広島大学図書館に所蔵されているSF・ファンタジー系作品(小説)を書いている国内女性作家〈勝手に図書館の本を紹介〉

広島大学図書館に所蔵されているものを中心に紹介しますが主要な作家はほぼ網羅出来ていると思いますので、是非利用してください。2020年6月末の内容です。

最終更新 2020/12/17

はじめに

昨今の事情に反応してまとめてみました。といっても、小説を読む際に性別に囚われるのはあまり良くないと思いますが……(もちろん気にし過ぎないのも良くないのは当然)。ただ、SF的にはもっと飛翔して既存の性別に収まらないor関係ない話を読みたいところ。

ちょっと早いけど夏季休暇中の読書のおともにどうぞ。視野を拡げることは間違いありません。

日本SF大賞(日)、星雲賞(星)、センス・オブ・ジェンダー賞(セ)、女性作家が対象の紫式部文学賞(紫)、加えて芥川龍之介賞(芥)と日本ファンタジーノベル大賞(フ)の受賞作関連に印を付けました。あとは泉鏡花文学賞や児童文学系の賞などにも注目すると良いかもしれません。一応デビュー年順です。作者の後の括弧はデビュー年と受賞賞or出版社。Wikipedia&手元の文庫の著者紹介を参考にしましたが、ざっと調べた限りのデータなので信頼性に欠ける可能性あり。性別不明の作家はスルーしました。

所蔵作品あり

全て合わせて81人。デビュー年で分けると以下のような感じ。

・1950年代デビュー(2人)
松谷みよ子/田辺聖子
・1960年代デビュー(4人)
倉橋由美子/黒田夏子/吉田知子/あまんきみこ
・1970年代デビュー(7人)
角野栄子/皆川博子/山尾悠子/新井素子/村田喜代子/栗本薫/松浦理英子
・1980年代デビュー(18人)
大原まり子/斎藤綾子/笙野頼子/菅浩江/島村洋子/矢崎存美/図子慧/寮美千子/内館牧子/松本侑子/宮部みゆき/小川洋子/荻原規子/小野不由美/長野まゆみ/上橋菜穂子/小谷真理/若木未生
・1990年代デビュー(18人)
篠田節子/森絵都/松村栄子/恩田陸/佐藤亜紀/多和田葉子/松尾由美/森奈津子/篠田真由美/桐野夏生/越水利江子/今野緒雪/川上弘美/高野史緒/梨木香歩/藤野千夜/岩井志麻子/桜庭一樹/柴崎友香
・2000年代デビュー(17人)
三浦しをん/高殿円/畠中恵/本谷有希子/雪乃紗衣/有川浩/上田早夕里/村田沙耶香/辻村深月/仁木稔/垣谷美雨/津村記久子/藤野可織/谷崎由依/福田和代/千早茜/窪美澄
・2010年代デビュー(14人)
浅葉なつ/彩瀬まる/今村夏子/小山田浩子/高山羽根子/松崎有理/松田青子/雪舟えま/阿部智里/古谷田奈月/石井遊佳/黒澤いづみ/櫻木みわ/方丈貴恵

・松谷みよ子(1951年、あかね書房)
単行本:『松谷みよ子おはなし集』 『日本の民話』(瀬川拓男と共編)など

・田辺聖子(1956年、大阪市民文芸賞)
単行本:『お聖どん・アドベンチャー』
短篇:「愛のロボット」(『ロボット・オペラ』)

・倉橋由美子(1960年、明治大学学長賞)
単行本:『よもつひらさか往還』 『大人のための残酷童話』 など
短篇:「宇宙人」(『星の文学館 : 銀河も彗星も』)など
未所蔵作品に『スミヤキストQの冒険』など

・黒田夏子(1963年、読売短編小説賞)
単行本:『abさんご』(芥) 『感受体のおどり』

・吉田知子(1966年、『新潮』)
短篇:「お供え」(『戦後短篇小説再発見 第10巻 表現の冒険』)

