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【ブランド戦略と経営の未来図#2】ブランドを何で評価すれば良いのか?vol.1

皆さんこんにちは。「ブランド戦略と経営の未来図」へようこそ。
"企業の成長を切り拓く!CBO代行"の入倉大亮と申します。
株式会社HUV DESIGN OFFICEの代表として、ブランド戦略の設計と企業の成長をサポートしています。
このブログでは、これまで得た経験と知識を通じて、ブランド価値向上や経営戦略に関する情報を共有し、皆さんと一緒に学び、どうすれば活気ある日本へと成長できるのかを考える場にしていきたいと思います。


ブランドを数字で把握しよう

ビジネスの現場では、「ブランドを何で評価すれば良いですか?」といった質問を多く頂きます。この質問の背景には、ブランドを数値で把握しづらいブランド特有の曖昧さが大きく関わっていると考えます。ブランド価値を評価しようとする動きは以前からありましたが、ブランディング企業が独自に評価モデルを考案していたり、ブランド価値を財務会計の観点から評価しようという国際的な議論もあったりと、未だ統一された評価モデルが存在していないのが現状です。しかし、強いブランドは企業の収益性向上に大きく貢献しますから、数値で評価しないわけにはいきません。戦略立案、実行、評価にいたる経営プロセスの中で適切な判断をしていくためには、やはり数値で評価することは極めて重要となります。

そこで、本記事ではブランドの状態を把握するために必要な指標について解説していきます。中でも1番質問の多い新事業・商品を立ち上げる導入期の評価指標についてお話をしていきます。(成長期やその他のフェーズのお話は別の記事に書きます)最後に、オススメ評価指標5選も共有したいと思いますので、どうぞ最後までお付き合いください。

ブランドを数字で評価するのが難しい理由

そもそも、なぜブランドを評価するのが難しいのでしょうか?それは、ブランドが本質的に定性的な側面を持つ無形資産であり、どこまでがブランドの影響によるものなのか、その範囲が曖昧だからです。ブランドは、消費者の感情的なつながりや社会的影響力など、定量化が難しい要素を多く含んでいます。また、ブランドの価値は消費者からの評価に依存しますから、絶対的な基準が存在しません。例えば、あるブランドに対する「憧れ」や「親しみやすさ」といった感情を、どのように数字で表現できるでしょうか?ブランドという無形資産は、企業の長期的な成功に大きく寄与するものの、従来の財務指標では十分に捉えきれないのが現状です。

こうした理由から、ブランドの評価には、定量的な指標とともに、感情的なつながりや社会的影響力といった定性的な指標も組み合わせることが重要です。これにより、ブランドの全体像をより正確に把握することが可能となります。

お客様の反応を指標にしよう

先程例に挙げた「憧れ」や「親しみやすさ」といった消費者の感情的な繋がりは、確かに目で見ることは出来ません。しかし、消費者が感情的な繋がりを持っているとしたら、何かしら目に見える反応や態度を示している可能性があります。例えば、ウェブサイトや店舗へのアクセス、イベントへの参加、SNSでのフォローなどが考えられます。ブランドの価値を財務的な観点から算出することは難しくても、日々の活動から得られる消費者の反応を指標にすることで、ブランドの状態を数字で把握することが可能になるのです。

また、これらの消費者反応の中には、ブランドに対する感情的なエンゲージメントやロイヤルティといった、定性的な要素も含まれます。これらを総合的に評価することで、ブランドの状態をより深く理解することができます。ブランド側からのアプローチの仕方や接し方によって、消費者の反応は変わりますから、都度適切な指標を用いてそれらを評価していくことで、結果的にブランドの状態を把握することができます。

ブランドを評価するためのオススメ指標5選(導入期編)

さて、ここからはブランドを評価する具体的な指標を5つご紹介します。特に質問の多い、新事業・商品の導入期で見るべき指標に絞って紹介したいと思います。(成長期など他のフェーズで使える指標は別の記事で書きます)これから新商品や新サービスを市場に投入する方は、ぜひ参考にしてみてください。

1. 新規接触率

ブランドがどれだけ新しい顧客にリーチできているかを示す指標です。新商品の認知度を高めるための基礎的な指標であり、どれだけのターゲットにアプローチできているかを把握するために使われます。測定方法は以下のような方法があります。

  • オンライン広告のクリック率

  • ウェブサイトのユニークビジター数

  • 新規の名刺交換数

2. ブランド再認率

消費者がブランドを認識し、記憶している割合を示す指標です。ブランドの認知度がどれだけ高いかを測るために重要であり、再認率が高いとブランドの認知度が高まっていることを示します。消費者にブランド名やロゴを見せて、認識しているかどうかをアンケートで調査し測定することができます。

3. ブランド再生率

消費者が特定のカテゴリーやニーズに関連して、ブランドを思い浮かべる頻度を測る指標です。ブランドが消費者の心の中で強い印象を持っているかどうかを確認するために役立ちます。消費者に特定のカテゴリーに関連するブランドを自由回答で書かせる調査を行うのが一般的です。

4. ブランドロイヤルティ

消費者がブランドに対してどれだけ忠誠心を持っているか、つまりどれだけ繰り返し購入しているかを示す指標です。新しいブランドがどれだけ消費者に受け入れられ、継続的な購買につながっているかを測るための重要な指標です。リピート購入率や定期購買プログラムの利用率、顧客満足度調査などで測定します。

5. ブランドエンゲージメント率

消費者がブランドとどれだけ積極的に関わっているかを示す指標です。これはSNSでのコメントやシェア、サイトでのレビューなど、消費者がブランドに対してどの程度関与しているかを測ります。エンゲージメントが高いほど、消費者がブランドに興味を持ち、親近感を感じていることを示します。特に導入期において、ブランドが消費者とどれだけつながっているかを把握するのに有効な指標となります。以下の方法で測定することができます。

  • SNSのエンゲージメント率

  • ウェブサイトでのレビュー数

  • メールマーケティングの開封率やクリック率

④指標として扱う時の注意点

各指標を使用する際には、いくつかの注意点があります。まず、これらの指標はあくまで「現状の一部」を示すものであり、全体像を捉えるためには複数の指標を組み合わせて判断することが重要です。また、各指標は単独で判断するのではなく、業界の特性や市場の動向と照らし合わせることが求められます。

さらに、調査方法においても、データの信頼性を確保するために十分なサンプルサイズを確保し、偏りのないデータ収集を心がける必要があります。特に中小企業においては、限られたリソースの中で効率的にデータを収集・分析することが求められるため、調査対象の選定やデータの解析には慎重を期すべきです。

⑤まとめ&次回予告

新商品や新サービスの導入期において、ブランドの評価指標を正しく設定し、その結果を分析することは、成功への道を切り拓くための重要なステップです。今回紹介した5つの指標(新規接触率、ブランド再認率、ブランド再生率、ブランドロイヤルティ、ブランドエンゲージメント率)を用いることで、ブランドの現状を把握し、的確な戦略を立案する手助けとなるでしょう。
また、これらの定量的な指標に加え、消費者の感情や態度といった定性的な指標を組み合わせることで、ブランドの価値をより深く理解し、より効果的なブランディング戦略を構築することが可能になります。

次回は、ブランドが成長期に入った際に役立つ評価指標について詳しく解説しますので、お楽しみに。

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