苦い思い出 第六話 恐怖
妖怪の携帯が鳴った。
普通は聴かないような不気味なメロディだった。
「はい、もしもし。あぁともちんか。どした?
は?お前自分の言ってることわかってんのか?
おい!代走。」
代走をおおせつかったシンメトリーが卓についた。
妖怪は自動ドアの向こう側に出て行った。
そして電話相手のともちんに対して怒声を浴びせていた。
ドアを挟んだこちら側にもその怒鳴る声は聞こえてきた。
大きな肉食獣の雄叫びのような重低音だった。
「…沈めるからな。」
自動ドアが開いて鈴の音と重なって聞こえたワード