・あまんきみこ(1968年、ポプラ社)
単行本:『車のいろは空のいろ 白いぼうし』 『あまんきみこセレクション』など

・角野栄子(1970年)
単行本:『魔女の宅急便シリーズ』など

・皆川博子(1973年、第20回小説現代新人賞)
短篇:「影を買う店」(『凶鳥の黒影 中井英夫へ捧げるオマージュ』)、「魔王」(『稲生モノノケ大全 陽之巻』)
未収蔵作品に『開かせていただき光栄です』『死の泉』など

・山尾悠子(1973年、ハヤカワ・SFコンテスト選外優秀作)
単行本:『ラピスラズリ』 『飛ぶ孔雀』(日)
短篇:「遠近法」(『書物の王国 第1巻 架空の町』)、「月齢」(『書物の王国 第4巻 月』)、「支那の吸血鬼 (ヴァンピール・シノワ)」(『書物の王国 第12巻 吸血鬼』)
未収蔵作品に『夢の棲む街』『歪み真珠』など

・新井素子(1977年、第1回奇想天外SF新人賞佳作)
短篇:「お片付けロボット」「幻臭」(『人工知能の見る夢は AIショートショート集』)
編集アンソロジー:『ほしのはじまり  決定版星新一ショートショート』
未収蔵作品に『星へ行く船』『グリーン・レクイエム』(星)『チグリスとユーフラテス』(日)など

・村田喜代子(1977年、第7回九州芸術祭文学賞最優秀作)
単行本:『飛族』など

・栗本薫(1978年、第24回江戸川乱歩賞)
単行本:『真夜中の切裂きジャック』
短篇:「黴」(『胞子文学名作選』)
未収蔵作品に『グイン・サーガ』(日,星)『魔界水滸伝』など

・松浦理英子(1978年、文學界新人賞)
単行本:『犬身』(セ)
短篇:「ルナティック・ドリーム女性器篇」(『月の文学館 月の人の一人とならむ』)
未収蔵作品に『親指Pの修業時代』(女流文学賞)など

・大原まり子(1980年、第6回ハヤカワ・SFコンテスト佳作)
短篇:「ハンサムガール」(『ハンサムウーマン』)、「告別のあいさつ」(『ロボット・オペラ』)
未収蔵作品に『ハイブリッド・チャイルド』(星)『戦争を演じた神々たち』(日)など

・斎藤綾子(1981年、JICC出版局(宝島社))
短篇:「クルクル私は回転する」(『ハンサムウーマン』)

・笙野頼子(1981年、第24回群像新人文学賞)
単行本:『タイムスリップ・コンビナート』(芥) 『東京妖怪浮遊』 『水晶内制度』(セ) 『ひょうすべの国』など
短篇:「虚空人魚」(『戦後短篇小説再発見 第10巻 表現の冒険』)、「S倉極楽図書館」(『図書館情調 Library & Librarian』)

・菅浩江(1981年、『SF宝石』)
単行本:『誰に見しょとて』
短篇:「奥の間のある店」(『ハンサムウーマン』)、「KAIGOの夜」(『ロボット・オペラ』)
未収蔵作品に『そばかすのフィギュア』『博物館惑星シリーズ』(星)など

・島村洋子(1985年、第6回コバルト・ノベル大賞)
短篇:「シンデレラ」(『ハンサムウーマン』)

・矢崎存美(1985年、第7回星新一ショートショートコンテスト優秀賞)
短篇:「僕は初めて夢を見た」(『人工知能の見る夢は AIショートショート集』)
未収蔵作品に『ぶたぶたシリーズ』など

・図子慧(1986年、第8回コバルト・ノベル大賞)
短篇:「ダウンサイジング」(『人工知能の見る夢は AIショートショート集』)
未収蔵作品に『駅神』『アンドロギュヌスの皮膚』『愛は、こぼれるqの音色』など

・寮美千子(1986年、毎日童話新人賞)
短篇:「平気の平太郎」(『稲生モノノケ大全 陽之巻』)

・内館牧子(1987年、脚本家)
単行本:『十二単を着た悪魔』

・松本侑子(1987年、すばる文学賞)
短篇:「初恋」(『ハンサムウーマン』)

