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ベンチャーが育たない理由/「経営者」になっていない技術者・研究者・職人さん出身の社長さんたち


1.これ、お金足りなくなったらどうするんですか?

⑴ NHKの朝ドラを視聴して思ってしまうこと

こんばんは。
いきなりですが、NHKの朝ドラって観てますか?いま、BSでは「まんぷく」という日清食品の創業者で、インスタントラーメンを世界で初めて開発した安藤百福さんをモデルにしたドラマが放送されています。

あのドラマを見ていると、私自身もベンチャー企業の経営者ですので、勇気とやる気が湧きますし、公的支援機関で研究開発型ベンチャーの支援をしていますので、本当に我が事のようにみております。

ただ、現在の人財育成事業の前に、公認会計士業務として上場企業や中小企業さんを見ていた経験や、自らがベンチャー企業経営としての立場から、どうしても「このドラマの会社の資金面はどうなっているんだろう・・・」と考えてしまうんです。

何かアイディアがあって、それを事業展開していく、ビジネス系のドラマはたくさんあるかと思うのですが、それらを視聴するたびに、「会社の資金はどうしているのだろうか?」と疑問に感じちゃうんです。

そればかりか、騎士とか戦士が戦うファインタジーものの映画とか観ても、「この国の財政はどのようにして賄っているのだろう?」「これだけの大軍を運営するための軍事費はどう捻出しているんだろう」とかついつい気になってしまうんです。

まぁ、職業柄というのもあるでしょうし、ビジネスの現場で「お金」の大切さを嫌というほど見てきた経験もあるのだと思います。

⑵ とある医療系ベンチャー企業の社長さんと面談

 ① 泥臭いことは嫌がる研究系出身の経営者
上記のドラマと関連するのですが、私が公的機関でのベンチャー支援に従事しているときに、支援対象である、とある「医療系ベンチャー企業」の社長さんにお会いして、色々とヒアリングをすることがあったんです。

同社は、設立間もない会社で、もともと国内と米国の医療系研究機関で研究者として働いていたのですが、独自に「検査試薬キット」を開発し、それを研究機関や病院などに販売することを目指しておりました。

それで、同社の社長さんにお会いし、ヒアリングをしたのですが、私自身、この会社の製品や事業計画を見て感じていたことがあったんです。それは、

「これは売れるまでに、多少時間がかかるな・・・」と。

多くのベンチャー企業の支援をしていて、医療や農業の分野は参入障壁が高く、どんなに素晴らしい製品やサービスでも、かなりの営業力でもない限り、入るこむのが難しいことを知っていたからです。

このため、良い製品、良いサービスだからといって、リリースすればすぐに売上が上がるわけではなく、効果的なマーケティングや販路開拓、セールスといったことが必要になります。そして、それは非常に泥臭いことでもあります。

学会や医師の集まりなどに足繁く通い、時には飲み会に出席し、ゴルフなども一緒にやる必要があるかもしれません。また、門前払いになっても何度も病院の受けつき通い、権限ある人に会えるまで靴底をすり減らしながら営業をかける必要があるかもしれません。

営業畑の方が見えれば、上記のことは「えっ?当たり前やん!営業をなめとんのか!」と思われるかもしれません。しかし、研究系や技術系の経営者の人たちは、そのような営業、セールスといったことを全くやったことがないので、感覚として分からないのです。

このように感じた私は、その会社の社長さんと役員さんに次のことを聞き出しました。

「御社のこのキットを買ってくれそうな病院や研究所、大学の営業リストは作っていますか?また、どのようにしてアプローチをとりますか?直電ですか?それともメールや訪問ですか?」と。

その回答は「いえ、リストも作っていません。とりあえず、学会にだけ出てみようと思っています。」との回答でした。

なので、私は言いました。

「すぐに営業リストを作ってください。そのうえで、社長メンバーだけでなく、役員の人たちとも、営業リストを元に手分けして営業に行くようにしてください。
顔を見せて、挨拶に行くだけでもまずはいいですから。」

このような感じで、ベンチャー支援をしていたつくづく感じるのは、素晴らしい研究や技術のある企業はあっても、「営業を軽視している」、正確には「営業のことがよくわかっていない、感覚として分からない」、という経営者の方が多いのです。

 ② 計画通りに売れなかったらお金が足りなくなるんですけど
以上のように、当初は思うように売上が上がらない可能性が高いと感じた私は、資金面で不安を覚えたため、社長に

