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落語のはなし

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落語にまつわるお話です。はな平の考える落語の話から、落語の周辺の話、落語家独特のしきたりなどを取り上げています。初めての方が疑問に思うことを取り上げることを念頭に書くマガジンです。
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記事一覧

2024年の寄席出演日数

2024年の寄席出演日数

今年の寄席出演が終わりました。まだ12月下席がありますが、今のところ代演の連絡が来ておりませんので一旦ここでまとめます。

2024年の寄席出演日数は代演も含めて

103回でした。今年の最初に掲げた目標がとにかく代演でもなんでも100回出演することでしたので、達成できて良かったです。

わざわざ寄席の出演日数を書き留めるのも変ですが、それほど寄席に出ることが今は大変になってきているからでもありま

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芝浜はシンプルがいい

芝浜はシンプルがいい

最近、「芝浜」をやっている。この噺は二つ目になって2年ほどしてから覚えたので、10年以上はやっていることになる。だけど、一時期あまりやらない時期があった。「文七元結」をやるようになってその頻度が落ちたこともあるけど、一番の理由は「照れ」かもしれない。

特にこの噺の「照れ」の根源がおかみさんである。おかみさんが最後に独白するところは特に照れる。女性を演じることがあまり得手ではないこともあるが。

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【あなたの知らない落語の世界】第13回「落語と講談と浪曲」

今日は落語と講談と浪曲についてのお話です。共通するのはストーリーのあるものを語る芸であることです。だけど、その形式や内容には少しずつ違いがあるので、その辺りをお話しします。

今日の内容はかなり初歩的なものです。三つのポイントでお話しします。

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令和鹿芝居第七回公演「百年目浮世番頭」を終えて

令和鹿芝居第七回公演「百年目浮世番頭」を終えて

今年の鹿芝居が終わりました。11月の公演から逆算して、半年前に演目を決めて、プロットを考えて、夏頃にキャスティングオファーを出して進めて来ました。

私たちのこの令和鹿芝居は、時代物と世話物をバランスよくやっていこうというのが精神としてあるので、今までの芝居のチョイスのバランスを考えて、今年はわかりやすい演目で落語を題材にしようと考えました。

ちょうど落語協会が百年興行をやっているわけで、「百年

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なぜ鹿芝居をやるのか?

もうすぐ鹿芝居です。2018年頃からやってます。本番1ヶ月前は過酷です。頭の中が。なんせ自分で書いた脚本で、自分で演出して、自分で舞台も考えるので。衣装やカツラを把握するのも大変で、誰がどの衣装でどのカツラでと、それを考える作業が膨大で頭が痛くなりそうです。

そんな鹿芝居ですが、僕はどうしてもやりたいんです。なんでこんなにやりたいのかなあ。お金にはならないし、稽古時間もたくさんいるし、問題は山積

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落語家で野球の打線を組んでみた

落語家で野球の打線を組んでみた

今日は野球の打順を噺家で組んでみる。

①DHを導入しないルールで9番にピッチャーを置くセリーグのイメージで考える。

②生きている噺家で組むと色々と差し障りがあるので、故人で考える。

まずは、野球の打線における役割を調べたみた。

1番 上位打線の中でも特に出塁することが求めらる
2番 2番に強打者を置くチームも多い
3番 上位打線でありながら中軸でもあるハイブリッドな打順
4番 チームで1番

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独演会のご報告

独演会のご報告

第七回目の独演会が終わりました。今回のネタは以下の三席、昼夜共同じネタです。

一、狸札 立川公四楼
一、きゃいのう はな平
一、にらみ返し はな平
仲入り
一、甲府い はな平

前座は立川公四楼さん。同窓の先輩だけど、落語家としては18年ほどこっちが先輩。今まで中央区役所に勤めてたんですって。公務員の公ってわけです。

と言うわけで、今回は「にらみ返し」を一つの目玉に三席申し上げました。

「に

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【あなたの知らない落語の世界】第12回「落語家は何歳からなれるのか?」

落語家は何歳からなれるのか?

