【読書感想文】銃・病原菌・鉄
「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」
ニューギニアの政治家ヤリがこの本の著者ジャック.ダイアモンド尋ねる所からプロローグが始まります。
2人の会話は、ニューギニアの人々と200年間その地を支配してきたヨーロッパ人との間にある明らかな技術の差、それはニューギニア人がヨーロッパ人の遺伝的に劣っているとは考えられない差に焦点を当てたものでした。
その答えの一つとして、アンナ・カレーニナの原則があります。
ロシアの文豪レフ・トルストイが1877年に発表した長編小説『アンナ・カレーニナ』に由来していて、「すべての幸せな家庭は似ている。不幸な家庭は、それぞれ異なる理由で不幸である。」という書き出しから来ています。
銃. 病原菌.鉄では、アンナ・カレーニナの原則により、動物が十分に従順であること、群生すること、飼育下での繁殖を厭わない、社会的優位のヒエラルキーを持っているなど6つの基準があり一つでも欠けていると家畜には適していないと書いています。
だから、家畜に適した動物は非常に少ないのです。
ユーラシア大陸以外には家畜に適した動物がほぼいない為、農業をしたり移動手段として家畜が使えず他の大陸の人類はユーラシア大陸に比べて文明を発達させられませんでした。
ところで、マッチングアプリもアンナ・カレーニナの原則を応用していると思いました。
趣味だとか性格だとか、年齢や挙句の果てに年収などをプロフィールに入れて、自分に一番合いそうな異性を紹介してくれます。
マッチングアプリの最大の目的は何でしょうか?それはそのアプリを通して交際できた男女を増やし、利用者にプレビューで良い評価をしてもらい、利用者を増やし運営会社がたくさんの手数料を取る事ですw
では、どのようにして交際できる男女を増やしているのでしょう?
お互いが探している条件に合わない部分が多いと、コンピューターが自動的にお相手候補から自動的に除外もしくは自分のログインしている画面からは見えない仕組みです。
確かに理にかなっています。多分、恋愛に慣れている男女ならマッチングアプリを使わなくても普通に付き合えるでしょう。マッチングアプリの利用者のほとんどが恋愛経験が少ない男女なのではないでしょうか?つまり、交際にこぎつけるのに成功する可能性を高めるよりも、失敗する可能性を排除する事によってお付き合いできる勝率を増やしていってるのです。
そこで重要になってくるのはアンナ・カレーニナの原則の「不幸な家庭は、それぞれ異なる理由で不幸である。」という部分。
男女がお付き合いまでこぎつけない原因は色々ありますが、相手に対して否定的な条件が少なければ交際に発展しやすいはず。
何故ならマッチングアプリはお付き合いをしたい男女が利用しているからです。
ユーラシア大陸だけが5大陸の中で、抜きん出て文明が発展して、他の大陸に住む人々を征服できたのか?というマクロな視点で書かれた本作ですが、かなり話がずれてスケールが小さい感想になってしまった事をこの場を借りてお詫びします。
しかし個人というミクロな視点で本作を読むと、応用できるポイントがいっぱいあります。その一例としてマッチングアプリを取り上げてみました。本作は1997年に出版された少し古い本ですが、今まで読んだ本の中で一番人生の役に立っています。
是非、皆さんも読んでみて下さいね。
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