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落語のはなし

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落語にまつわるお話です。はな平の考える落語の話から、落語の周辺の話、落語家独特のしきたりなどを取り上げています。初めての方が疑問に思うことを取り上げることを念頭に書くマガジンです。
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記事一覧

2024秋の新真打、逆襲の真打。

今秋の新真打について話します。今度の真打は色々な意味でほっとけない真打です。

ハチヨンの人、一緒に会をやっている人、そして抜擢後の最初の真打です。

こんなこと、当人たちは思い出したくもないことだと思うんですけど、抜擢真打に関しては私も色々と以前触れたことがあるので、その後の彼らのことにはちゃんと触れておきたいと思い、四人についての思い出とか師匠のこととかを書いておきます。

・柳家花ごめ花ごめ

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【あなたの知らない落語の世界】第11回「台詞を忘れたらどうするの?」(有料)

【あなたの知らない落語の世界】第11回「台詞を忘れたらどうするの?」(有料)

今日は落語の台詞について考えてみます。そもそも落語には台本というものがありません。お芝居などには台本があって、それをみんなで共有しますが、落語の場合は口伝ですから、台本を渡されて覚えるのとは違って、自分で書き起こすわけです。そういう意味で台本はありません。書き起こしたノートだったりテキストデータもある人とない人がいます。

そんな落語ですが、お客様(特に初心者のお客様)に訊かれることに「台詞を忘れ

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覚醒!

覚醒!

今日は鶴見ひるま寄席で「幾代餅」。気持ちよくやらせてもらう。僕の中ではね、少し覚醒した予感。お客さんも少しだけ感じ取ってくれたかな。ずっとやってきた噺。好き勝手ハンドルを切れる噺だからではあるけど、ほんと好き勝手喋った。こういう感覚で他の噺も出来れば僕は売れるな。と思うくらい。

だけど、落語はそんなに簡単じゃない。

全部の噺で、アクセルの踏み外しが大胆にできて、ハンドルも自在に切れれば、最高な

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【あなたの知らない落語の世界】第10回「笑点」(有料)

【あなたの知らない落語の世界】第10回「笑点」(有料)

今日は笑点についてお話をします。落語家が100回以上は言われる「笑点には出ないんですか?」という質問がありますが、このざっくりした質問にモヤモヤするのは、私だけじゃないはずです。なぜこの質問にモヤモヤするかというと、落語家が思う「笑点」と、一般の人が思う「笑点」に乖離があるからだと思います。今日はそんな笑点についてお話しします。

今回の要点は三つです。

①大喜利
②昔と今の笑点
③落語の入り口

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圓朝忌と真景累ヶ淵

圓朝忌と真景累ヶ淵

本日8月11日は毎年恒例の圓朝忌へ出掛けて来ました。菩提寺である谷中全生庵で法要が行われ、落語協会にとっては公式な行事でもあります。

いわゆるお経をあげて、法事をするわけですが、少し他の法事と違うのは、最後に奉納落語があるところですかね。

本堂に向かって落語をします。落語家とお客様を背負って本堂に向かってやる落語は妙な緊張感がありますが、今日だけしかない特別なものでもあります。

今年は三遊亭

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【あなたの知らない落語の世界】第9回 「落語の楽しみ方」(有料)

【あなたの知らない落語の世界】第9回 「落語の楽しみ方」(有料)

落語入門9回目です。今日は「落語の楽しみ方について考えてみたいと思います。

落語ってどう楽しむものなの?

とよく聞かれますが、楽しみ方は人それぞれで、そもそも落語との出会いもさまざまです。エンタメに何を求めるかとか、その辺りの感覚でも変わってくるかと思います。

こちらでは、私林家はな平が思う落語の楽しみ方をご紹介します。今日も3つの項目で考えます。

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【あなたの知らない落語の世界】第8回 落語家の給料事情①(有料)

【あなたの知らない落語の世界】第8回 落語家の給料事情①(有料)

今日は落語家の給料事情について話します。落語家がどのようにお金をもらっているのかは、皆さまかなり気になることのようで、この質問は良く受けます。

コロナ禍においてはフリーランスに向けての支援というのが世間でも話題になりましたが、我々がまさにそのフリーランスです。このフリーランスというものをご理解頂いている方ならなんとなくその給料事情はわかるかと思います。

