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落語のはなし

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落語にまつわるお話です。はな平の考える落語の話から、落語の周辺の話、落語家独特のしきたりなどを取り上げています。初めての方が疑問に思うことを取り上げることを念頭に書くマガジンです。
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【あなたの知らない落語の世界】第7回「私が落語家になったきっかけ」

【あなたの知らない落語の世界】第7回「私が落語家になったきっかけ」

落語家が100回以上聞かれる質問に「どうして落語家になったんですか?」というのがあります。今日は改めてそれを考えてみたいと思います。

きっかけは落語家それぞれ違うので私の場合だと思って聞いて貰えばと思います。

①人前に出るのが好き根本的に子供の頃から人前に出るのが好きでした。だけど、これは一般的な「人前に出たい」とは違っていて、どちらかというと「人と違うことをして目立ちたい」くらいの感覚でしょ

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【あなたの知らない落語の世界】第4回「落語ってどうやって見に行くの?」

【あなたの知らない落語の世界】第4回「落語ってどうやって見に行くの?」

落語入門なnoteです。

今日は「落語ってどうやって見に行くの?」というテーマを取り上げてみます。

お客様によく訊かれるのが「はな平さん、どこでやってますか?」とか「落語ってどこにまず行けば良いんですか?」なんてことです。

私を含めて落語家はとにかく色々なところでやっています。テレビに出るような著名な噺家になるとほとんどがプレイガイド(チケットぴあやローチケなど)を通して販売していますが、そ

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【あなたの知らない落語の世界】第2回 「落語家って何?」

【あなたの知らない落語の世界】第2回 「落語家って何?」

落語家について定義してみます。これも、かなり意見が分かれるところで、噺家の間でもたびたび議論になります。落語家にもフリーという存在があったりして、果たしてフリーの落語家は落語家なのかとか、その辺の意見はそれぞれが違うと思います。今回は、そもそも落語家は何をもってして言うのかを考えてみます。

前回の落語と同様に三つの要素で考えます。

①師弟
②生業
③自己紹介

私なりに考えた落語家の要素です。

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落語家が噛みやすいセリフは意外なあれです。

落語家が噛みやすいセリフは意外なあれです。

落語家に「噛み」はつきものです。

噺の中で噛むのは大体ネタおろしとか、つまり慣れていない噺をする時です。やり慣れた噺は堂々とやるし、多少セリフを変えたりして喋りますが、慣れない噺は覚えたまんまのセリフに縛られることが多いので、そういう時に噛みやすいですね。

甘噛みなら良いですけど、噛みまくって何言ってるかわからないような時は本当にお客さんにごめんなさいって気持ちでやってます。

それも慣れなん

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チラシの写真は笑顔が良いのか?

チラシの写真は笑顔が良いのか?

福岡に凱旋して落語会をやると東京では気付けないようなことに気づかせてくれたりします。

今回はチラシの写真は笑顔が良いのか?という問題を考えていきます。

なぜ今回そんなことを考えるのかというと、先日の福岡の凱旋公演のチラシを見た人から「顔が恐い」という意見があったからです。

この意見はほんの1、2人の話なんですが、一人でもいるのはもしかしたら氷山の一角かもしれないなあと思ってちょっと考えてみま

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ナツノカモさんの会

ナツノカモさんの会

先日、ナツノカモさんの会にゲストで出演させて貰いました。カモさんとは学生時代からの知り合いで、入門もほぼ同時期です。落語家であった時期には一度しか一緒に落語を出来ませんでしたが、こうしてまたコラボ出来る日が来たのは嬉しいです。

ナツノカモさんが落語家を辞めたエピソードは自著にありますのでぜひまずはこちらを読んでください。

とてもやさしい読みやすい文章です。

現在は新作の落語を書いて演じたり、

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落語家の着物事情

落語家の着物事情

落語家は着物をユニフォームとして着ています。普段着から着物の人は全体の2、3%でしょうか。そういう意味でも着物はやっぱり高座で着るユニフォームです。

寄席なら15分くらい、独演会なら数時間、お客様の前で見せているだけです。でもだからこそ、気を遣うのが着物です。気を遣い過ぎもいけませんが、無頓着もいけません。程よく着物と付き合いたいですね。

