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落語のはなし

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落語にまつわるお話です。はな平の考える落語の話から、落語の周辺の話、落語家独特のしきたりなどを取り上げています。初めての方が疑問に思うことを取り上げることを念頭に書くマガジンです。
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令和6年七月上席 夜の部 林家たけ平主任興行御礼

令和6年七月上席 夜の部 林家たけ平主任興行御礼

今日は兄弟子林家たけ平主任興行の千穐楽でした。

クイツキ(仲入り後)の出番を頂いて、三朝師匠と交互で五日間出演させていただきました⭐️

夜の番組の深いところに上がると、割となんでも出来る状況になるので、好きなネタをやりました。

とは言っても、昼の部から今まで出たネタ全てを踏まえた上で被らないようにしないといけないので、ネタ選びは少し大変です。

それと私が勝手に思っている「落語あるある」です

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【あなたの知らない落語の世界】第7回「私が落語家になったきっかけ」

【あなたの知らない落語の世界】第7回「私が落語家になったきっかけ」

落語家が100回以上聞かれる質問に「どうして落語家になったんですか?」というのがあります。今日は改めてそれを考えてみたいと思います。

きっかけは落語家それぞれ違うので私の場合だと思って聞いて貰えばと思います。

①人前に出るのが好き根本的に子供の頃から人前に出るのが好きでした。だけど、これは一般的な「人前に出たい」とは違っていて、どちらかというと「人と違うことをして目立ちたい」くらいの感覚でしょ

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【あなたの知らない落語の世界】第6回「はじめての人におすすめの落語は?」

【あなたの知らない落語の世界】第6回「はじめての人におすすめの落語は?」

今日は落語をはじめて聞く人におすすめのネタを紹介します。

この質問に対する問いは噺家100人いたら100通りになるくらい考え方が違うと思いますが、私なりにどういうネタが良いかを要素として考えてみました。

①ストーリーがあるストーリーのある噺がおすすめです。
これを言うと「落語ってそもそもストーリーがあるものでしょ?」という返事が来そうですが、確かに落語にはストーリーがあるんですが、意外とストー

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鈴本演芸場 主任興行を終えて

鈴本演芸場 主任興行を終えて

五月下席鈴本演芸場夜の部のトリの興行が終わりました。昨年の二月下席以来の二度目のトリでした。長いようであっという間の九日間で、今回は「季節(とき)知らず」と銘打って、季節関係なくネタを出しました。

このチャンスをくださいましたお席亭には本当に感謝でございます。

この五月に入ってから、ずっとこのトリのことで頭がいっぱいで、ネタをさらいつつ、DMを書いたり、自分に出来ることは精一杯やろうと務めまし

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【あなたの知らない落語の世界】第5回「落語って勉強しなきゃいけないの?」

【あなたの知らない落語の世界】第5回「落語って勉強しなきゃいけないの?」

「落語って難しいんですか?」「やっぱり江戸の言葉とか歴史を知ってないとわからないんですか?」

落語家なら一度はされる質問です。

今日は落語には知識が必要なのか?について答えてみます。あくまで私の見解で、落語家全員が思っていることではないと前置きをしてから進めてみたいと思います。

①必要なし

まず、結論から言うと勉強の必要はありません。事前に知識を入れる必要も全くありません。

そもそも知識

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【あなたの知らない落語の世界】第4回「落語ってどうやって見に行くの?」

【あなたの知らない落語の世界】第4回「落語ってどうやって見に行くの?」

落語入門なnoteです。

今日は「落語ってどうやって見に行くの?」というテーマを取り上げてみます。

お客様によく訊かれるのが「はな平さん、どこでやってますか?」とか「落語ってどこにまず行けば良いんですか?」なんてことです。

私を含めて落語家はとにかく色々なところでやっています。テレビに出るような著名な噺家になるとほとんどがプレイガイド(チケットぴあやローチケなど)を通して販売していますが、そ

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誰よりも詳しい、つる子・わん丈抜擢真打披露興行について。