「この計画通りに行かなかったら資金足りなくなりますが、どうしますか?」

と聞いたんです。すると、答えは、

「いえ、まだ特に考えていないです」

との回答。

そこで、私は「すぐに近くの銀行の支店に行ってください!」とお伝えしました。

銀行さんにお金が足りなくなったら慌てて駆け込んでも、なかなか貸してくれません。その会社の事業や社長の人となりがわからないからです。ですので、私は、社長に向かって、このことを説明し、

「別にお金を借りなくても、挨拶程度で銀行に行き、事業のお話しや将来の展望などを話しておいて、顔見知りになっておくだけでも全然違います。ですので、『このような事業を新たに始めた○○です。以後、よろしくお願いいたします。』と挨拶しに行く程度でいいので、すぐに近くの支店さんにいってください。」

このような感じでアドバイスをいたしました。
そのとき、同社は設立してすぐで、まだ今から会社の活動を始める、という初期段階でした。ただ、私自身の経験と知識から、上記のように感じてのアドバイスだったのです。

そして、2年後の決算書がこれです

2.2年度の決算書の状況がこれ

⑴ 二度見三度見する決算の状況

私の経営塾で生きた教材として使っております

はい、こんな状態です。こうなると思ったんです。

⑵ いったい何が問題なのか?

では、いったい何が問題なのでしょうか?
私が思うに、色々な技術系、研究系社長を見ていて感じるのが、終局的には「経営者になっていない」ということです。

これは、工務店さんなど他の業種でも通底してますが、一番、顕著に出るのが「研究開発型ベンチャー」でないでしょうか。

研究と開発にそもそも資金と労力と時間がかかります。そのうえ、販売開始になったとしても、その後の販路開拓などで収益化に時間がかかります。

その間の資金繰りはどうするのか?これが現実的な問題としてのしかかります。

起業家や経営者が派手に立ち回るドラマでは、そのような現実的なことは描かれません。このためアイディアややる気、情熱があれば、事業は成功すると勘違いしがちですが、現実はリアルなんです。

結構、このことをちゃんと考えて、具体的な数字面に落としている経営者は少ないです。私が知っている会社で、上述の会社はまさしくその典型ですし、他社でも
資金調達に成功しているものの役員報酬が高すぎるところがあります。まだ、収益が安定し、巡航速度に乗っていないのにです。

資金調達で億単位のお金があるから「勘違い」している様子です。これは自分自身でも言い聞かせていることですが、資金調達でお金が手元に多額にあっても、それは売上収入で稼いだお金ではないということで。ここを勘違いしてはいけません。

3.結局、事業成功のためには何が必要なのか?

上記で長々と書かせいただ来ましたが、結局、「素晴らしいアイディア」「素晴らしい研究成果や技術」を持っているベンチャー企業が成功するためには何が必要なのでしょうか?

ここまで読んでくださったあなたなら、もうお分かりですね。そうです!

「経営者になること」です。

「作業・業務」と「経営」は違います。

「経営」には「経営の視点」があるのです。研究や開発の視点と「経営」は違うのです。このことをちゃんと学び、身につけてやらないと経営は失敗します。

では、この「経営」はどこで学ぶのでしょうか?
そして何より、「経営はどこで練習」するのでしょうか?

大学の経営学部で学べるにしても、大学では「経営の練習」はできません!
これでは、一度も運転の練習をしないまま、いきなり道に乗り出して車を運転するようなものです!

そこで、私は「人財育成のプロフェッショナル」として、「経営者」になっていただくべく、独自開発したビジネスゲームを使った「経営トレーニング」を主宰しております。

どんなに資金を提供しようが、どんなにインキュベーション施設を作ろうとも、どんなに士業やコンサルの支援を受けようとも、「経営するのは経営者自身」です!

なので、起業家育成、開業率の向上は、結局は「人づくり」が大事なんです!

私は「人財育成のプロフェッショナル」として、このような経営者の育成、経済人の育成にこれからも貢献できればと思っております!

今回の内容は以上になります!
なお、経営トレーニング(経営塾)の無料体験会もやっております!
3月30日(土曜)はオンラインのみの体験会を開催しておりますので、「ビジネスゲームを使って経営を練習してみたい!」という方は、ぜひ、参加してみてください。


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