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〔小説〕朝起きたらアザラシになっていた その39 夢十夜その8 化け猫襲来!
※この話はフィクションです。実在する人物・団体名とは何ら関係ございません。100%作者の脳内妄想のみで構成されています。
はじめに
朝起きたらアザラシになっていた俺は深夜のような暗さに面食らう。
アザラシなので置時計にヒレを伸ばして確認。
深夜23時だった。
気持ち5時間ほど早起きしたので食パンとベーコン、チーズでサンドイッチをつくりランチボックスに冷凍食品の総菜を詰め込む。
作り終えた弁当は腐敗しないよう冷蔵庫に詰めて寝室に戻ると暗がりになにかいる。
堂々とした足取りで現れた猫はそのまま冷蔵庫を開けて作り置きのランチボックスを取るので奪い返してからチュールをやる。
「七代祟ってやる」
人さまから飯をもらってるくせにこの猫はなに言ってるのだろう。
いや、俺は人じゃない。
ネコ目(もく)鰭脚類(ききゃくるい)アザラシ科だから(・ω・っ)З(アザラシ)様だ。
食い終えて屈伸をする猫になぜ祟るのか問いただす。
ときは戦乱の時代。猫の主人は俺の先祖からひどい仕打ちを受けたので仕返しに祟ると決意した。
だから俺の祖母からスタートして血を引いた一族を七代祟るという。
祖母の血を引いたといえば俺の親父も兄貴も叔父、叔母も従兄弟も甥も姪も血を引いた一族だぞ!DNAを受け継いでいたら無差別なのか?
たずねると猫はうなずいてお代わりを求める。
猫は何度もエサ食う。何度もお代わりする。ふてぶてしい。
それから二十年後
両者の法事を済ませた俺は元気に旅行している。
祖母は祟られる前に百歳で大往生。
父親は肺がんで死亡。猫が祟る40年以上も前から吸っていたタバコが命取りとなった。
猫の祟りはほとんど関係なかった。
そして俺に祟りがおよぶことがないと確信している。
なぜなら…
密かに親の毛髪をDNA鑑定に出して確認したからだ。
きっかけは学校の選択科目で民法を学んだ時に生みの親と育ての親、両方から財産を相続できる場合があると知った。
親なのか疑っていた俺は貯めたバイト代10万円とすでに成人した兄貴の免許証でDNA鑑定の予約をした。
毛髪を採集する際に違うサンプルが混入しないよう、親孝行と称して枕シーツを洗濯して取り換えた。
翌日、親の枕シーツから毛髪を採取した。
やはりDNAの繋がりがなかった。
おわりに
血筋、DNAと無関係な俺は元気に自転車旅行をエンジョイしている。
四国から見た瀬戸内海は古事記の神話を思わせる神秘的な景色だった。
今もあの猫にエサをあげている。
エサをあげたら満足したので横になって再び眠りにつく。
つづく。
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