・宮部みゆき(1987年、第26回オール讀物推理小説新人賞)
単行本:『龍は眠る』 『蒲生邸事件』(日) 『ドリームバスター』 『クロスファイア』 『英雄の書』 『悲嘆の門』 『過ぎ去りし王国の城』 『チヨ子』 『さよならの儀式』など
短篇:「燔祭」(『冒険の森へ 傑作小説大全 第4巻 超常能力者』)
未収蔵作品に『ICO 霧の城』『ここはボツゴニアン』など

・小川洋子(1988年、第7回海燕新人文学賞)
単行本:『琥珀のまたたき』 『小箱』 『夜明けの縁をさ迷う人々』など
編集アンソロジー:『小川洋子の偏愛短篇箱』 『小川洋子の陶酔短篇箱』

・荻原規子(1988年、福武書店)
単行本:『空色勾玉』 『薄紅天女』 『白鳥異伝』 『RDGシリーズ』
未収蔵作品に『西の善き魔女』など

・小野不由美(1988年、講談社X文庫ティーンズハート)
単行本:『十二国記シリーズ』 『屍鬼』 『ゴーストハント』
未収蔵作品に『営繕かるかや怪異譚』など

・長野まゆみ(1988年、第25回文藝賞)
単行本:『テレヴィジョン・シティ』 『箪笥のなか』
短篇:「花も嵐も春のうち」(『小説乃湯 お風呂小説アンソロジー』)、「鉱石倶楽部より」(『書物の王国 第6巻 鉱物』)
未収蔵作品に『少年アリス』『野ばら』『新世界シリーズ』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』など

・上橋菜穂子(1989年、偕成社)
単行本:『守り人シリーズ』 『獣の奏者』 『鹿の王』
未収蔵作品に『精霊の木』など

・小谷真理(1989年、評論家)
短篇:「Xの女王」(『ハンサムウーマン』)
評論:『女性状無意識』(日) 『エイリアン・ベッドフェロウズ』など

・若木未生(1989年、第13回コバルト・ノベル大賞佳作)
短篇:「即答ツール」(『人工知能の見る夢は AIショートショート集』)
未収蔵作品に『ハイスクール・オーラバスター』など

・篠田節子(1990年、第3回小説すばる新人賞)
単行本:『仮想儀礼』
短篇:「幻の穀物危機」(『冒険の森へ 傑作小説大全 第19巻 孤絶せし者』)
未収蔵作品に『絹の変容』『アクアリウム』『夏の災厄』『斉藤家の核弾頭』『ハルモニア』『はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか』『静かな黄昏の国』など

・森絵都(1990年、第31回講談社児童文学新人賞)
単行本:『ラン』 『カラフル』 『カザアナ』

・松村栄子(1990年、第9回海燕新人文学賞)
単行本:『至高聖所(アバトーン)』(芥,非SF)
未収蔵作品に『紫の砂漠』『詩人の夢』など

・恩田陸(1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補)
単行本:『六番目の小夜子』(フ) 『ネクロポリス』 『蒲公英草紙』 『エンド・ゲーム』 『夢違』 『歩道橋シネマ』など
短篇:「大きな引き出し」(『冒険の森へ 傑作小説大全 第4巻 超常能力者』)
未収蔵作品に『光の帝国』『ロミオとロミオは永遠に』『いのちのパレード』など

・佐藤亜紀(1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞)
単行本:『バルタザールの遍歴』(フ)
短篇:「白鳥殺し」(『ハンサムウーマン』)
未収蔵作品に『ミノタウロス』『戦争の法』など

・多和田葉子(1991年、第34回群像新人文学賞)
単行本:『献灯使』 『地球にちりばめられて』 『変身のためのオピウム』 『雪の練習生』 『犬婿入り』(芥)など
短篇:「胞子」(『胞子文学名作選』)、「鏡像」(『月の文学館 月の人の一人とならむ』)、「ゴットハルト鉄道」(『戦後短篇小説再発見 第14巻 自然と人間』)

・松尾由美(1991年、第17回ハヤカワ・SFコンテスト入選)
短篇:「ロボットと俳句の問題」(『不思議の足跡 最新ベスト・ミステリー』)
未収蔵作品に『バルーン・タウンシリーズ』『ジェンダー城の虜』『九月の恋と出会うまで』など