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令和6年七月上席 夜の部 林家たけ平主任興行御礼

令和6年七月上席 夜の部 林家たけ平主任興行御礼

今日は兄弟子林家たけ平主任興行の千穐楽でした。

クイツキ(仲入り後)の出番を頂いて、三朝師匠と交互で五日間出演させていただきました⭐️

夜の番組の深いところに上がると、割となんでも出来る状況になるので、好きなネタをやりました。

とは言っても、昼の部から今まで出たネタ全てを踏まえた上で被らないようにしないといけないので、ネタ選びは少し大変です。

それと私が勝手に思っている「落語あるある」です

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【あなたの知らない落語の世界】第7回「私が落語家になったきっかけ」(有料)

【あなたの知らない落語の世界】第7回「私が落語家になったきっかけ」(有料)

落語家が100回以上聞かれる質問に「どうして落語家になったんですか?」というのがあります。今日は改めてそれを考えてみたいと思います。

きっかけは落語家それぞれ違うので私の場合だと思って聞いて貰えばと思います。

①人前に出るのが好き根本的に子供の頃から人前に出るのが好きでした。だけど、これは一般的な「人前に出たい」とは違っていて、どちらかというと「人と違うことをして目立ちたい」くらいの感覚でしょ

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【あなたの知らない落語の世界】第6回「はじめての人におすすめの落語は?」(一部有料)

【あなたの知らない落語の世界】第6回「はじめての人におすすめの落語は?」(一部有料)

今日は落語をはじめて聞く人におすすめのネタを紹介します。

この質問に対する問いは噺家100人いたら100通りになるくらい考え方が違うと思いますが、私なりにどういうネタが良いかを要素として考えてみました。

①ストーリーがあるストーリーのある噺がおすすめです。
これを言うと「落語ってそもそもストーリーがあるものでしょ?」という返事が来そうですが、確かに落語にはストーリーがあるんですが、意外とストー

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鈴本演芸場 主任興行を終えて

鈴本演芸場 主任興行を終えて

五月下席鈴本演芸場夜の部のトリの興行が終わりました。昨年の二月下席以来の二度目のトリでした。長いようであっという間の九日間で、今回は「季節(とき)知らず」と銘打って、季節関係なくネタを出しました。

このチャンスをくださいましたお席亭には本当に感謝でございます。

この五月に入ってから、ずっとこのトリのことで頭がいっぱいで、ネタをさらいつつ、DMを書いたり、自分に出来ることは精一杯やろうと務めまし

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【あなたの知らない落語の世界】第5回「落語って勉強しなきゃいけないの?」(有料)

【あなたの知らない落語の世界】第5回「落語って勉強しなきゃいけないの?」(有料)

「落語って難しいんですか?」「やっぱり江戸の言葉とか歴史を知ってないとわからないんですか?」

落語家なら一度はされる質問です。

今日は落語には知識が必要なのか?について答えてみます。あくまで私の見解で、落語家全員が思っていることではないと前置きをしてから進めてみたいと思います。

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【あなたの知らない落語の世界】第4回「落語ってどうやって見に行くの?」(有料)

【あなたの知らない落語の世界】第4回「落語ってどうやって見に行くの?」(有料)

落語入門なnoteです。

今日は「落語ってどうやって見に行くの?」というテーマを取り上げてみます。

お客様によく訊かれるのが「はな平さん、どこでやってますか?」とか「落語ってどこにまず行けば良いんですか?」なんてことです。

私を含めて落語家はとにかく色々なところでやっています。テレビに出るような著名な噺家になるとほとんどがプレイガイド(チケットぴあやローチケなど)を通して販売していますが、そ

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誰よりも詳しい、つる子・わん丈抜擢真打披露興行について。

誰よりも詳しい、つる子・わん丈抜擢真打披露興行について。

浅草演芸ホール千秋楽に、出演させて頂きました。

この芝居は、つる子・わん丈両師匠の披露興行です。

言わずもがなの抜擢真打ですが、今回の真打二人について今思ったことを書いておきます。

以前、抜かれた後輩たちのことについて1年ほど前に触れましたが、今回は二人について考えてみます。

僕はそうですが、人を抜いて真打になったわけでもなく、気を衒った(てらった)落語をするわけでもなく、「自分が面白いと

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