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苦い思い出 第7話 転落

妖怪の視線が気になった俺は、サイドテーブルを見た。

俺の財布から、免許証が飛び出ていた。

慌てて妖怪を見たらニターっと笑った。

「おにいちゃんボンボンやないやないか。お前の住所貧民団地やな。ケツノアナで稼がせてやるから待っとけや。」

俺は住所が妖怪にバレたことで、心臓を鷲掴みにされたように苦しくなった。



しかし、俺の配牌はテンパイだ。

ここで、俺があがってしまえば全ての嫌な流れは断ち切れて素晴らしい未来が待っているに違いない。

親のデスノートは力なく9を切った。

ここで東を引いてこい!!!!

神様頼む和了させてくれ!!!!

この妖怪の顔を歪めてやりたい。

勢いよくツモった牌は東だった。

俺はセットでもなかなかやらない引きヅモをして役満をあがった。

8000点のラスから一気にトップ。

俺は歓喜の気持ちで舞い上がっていた。

住所なんかバレても妖怪は何もできないだろう。

実際俺の家は貧乏団地なんだから親の仕事に迷惑をかけたりしないだろう。

そうタカを括っていた。


そしてオーラス。親40000点持ちトップ

手牌はまずまずの3シャンテンだったが、シモチャの妖怪は24000点持ちの2着だった。

3巡目、妖怪はデスノートの打った2をポン。

9巡目、妖怪はデスノートの打ったドラの九をポン。

12巡目、20000持ちのシンヤがリーチ。

そして14巡目に妖怪がシンヤがツモぎった③をポン。

俺はシンヤと妖怪に対しての現物を探しておりていた。

しかし15巡目完全安パイがなくなる。

俺の手は
東東東南南南白白五六⑤⑤⑥⑦
ここから妖怪の現物の白を抜いた。

俺の打牌がパシーんといい音を立てる。

17巡目も妖怪の危険牌の六を引いてきて白を抜いた。

そしてハイテイ三を引いてきて俺の手は止まった。

三は3枚切れでトイトイ仕掛けの妖怪には当たらないだろう。

しかもシンヤの現物だ。

ノータイムだった。

「ロン」

妖怪の顔がまたニターっと歪んだ。

悲しみと怒りの入り混じった感情で転落していくのを感じた。

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