・森奈津子(1991年、学研レモン文庫)
短篇:「お面の告白」(『ハンサムウーマン』)
未収蔵作品に『西城秀樹のおかげです』『耽美なわしら』『からくりインモラル』など

・篠田真由美(1992年、第2回鮎川哲也賞最終候補)
単行本:『幻想建築術』

・桐野夏生(1993年、第39回江戸川乱歩賞)
単行本:『東京島』 『女神記』(紫) 『優しいおとな』 『ポリティコン』

・越水利江子(1993年、岩崎書店)
短篇:「釣りぎつね」(『稲生モノノケ大全 陽之巻』)

・今野緒雪(1993年、第21回コバルト・ノベル大賞)
短篇:「ねむり姫の星」(『短編学校』)
未所蔵作品に『夢の宮〜竜の見た夢〜』『マリア様が見てるシリーズ』など

・川上弘美(1994年、第1回パスカル短篇文学新人賞)
単行本:『蛇を踏む』(芥) 『物語が、始まる』 『おめでとう』 『大きな鳥にさらわれないよう』 『某』など
短篇:「アレルギー」(『胞子文学名作選』)、「河童玉」(『小川洋子の陶酔短篇箱』)、「神様」「神様 2011」(『日本文学全集 第28巻 近現代作家集 III』)(紫)
未収蔵作品に『龍宮』『七夜物語』など

・高野史緒(1994年、第6回日本ファンタジーノベル大賞最終候補)
単行本:『カラマーゾフの妹』
短篇:「舟歌」(『人工知能の見る夢は AIショートショート集』)
未収蔵作品に『ムジカ・マキーナ』(フ)『アイオーン』『赤い星』など

・梨木香歩(1994年、楡出版)
単行本:『西の魔女が死んだ』 『沼地のある森を抜けて』(セ,紫) 『からくりからくさ』 『りかさん』 『裏庭』 『家守綺譚』

・藤野千夜(1995年、第14回海燕新人文学賞)
単行本:『夏の約束』(芥,非SF)、『おしゃべり怪談』(非SF)
未収蔵作品に『ルート255』など

・岩井志麻子(1999年、第6回日本ホラー小説大賞)
単行本:『岡山女』 『邪悪な花鳥風月』 『夜啼きの森』
未収蔵作品に『ぼっけぇ、きょうてぇ』など

・桜庭一樹(1999年、第1回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作)
単行本:『赤朽葉家の伝説』 『製鉄天使』 『伏 贋作・里見八犬伝』など

柴崎友香(1999年、『文藝別冊』)
単行本:『春の庭』(芥、非SF)など
未収蔵作品に『かわうそ堀怪談見習い』『百年と一日』、「メルボルンの想い出」(『NOVA10』)など

・三浦しをん(2000年、草思社)
単行本:『むかしのはなし』
未収蔵作品に『ロマンス小説の七日間』など

・高殿円(2000年、第4回角川学園小説大賞奨励賞)
単行本:『剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎』
未収蔵作品に『プリンセスハーツシリーズ』、『トッカンシリーズ』(非SF)など

・畠中恵(2001年、第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞)
単行本:『じゃばけシリーズ』(フ)
短篇:「八百万」(『不思議の足跡 最新ベスト・ミステリー』)

・本谷有希子(2002年、『群像増刊』)
単行本:『異類婚姻譚』(芥)

・雪乃紗衣(2002年、第1回角川ビーンズ小説賞の奨励賞・読者賞を受賞)
単行本:『骸骨を乞う 彩雲国秘抄』
未収蔵作品に『彩雲国物語シリーズ』『レアリアシリーズ』など

・有川浩(2003年、第10回電撃ゲーム小説大賞)
単行本:『空の中』 『海の底』 『図書館戦争シリーズ』(星) 『誰もが知ってる小さな国』
短篇:「S理論」(『不思議の扉 午後の教室』)
未収蔵作品に『塩の街』など

・上田早夕里(2003年、第4回小松左京賞)
単行本:『華竜の宮』(日,セ) 『破滅の王』
未収蔵作品に『深紅の碑文』『魚舟・獣舟』『夢見る葦笛』など

・村田沙耶香(2003年、第46回群像新人文学賞優秀賞)
単行本:『消滅世界』 『地球星人』 『生命式』 『変半身(かわりみ)』など
未収蔵作品に『殺人出産』(セ)など