基本セット

着物の基本セットは、長着(これ自体を着物

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三遊亭金翁師匠にお会いしました。

三遊亭金翁師匠にお会いしました。

昨日は雑誌『そろそろ』の取材で、金翁師匠のご自宅に伺わせて頂きました。いつの記事になるかは置いといて。

この取材、かなり貴重で興奮しました^_^

まず、金翁師匠がお元気でとても嬉しかったです。

90歳を過ぎた方が我々のような若造どもと喋ってくださるのもありがたいし、また普通に会話が出来るというのが本当にすごいです。

「若手に伝えたいことはございますか?」

というような生意気な質問にも真摯

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『左の腕』(無名塾)を観て

披露目の少し前ですけど、無名塾の『左の腕』を観ました。無名塾は、今は89歳になられる仲代達矢さんの劇団なのは言わずもがなですが、ご当人のお芝居たるや物凄いものがありました。

この『左の腕』は松本清張作で、落語にもなったり朗読で読まれたりしていますが、演劇で観たのは初めてです。

内容云々は触れませんが、僕はこの仲代達矢さんの芝居にある意味、到達点のようなものを感じたのでここに記します。

歳を重

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今までのネタおろしを振り返る

2021年12月27日の『勘蔵の死』をもって二つ目時代のネタおろしを終了します。

流石に真打までこれから残り3ヶ月しかないので、もうネタおろしは出来ません。

20と98僕はEvernoteにネタ帳をつけています。前座時代が20席。二つ目時代が98席でした。というわけで真打になるまでに覚えたネタの数は、118席ということですね。

その内、すぐにやれって言われて出来るのが大体30席。1、2回さら

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芸に死し、芸に生きよ。

前座の頃は体力を鍛えて、二つ目は精神力を鍛える。僕の場合はそんな感じで生きて来ました。

前座の頃の体力には精神力も内包してますが、圧倒的に身体が疲れているので、それを鍛える余裕がないというのが本当のところでしょうか。

それが二つ目になるといよいよ下働きから解放され、スケジュールが真っ白になって、頭の中も真っ白になるという、そこで落語と向き合いながら精神力を鍛えていく日々が始まります。

二つ目

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トリネタって何でしょう?

トリネタって何でしょう?

来年の披露目に向けて、トリで出来るネタをブラッシュアップしていく日々が続いています。新しく仕入れるというより、今までやったネタの中でベターなものを選んでそれを磨いて行く方が良いだろうと考えています。

披露目はおそらく普段お越しになっていなかった方々もいらっしゃると思うので、わかりやすいのが良いと考えて稽古しています。

さてそんなトリネタですが、芸人によっても考え方は様々です。トリでやるわけです

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寄席と持ち時間

寄席と持ち時間

寄席には持ち時間があります。大体15分前後。寄席に入る芸人は大体この15分の腹時計を持っています。腹というか口時計ですね。

仲入り(休憩)前に上がる人で20分くらい。で、トリが30分。皆これに合わせて喋っています。

僕としてはこの時間通りに出来るかどうかが本職のと素人の違いの一つだと思います。素人でも落語をやる方はいますけど、多分時間調整はあまり出来ないと思います。というか普段そんなこと意識し

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ネタ選び

ネタ選び

落語家にとってかなり重要なことが「ネタ選び」です。お客さんのウケ具合を左右するのがまずこのネタ選びです。

ネタを考えていく上で必要な情報は色々あるんですけど、ざっと言えばこんな感じです。

初めて聴く人が多いかどうか、年齢層はどうか、子供はいるか、男女比率はどうか、常連さんばっかりか、などなど噺家によってその必要とする材料は色々あると思います。

全員に共通して言えるのは最初の「初めて聴く人が多

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