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人的資本経営を成功に導く人事部門のKPIとは 〜ISO 30414への対応とHRテクノロジーの活用〜

昨今、ESG投資やISO 30414への対応を始めとした人的資本開示の高まりなど、人材を資本と捉え、積極的な人材投資を推進する人的資本経営が注目されています。

そこで今回、一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム代表理事の香川憲昭氏に、『人的資本経営を成功に導く人事部門のKPI』をテーマとして、ISO 30414への対応やHRテクノロジーの活用方法などについてお話を伺った記事から、一部抜粋してお届けします。

本インタビューの全文は、下記URLからダウンロード可能です。v
人的資本経営を成功に導く人事部門のKPIとは 〜ISO 30414への対応とHRテクノロジーの活用〜

Profile
一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム 代表理事 香川憲昭氏

KDDIで新規事業開発部門を経て、2001年に創業間もないドリームインキュベータに参加。経営コンサルティング及びベンチャー投資業務に従事。東証一部昇格に貢献。2007年にJINSホールディングス執行役員として経営企画室長、店舗運営責任者、総務人事責任者を歴任、東証一部昇格に貢献。2014年にGunosyに人事責任者として入社し、東証マザーズ上場を果たす。2020年9月より一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム(https://hr-technology.or.jp/)代表理事に就任し、現任。2020年10月にISO 30414リードコンサルタント認証を取得(日本初)→ドリームインキュベータと共に人的資本経営マネジメント(HCM)を支援。

人的資本の情報開示はなぜ必要か

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開示ルールが策定された際の影響
政府より「今年の夏には人的資本に関する開示ルールを策定する」という明確な発表があったので、企業における人的資本の情報開示は一斉に動き出すと思います。2021年にコーポレートガバナンスコードが改定され、TCFDに対応しようとする企業の動きが活発になりましたが、今回はその時と同様、もしくはそれ以上の勢いになるのではないかと思っています。

企業が開示していくべき情報
企業戦略や経営者のスタンスによって開示内容は変わってきますので、一概にどの情報を開示すべきだとは言えません。開示そのものは「手段」でしかないので、大切なのは「人への投資」を中長期の経営戦略における重要なものと捉え、数値に基づくマネジメントを行う仕組みを整えていくことです。

開示によって評価が高められる情報が乏しい中で「とにかく開示しないといけない!」と躍起になるのは意味がありません。その場合は、人的資本経営における数値に基づいた人事マネジメントから取り組んでいくべきです。人的資本の開示を先送りにしても、いつかは必ず取り組むことになるため、計画的に事前準備を進めていく方が良いと思います。

”守り”の人事から”攻め”の人事へ
開示の前段階の内容ですが、人事は戦略的な人材投資をしていくために、「攻めの人事」の割合を増やしていく工夫をすべきだと思います。経営側は「攻めの人事」に関する要望が多くあると思います。その要望に人事担当者が応えていくためには、「戦略的人事」に割く時間を増やしていくことが必要です。

HRテクノロジーを活用することで、守りの業務を効率化し、その上で攻めの業務に時間をより多く割くことができるので、積極的に活用していくと良いと思います。

人事が追うべきKPIとは

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KPIをどのように定めるか
人的資本は数値による成果指標を可視化することが難しいのが実情です。何をもって成果とするのかは各企業で議論が必要だと思います。経営回復しないと存続が危ぶまれる状況なのか、成長市場でチャレンジをしていく状況なのか、というように企業のライフサイクルの状況によって達成すべき人事のKPIは異なるためです。

人事の役割と責任
CHROのような立場であれば、KPIを決める場合も経営陣への説得や意思表示を積極的に行っていくことが求められます。その際に、なぜその意思を貫き通すのか、その必要性について説得力と熱意をもって伝えていくことが求められます。ですので、指標を策定するための議論を進めていくうえで、「言葉の定義と使い方」を整えていくことも重要であると考えています。

人的資本の情報開示に向けて蓄積すべきデータ
従業員と投資家の双方にとってプラスになるデータが望ましいのではないかと思います。個人的に注目しているのは、リーダーシップ・人的資本のROI・人材開発の3つの領域の数値指標です。

①リーダーシップ関連指標
「組織はリーダーで決まる」「組織はリーダーの「器」以上には大きくならない」という格言があるように、投資家にとって投資に値する企業なのかどうかを見極めるための判断材料として有効です。「誰がリーダーとしてふさわしいのか」といった、従業員ひとりひとりの意見をサーベイで収集することで、リーダーシップ指標を可視化することができます。

②人的資本のROIの指標
人的資本のROIは財務領域と人的資本領域のデータをつなぎ合わせて算出するので、投資家にとっては「質の高い人的資本経営ができている会社なのかどうか」を見極めるための判断材料になります。開示された情報からしか判断することができない投資家たちにとって、数字に基づいた横軸の比較ができる指標というのはとても重要なんです。逆にいえば、そういった比較ができない企業は、投資対象から外れるということでもあると思います。

③人材開発の指標
投資家にとって人材開発領域の指標は、今後も投資先として中長期でホールドし続けていくかどうかを判断する先行指標になります。「どれくらいのタイムスパンでリーダーが輩出されているのか」というデータによって、企業の人材開発環境や、人材開発に対する姿勢、今後の成長幅などが読み取れるため、重視される指標になると考えています。特にZ世代の社員におけるキャリア意識の高まりは顕著なので、人材開発への投資というのは経営的にも重要視すべきポイントになると思います。

人事はどのように取り組めばよいか

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HRテクノロジーが果たす役割
ISO 30414において「データは有効である」と明記されていることからも、HRテクノロジーは人的資本経営の根幹としての役割を果たしていくと考えています。人的資本経営を行うには、可能な限り広範なデータと、タレントマネジメント領域などの付加価値の高いデータを、効率的に集めて可視化する仕組みが必要です。その点において、HRテクノロジーの活用は非常に有効だと言えるでしょう。

企業の人材データ活用状況
各企業さまざまではありますが、よくありがちなケースとしては「データが活用可能な状態になっていない」という状況です。つまり、データはあるのに紙面上にしかない、情報が点在化している、ということですね。この状態だと、従業員数といった簡易データを出すことは比較的容易ですが、人的資本の開示において重要度の高い多様性に関するデータを抽出することが非常に難しくなります。

データ活用までの4つのステップ
大きく分けて4つのステップに区切ると分かりやすいかと思います。1つ目がデータ収集の段階、2つ目がデータを活用可能な状態に整えるデータマッピングの段階、3つ目が時系列に沿ってデータを蓄積する段階、4つ目がデータを分析・可視化する段階です。これらのステップにHRテクノロジーを活用し、スムーズなデータマネジメントを行っていくことが人的資本の開示において非常に重要です。

本インタビューの全文は、下記URLからダウンロード可能です。
人的資本経営を成功に導く人事部門のKPIとは 〜ISO 30414への対応とHRテクノロジーの活用〜

HRBrainについて

タレントマネジメントシステム『HRBrain』と従業員エクスペリエンスクラウド「EX Intelligence」などさまざまなクラウドシリーズを提供。人事業務の効率化や人材データの一元管理・活用、組織診断までをワンプロダクトで実現。人的資本開示に向けたサポートも対応しています。
サービスURL:https://www.hrbrain.jp/
資料ダウンロード:https://www.hrbrain.jp/contact-document-series

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