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起業日記2020-03

私は現在、金融系の顧客管理システムを提供する、小さなシステム会社を経営しています。

設立して6年目、この会社は長年、副業だったのですが、その副業が本業になって9カ月程経ちます。

先日、当社のシステムをご利用頂いている顧客より、『再現性の低い不具合』の相談があり、その対処をしました。

『再現性が低い』というのは、原因を特定しようにも、同じことを再現しづらく、原因をなかなか特定できないという意味です。

顧客先でも、毎回発生するわけではなく、半年に1度ペースで、ある日突然発生する感じで、その時の操作を私の側で再現しても、こちらでは問題が発生しないのです。

こんな時は、システムのコード(システムを動かすためにコンピュータに命令するもの)に、不具合が発生した時の状況を、裏で自動的に記録するための仕組みを仕掛け、様子を見ます。

早く不具合原因が特定できると良いんですが・・・。


人生がバグ

そんな出来事を、「ああ、面倒な仕事だったな」で終わらせていたら、『アマチュアnote家(自称)』の名折れです。

今回の出来事をどうやって毎日noteのネタにしてやろかと、一生懸命考えたとですたい。


再現性のないバグみたいな私の人生

ネタ作りは、自虐ネタから入ると簡単だったりします。

えらいなー。この日も俺、体張ってるなー。

そんなに無邪気なクラッカーが欲しいのか???🎉🎉🎉


欲しーーーーーい(ノД`)シクシク


「再現性」について考えてみた

小さいなりにも、イチ企業の経営をしていて、いつも考えていることは、

どうやって5年、10年先に事業を花開かせるか


事業を拡大する上で、「再現性」が重要なことは、起業家の基本中の基本なのだと思います。


ですが、私が現在手掛けている仕事って、

なんて再現性が無い仕事なのだろう

と、絶望感を味わった末に、ふて寝しました(;´Д`)


自分が一人で開発した顧客管理システム(知的財産)は、1度作ってしまえば、2社目、3社目に提供する場合、元値は0円(管理費や人件費除く)です。

50円で仕入れた商品を80円で売れば、利益は30円

元値0円の顧客管理システムを80円で売っちゃえば、利益は80円


なので、この知的財産のニーズがある内は、家族を養うくらいであれば、そんなに無理をすることはなかったりします。(ぶっちゃけ3年後はニーズが低くなって無理だと見ています)


システム会社として事業を拡大するには、ニーズに合わせて新しいシステムを生み出しながら、私ひとりにしか分からない仕事を、他人にも任せられるようにし、再現性を高めて拡げていくしかないのです。


ですが、目の前の仕事を追いかけるので精いっぱいで、事業拡大のほうに時間と労力をかけられなくて、ジタバタしています。

とてももどかしく、「俺、こんなバグ取りやってる場合じゃないんだけどな」と、毎日のように心の声と戦っています。

しかーーーし!家業を飛び出して9カ月です。

私の戦いは、まだまだ始まったばかりです(`・ω・´)ゞ


話はガラっと変わりますが

「再現性」が、全く無い訳ではないことにも気づきました。


事業拡大において直面する課題として、他人を「雇用」することが挙げられます。

先に触れた自前の顧客管理システムを売り込めば、「自分と家族が暮らす」のには当面困らないので、事務所を構える必要もなければ、他人を雇用する必要性も低かったりします。


そんな中、次にお話しする経緯の末、私は現在2名の従業員を雇用しています。


話は家業を飛び出すことになった頃に遡ります

私が13年ご奉公した家業から飛び出した経緯につきましては、過去記事をご参照下さい。


身内で固めた地方のブラック金融会社(一族経営)で、一人だけ他人の従業員がいました。

私がお婿に来る前からいらっしゃる方で、長年家業を支えて下さった大功労者。

私と妻が家業を飛び出すことは、同時に家業が廃業に追い込まれることを意味します。(跡継ぎがいなくなるため)