・辻村深月(2004年、第31回メフィスト賞)
単行本:『凍りのくじら』 『きのうの影踏み』 『かがみの孤城』など
未収蔵作品に『小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記』など

・仁木稔(2004年、早川書房)
短篇:「にんげんのくに = Le milieu humain」(『伊藤計劃トリビュート』)
未収蔵作品に『ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち』など

・垣谷美雨(2005年、第27回小説推理新人賞)
単行本:『四十歳、未婚出産』(非SF)
未所蔵作品に『結婚相手は抽選で』『夫のカノジョ』『七十歳死亡法案、可決』など

・津村記久子(2005年、第21回太宰治賞)
短篇:「ペチュニアフォールを知る二十の名所」(『20の短編小説』)
未所蔵作品に『浮遊霊ブラジル』(紫)など

・藤野可織(2006年、第103回文學界新人賞受賞)
単行本:『爪と目』(芥、非SF)
未所蔵作品に『いやしい鳥』『おはなしして子ちゃん』『ピエタとトランジ』など

・谷崎由依(2007年、第104回文學界新人賞)
単行本:『遠の眠りの』(非SF)
未収蔵作品に『鏡のなかのアジア』など

・福田和代(2007年、青心社)
単行本:『怪物』 『オーディンの鴉』

・最果タヒ(2008年、詩人(第13回中原中也賞))
単行本:『空が分裂する』(詩集)など
未収蔵作品に『渦森今日子は宇宙に期待しない。』『少女ABCDEFGHIJKLMN』など

・千早茜(2008年、第21回小説すばる新人賞)
単行本:『おとぎのかけら 新釈西洋童話集』
未収蔵作品に『魚神』など

・窪美澄(2009年、第8回女による女のためのR-18文学賞大賞)
単行本:『アカガミ』

・浅葉なつ(2010年、第17回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞)
単行本:『神様の御用人』

・彩瀬まる(2010年、第9回女による女のためのR-18文学賞読者賞)
単行本:『くちなし』
未収蔵作品に『森があふれる』など

・今村夏子(2010年、太宰治賞)
単行本:『星の子』 『むらさきのスカートの女』(芥、非SF)
未収蔵作品に『木になった亜沙』など

・小山田浩子(2010年、第42回新潮新人賞)
単行本:『工場』 『穴』(芥) 『庭』

・高山羽根子(2010年、第1回創元SF短編賞佳作)
単行本:『オブジェクタム』
未収蔵作品に『うどん、キツネつきの』『居た場所』など

・松崎有理(2010年、第1回創元SF短編賞)
単行本:『あがり』 『架空論文投稿計画』
未収蔵作品に『代書屋ミクラシリーズ』『5まで数える』『イブの末裔たちの明日』など

・松田青子(2010年、『早稲田文学)
単行本:『おばちゃんたちのいるところ』
未収蔵作品に『スタッキング可能』など

・雪舟えま(2011年、短歌研究社)
単行本:『凍土二人行黒スープ付き』 『恋シタイヨウ系』 『パラダイスィー8』など

・阿部智里(2012年、第19回松本清張賞)
単行本:『烏に単は似合わない』 『黄金(きん)の烏』 『空棺の烏』 『玉依姫』 『弥栄の烏』

・古谷田奈月(2013年、第25回日本ファンタジーノベル大賞)
単行本:『神前酔狂宴』
未収蔵作品に『星の民のクリスマス』(フ)『リリース』『望むのは』(セ)『無限の玄/風下の朱』など

・石井遊佳(2017年、第49回新潮新人賞)
単行本:『百年泥』(芥)