誰よりも詳しい、つる子・わん丈抜擢真打披露興行について。

浅草演芸ホール千秋楽に、出演させて頂きました。

この芝居は、つる子・わん丈両師匠の披露興行です。

言わずもがなの抜擢真打ですが、今回の真打二人について今思ったことを書いておきます。

以前、抜かれた後輩たちのことについて1年ほど前に触れましたが、今回は二人について考えてみます。

僕はそうですが、人を抜いて真打になったわけでもなく、気を衒った(てらった)落語をするわけでもなく、「自分が面白いと

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【あなたの知らない落語の世界】第3回 「寄席って何?」

【あなたの知らない落語の世界】第3回 「寄席って何?」

今日は「寄席」について考えてみます。まずWikipediaによるとこのように書いてあります。

講談が先に書いてあるのは歴史が古いからだと思います。演芸を観客に見せる興行小屋というように、落語以外の芸も観られる場所ということがわかります。

その寄席について考えてみますが、主に東京をベースとしての考え方を記します。

①連続性がある寄席と普通の落語会の違いは、連続してやっているかが鍵だと思います。

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【あなたの知らない落語の世界】第2回 「落語家って何?」

【あなたの知らない落語の世界】第2回 「落語家って何?」

落語家について定義してみます。これも、かなり意見が分かれるところで、噺家の間でもたびたび議論になります。落語家にもフリーという存在があったりして、果たしてフリーの落語家は落語家なのかとか、その辺の意見はそれぞれが違うと思います。今回は、そもそも落語家は何をもってして言うのかを考えてみます。

前回の落語と同様に三つの要素で考えます。

①師弟
②生業
③自己紹介

私なりに考えた落語家の要素です。

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【あなたの知らない落語の世界】第1回「落語って何?」

【あなたの知らない落語の世界】第1回「落語って何?」

授業で落語落語を知らない方のために、新しく落語関連について考える場を設けました。私は某大学で年に14回ほどの「落語」の授業を持っています。落語について14回の授業で語るのはなかなか大変で、ともすれば2時間くらいで終わってしまうことを14回に分けて事細かに話しています。落語自体のこと、落語の成立と歴史、そして実演と。実演の中にもテーマを設けて、江戸の時間・お金とか吉原の話とか、怪談噺とか、14回にす

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福岡ツアー 2024年3月 御礼と総括

福岡ツアー 2024年3月 御礼と総括

福岡ツアーが終わりました。今回は全部で五公演。高座は11席ありました。どの会もたくさん入って本当によかったです。近いところで、聴いていただいて、ダイレクトに反応が来るので、私にとってもこの福岡での落語行脚は貴重な存在です。またレベルが上がったような感触があります。

今回のネタと総括も少し。

ぞろぞろ ゼフィール寄席 22日
崇徳院 ゼフィール寄席 22日
ゼフィール寄席はいわゆるカフェでの落語

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念願の‼️「紀伊國屋寄席」へ❣️

念願の‼️「紀伊國屋寄席」へ❣️

令和六年三月一九日は「紀伊國屋寄席」に出演させて頂きました。当日の番組は以下の通りです。

一、狸札 辰ぢろ
一、四段目 一花
一、錦の袈裟 はな平
一、馬の田楽 圓太郎
仲入り
一、口入屋 喬之助
一、心眼 正蔵

ここに辿り着くまでに十七年。ホール落語に出演するのが夢だった私にとっては、自分史の中でも大事な一日となりました。

寄席にもたくさん出て、ホール落語でもお声掛け頂く芸人になる。そんな

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落語家が噛みやすいセリフは意外なあれです。

落語家が噛みやすいセリフは意外なあれです。

落語家に「噛み」はつきものです。

噺の中で噛むのは大体ネタおろしとか、つまり慣れていない噺をする時です。やり慣れた噺は堂々とやるし、多少セリフを変えたりして喋りますが、慣れない噺は覚えたまんまのセリフに縛られることが多いので、そういう時に噛みやすいですね。

甘噛みなら良いですけど、噛みまくって何言ってるかわからないような時は本当にお客さんにごめんなさいって気持ちでやってます。

それも慣れなん

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噺家が高座で羽織を脱ぐわけ

噺家が高座で羽織を脱ぐわけ

よくお客様に「どうして羽織を脱ぐんですか?」「タイミングは決まっているんですか?」と訊かれます。これは確かに、観ている人からすれば不思議な動きですよね。噺家によっては出てきてすぐ脱ぐ人もいて、じゃあ着てこなくて良かったじゃんと思うこともあるかと思います。

羽織は二つ目から

二つ目から羽織を着るようになって、特に江戸落語においてはまず前座との区別という意味もあるでしょうし、これからお客様におもて

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