そのため、この一人の功労者の雇用を守れなくなってしまう。

「雇用を守りたい」との想いから、身近な経営者仲間や人脈に相談したのですが、年齢的に難しく、私の力ではこの方の雇用を守れない。


そんな想いを、仲の良いお客様に相談をしました。

冒頭述べましたが、当時はまだ家業の代表者をやりながら、システム開発の仕事は副業でした。

副業のシステム会社の顧客先で、個人的にとてもかわいがって頂いていた50代の社長さんから食事に誘われ、その席でこんなやりとりになりました。

家業を飛び出すことで、他人である功労者の雇用を守れなくなるのが一番悔やまれます。
「立派な考えだね。何か応援できないか、俺なりに考えてみるよ」


数日後連絡があり、「県外でも良ければその功労者さんをうちで引き受けるよ。」と。


その話を本人に伝えたのですが、親御さんの介護があり、県外には出られないと。


申し訳ない限りだが、こればかりは仕方がないのか。

無念を抱えながら先方に断りの電話を入れたところ、思いがけない提案を頂いたのでした。


「よく考えたら、任せようと思っていた仕事は、『電話とパソコンがあればできる仕事』なんだよ。関東圏のこっちよりも、もしかして座右くんのいる田舎のほうが色々コストダウンできるんじゃないかと思う。ちょっと見積もってよ。」と。


要は、先方のサテライトオフィスを、私の会社で業務委託を受ける形で運営できないかとのことでした。


そこからは一気に話を進めました。

2日後には事務所を決め、10日後にはネットや電話の回線が通る。

事務用の什器備品を揃え、お話しを頂いてから15日程で、委託を受けられる体制を用意しました。

(この辺はブラック企業時代の『なんでも自分でやっちゃう精神』が活きています)


同時に、女性1名だけで引き受けるには荷が重いとの配慮から、短時間のパートでだれか他に居ないのかと。

ちょうど、3才になった姪っ子を保育園に預け、仕事を始めようとしていた妹に、その受託業務を手伝わせることになりました。


2名の雇用と、事務所の維持費等をひっくるめて委託料を頂戴していますが、関東圏で同じことをやろうとすると、コストがザックリ2倍に。ご厚意に甘んじるだけでなく、ちゃんと先方にとってもメリットのある形にできたことが、『俺、ちょっといい仕事しちゃったかもしれない』と自慢できるところです。


その委託料には、私自身の利益はありません。

正直、少し持ち出し部分があります。

例え多少の持ち出しがあろうとも、私の想いを叶えようと頂戴したご提案なので、私はそこで儲けてやろうなどと思ってはいけない。


その仕事が伸びる可能性

以上のとおり、半分は想いもう半分は成り行きでスタートした受託業務だったのですが、思いがけず、その仕事が発展する可能性が出て来ました。


同じ業務内容を、別の引き合い先から、引き受けて貰えないかとの話が舞い込んで来たのです。


電話とパソコン、数人のオペレーターがいればできる業務内容。

責任や経営判断は私の仕事ですが、現場の細かい対応は、既存の2人に任せることができる。


思ってもみなかったところから、事業拡大の芽が出ました。

取っ掛かりは罪悪感や、申し訳なさで、自分のことは二の次だった仕事が、後で自分にとってのプラスになって還って来たのだと感じています。


自分が抱えているシステム開発を進めながら、自分からは手が離れている仕事を他人に託し、大きくしていく。


朧気ながら、未来の展望に向けて、1歩前進ができたようで、とても嬉しいです。


普遍性を見出だす

一見、「たまたま、想いに応えてくれる気風のいい顧客がいた」と、再現性の低い「運」で片づけてしまいそうな話。

実はそこには、「普遍性」が隠れているんじゃないかと考えました。


先日、この気風のいい経営者にお礼を述べた際、

「いやいや、こっちも助かっているんだよ。何より、君の想いがなければ絶対にできなかったことだと思うよ。それに、まさか半月で体制整えるなんてびっくりだったし。」

と言われました。


人が仕事をする限り、人の心を動かすことが、経営者の仕事なのかもしれない。


そこに、「普遍性」がある


そもそも、スタートアップに「再現性」を求めるのは、ナンセンスではなかろうか☆


さあ、這いつくばって、しがみついて、死の谷を超えよう!

私の挑戦は、まだまだ始まったばかりなのだから。


2020年3月13日

座右の銘は不撓不屈

座右の銘太郎

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