つの意味になりました。
わたしはハードボイルドといえばヘミングウェイと答えるタイプの人間ですので、当然「文体としてのハードボイルド」を思い浮かべました。
M先生はネオハードボイルドの定義に近いイメージを思い浮かべていました。
あぶないあぶない。よく使う単語も、ちょっとした認識のずれでまったく会話がかみ合わなくなります。
会話のゼロ地点って、大事ですね。
いずれにしても「ハードボイルド」とは少しちがうのですが、幸い他の要素も満たしている。
このまま完成させて公募に出すという話で一件落着。
今ごろ、残りン十枚の原稿を必死に書いていることでしょう。
アーネスト・ヘミングウェイ
ハードボイルドといえばヘミングウェイ。と言いましたがヘミングウェイはみなさんお好きですか?
わたしは、若い頃。ちょうど思春期のころに読んでおりました。あの不愛想な文体は一度読むと癖になるので、もし未読の方がいらっしゃったら、いつか読んでみてくださいね。
ハードボイルドに興味はなくとも、ヘミングウェイの逸話には興味が惹かれると思います。
彼は猫が好きで、知り合いの船乗りから二匹の猫を貰い飼っていました。その猫は足の指が六本ありました。
多指症といいます。
そんな猫を「幸運を呼ぶ猫」だと信じていたヘミングウェイ。
キーウエストのヘミングウェイ博物館では、この猫の子孫が今もたくさん飼われているそうです。もちろん子孫たちは六本指の幸福の猫ちゃんです。
では、最後にヘミングウェイの代表作をリンクしておきます。
《老人と海THE OLD MAN AND THE SEA 著者:アーネスト・ヘミングウェイ 日本語訳:石波杏 URL:青空文庫》
ハードボイルドが何かわからないときに、このコラムを思い出していただけたら幸いです。
長々とお読みいただき、ありがとうございました。
その後
2022年4月25日20時30分にM先生からメッセージが1件。
完成した原稿を印刷しようとしても、30分前からネットワークエラーになる。助けて!
家から郵便局まで車で10分。窓口は21時まで。
……
…………こらー!
なぜいつもギリギリに連絡するだー!
しかもいま、わたしお風呂中だよ、湯船に入って一息ついたばかりだよ。
画面に水滴ついて文字がうまく打てない。うああ。
もう、コンビニ印刷も間に合わない。15分間、手に汗握るPCサポート。USBメモリもない。SDカードもない。スマホをケーブルで直繋ぎして何とか印刷はじまった! やった!
……ってノンブルも打ってないとはっ!
手書きでよい。ノンブル手書きで……え?
娘さんがよんでる?
泣いてる?
熱でた?
えええ?
……M先生の挑戦は終わった。
はじまる前に、終わってしまった。
どこにやったら良いのか分からぬ原稿がひとつ。
もらったPDFファイルはわたしが大事に保管しよう。
我々の戦いは来年までつづく。
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