という質問を受けることがあります。落語家になれる年齢ははっきりいうと明確には決まっていませんが、今日は落語家になる年齢だったり、リミットだったり、キャリアだったりを考えてみます。あくまで私の考えなので落語界全体の考えではありませんのでご了承ください。

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2024秋の新真打、逆襲の真打。

今秋の新真打について話します。今度の真打は色々な意味でほっとけない真打です。

ハチヨンの人、一緒に会をやっている人、そして抜擢後の最初の真打です。

こんなこと、当人たちは思い出したくもないことだと思うんですけど、抜擢真打に関しては私も色々と以前触れたことがあるので、その後の彼らのことにはちゃんと触れておきたいと思い、四人についての思い出とか師匠のこととかを書いておきます。

・柳家花ごめ花ごめ

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【あなたの知らない落語の世界】第11回「台詞を忘れたらどうするの?」(有料)

【あなたの知らない落語の世界】第11回「台詞を忘れたらどうするの?」(有料)

今日は落語の台詞について考えてみます。そもそも落語には台本というものがありません。お芝居などには台本があって、それをみんなで共有しますが、落語の場合は口伝ですから、台本を渡されて覚えるのとは違って、自分で書き起こすわけです。そういう意味で台本はありません。書き起こしたノートだったりテキストデータもある人とない人がいます。

そんな落語ですが、お客様(特に初心者のお客様)に訊かれることに「台詞を忘れ

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覚醒!

覚醒!

今日は鶴見ひるま寄席で「幾代餅」。気持ちよくやらせてもらう。僕の中ではね、少し覚醒した予感。お客さんも少しだけ感じ取ってくれたかな。ずっとやってきた噺。好き勝手ハンドルを切れる噺だからではあるけど、ほんと好き勝手喋った。こういう感覚で他の噺も出来れば僕は売れるな。と思うくらい。

だけど、落語はそんなに簡単じゃない。

全部の噺で、アクセルの踏み外しが大胆にできて、ハンドルも自在に切れれば、最高な

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【あなたの知らない落語の世界】第10回「笑点」(有料)

【あなたの知らない落語の世界】第10回「笑点」(有料)

今日は笑点についてお話をします。落語家が100回以上は言われる「笑点には出ないんですか?」という質問がありますが、このざっくりした質問にモヤモヤするのは、私だけじゃないはずです。なぜこの質問にモヤモヤするかというと、落語家が思う「笑点」と、一般の人が思う「笑点」に乖離があるからだと思います。今日はそんな笑点についてお話しします。

今回の要点は三つです。

①大喜利
②昔と今の笑点
③落語の入り口

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圓朝忌と真景累ヶ淵

圓朝忌と真景累ヶ淵

本日8月11日は毎年恒例の圓朝忌へ出掛けて来ました。菩提寺である谷中全生庵で法要が行われ、落語協会にとっては公式な行事でもあります。

いわゆるお経をあげて、法事をするわけですが、少し他の法事と違うのは、最後に奉納落語があるところですかね。

本堂に向かって落語をします。落語家とお客様を背負って本堂に向かってやる落語は妙な緊張感がありますが、今日だけしかない特別なものでもあります。

今年は三遊亭

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【あなたの知らない落語の世界】第9回 「落語の楽しみ方」(有料)

【あなたの知らない落語の世界】第9回 「落語の楽しみ方」(有料)

落語入門9回目です。今日は「落語の楽しみ方について考えてみたいと思います。

落語ってどう楽しむものなの?

とよく聞かれますが、楽しみ方は人それぞれで、そもそも落語との出会いもさまざまです。エンタメに何を求めるかとか、その辺りの感覚でも変わってくるかと思います。

こちらでは、私林家はな平が思う落語の楽しみ方をご紹介します。今日も3つの項目で考えます。

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