・黒澤いづみ(2018年、第57回メフィスト賞)
単行本:『人間に向いてない』

・櫻木みわ(2018年、講談社)
単行本:『うつくしい繭』

・方丈貴恵(2019年、第29回鮎川哲也賞)
単行本:『時空旅行者の砂時計』

アンソロジー企画についても書いておくと、上にも出てくる『ハンサムウーマン』という全篇女性作家(SF作家も多数)のアンソロジーが実質的にフェミニズムがテーマになっています。また、岸本佐知子編の変過ぎてほぼ全篇が幻想小説になっている群像』2014年2月号の特集「変愛小説集」に、女性作家では川上弘美、多和田葉子、本谷有希子、村田沙耶香、吉田知子、安藤モモ子、小池昌代、津島佑子らが短篇を寄せており、後に書籍(『変愛小説集 日本作家編』)にもなっています(書籍は未所蔵)。岸本佐知子本人も本業は翻訳家ですがエッセイとも小説ともつかない作品を多く書いており、『小川洋子の陶酔短篇箱』に「ラプンツェル未遂事件」が収録されています。

おまけ(所蔵されてないけど特筆すべき作家)

まずSF系作家のうち上に挙がってないのが、鈴木いづみ、藤本泉、殿谷みな子、井辻朱美(評論や『井辻朱美歌集』はありました)、中里友香など。

ほかに特筆すべき新人賞について、日本ファンタジーノベル大賞関連作家が上記の小野不由美、恩田陸、佐藤亜紀、高野史緒、畠中恵、古谷田奈月の他に、城戸光子、沢村凛、森青花、斉藤直子、粕谷知世、西條奈加、堀川アサコ、遠田潤子、紫野貴李、石野晶、勝山海百合、三國青葉、小説すばる新人賞関連作家が上記の篠田節子、千早茜の他に畑野智美(『ふたつの星とタイムマシン』『タイムマシンでは、行けない明日』)、渡辺優(『自由なサメと人間たちの夢』)、上畠菜緒(『しゃもぬまの島』)、女による女のためのR-18文学賞関連作家が上記の窪美澄、彩瀬まるの他に田中兆子(『徴産制』)、創元ファンタジイ新人賞出身作家が鴇澤亜妃子、白鷺あおいなどに加え、審査員を務める乾石智子。また『小説ジュニア(Cobalt)』関連(主にノベル大賞受賞者)が上記の島村洋子、図子慧、若木未生の他に氷室冴子、久美沙織、前田珠子、榎木洋子、桑原水菜、立原透耶、須賀しのぶ、真堂樹、谷瑞恵などほかのライトノベル作家が折原みと、壁井ユカコ、五代ゆう、竹宮ゆゆこ、中村うさぎ、ひかわ玲子、深沢美潮など。

児童文学系作家は上記の松谷みよ子、あまんきみこ、角野栄子、寮美千子、荻原規子、上橋菜穂子、森絵都、越水利江子、梨木香歩の他にも末吉暁子(『ミステリーゾーン進学塾』、「ざわざわ森のがんこちゃん」の脚本など)、柏葉幸子(『霧のむこうのふしぎな町』など)、令丈ヒロ子(『若おかみは小学生!』など)、さらに安房直子、石井桃子、岡野薫子、神沢利子、いぬいとみこなどの名も聞いたことがあると思います。

最後に純文学系から中島京子(『妻が椎茸だったころ』など)と、最近一般文芸に進出して積極的に作品を発表している小野美由紀(『ピュア』)や王谷晶(「移民の味」(『文藝』2020春季号))などを挙げるとほぼ網羅できたのではないでしょうか。

そういえば、小説ではありませんが花の24年組(萩尾望都、竹宮惠子、大島弓子、山岸凉子など)辺りから1990年代初頭までの女性漫画家(他に水樹和佳子、高橋留美子、わかつきめぐみ、CLAMP、川原泉など)は結構SFや重厚なファンタジー作品も描いており、星雲賞コミック部門や日本SF大賞を受賞する方もいました。最近では2016年に白井弓子の『WOMBS』が日本SF大賞を受賞しています。中には萩尾望都のように小説も書いている作家もいましたね。

本当の最後のおまけとして、先日刊行された待ちに待った伴名練編の『日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族』の編集後記に、新井素子以前の女性作家として上記にもあげられている倉橋由美子などの他に光波耀子(『怪奇篇』に「黄金珊瑚」が収録)、小泉喜美子、戸川昌子、岸田理生の名が挙げられています。そちらも是非どうぞ。

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