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「燔祭」  詩・本多裕樹

「燔祭」



時は明るく、日々は月の宮に

どこまでも、

どこまでも、星の瞬きが

点滅し、消えたり光ったり

あなたのように

華の輝きが妖しく

砂糖の甘さが肉体の瑞々しさに

時を終えたり、暗闇に

時はどこまでも

果てはあると言えども

髪の流れに芳しき世界が広がる

花の一輪を飾った星空は

その花を中心に演舞する

炎の回転が起こり

輝きが巡り周り光の粒が発散されて

星の夜空は満天となる

イシスの夜よ

天と地をつなぐ主の方よ

知恵をください

いつまでもつづく命の知恵を

生命とは水で

生命の水を飲ませたまえ

知恵の実を食べし人は

文明を建造し

繁栄し、

社会を生み出して

世の中を創造する

ヒゾプの香りにもにた

濃いワインのしたたりに

生命を感ずる世界は

命の繁茂が大地に広がって

時が終わるまでどこまでもつづくのか

お前の心に生命を

ヤコブの階段は降り行き

時の知恵が賢者に与えられ

そして呪われるだろう

赤い馬はかけゆき

青い馬はかけゆき

戦いは始まり、そして終わる

ただ、お前の勝利の祝福を授かるために

デルポイの神託を望むのだ

花を捧げましょう

牛の捧げ物は火で燃え

その香りは神々のなだめを願う

人々は花を捧げることで

天空の観想を得て

牛の捧げ物の燔祭で

世の罪は許される

ゲッセマネの祈りは汗と血をもって

花を燃やし

命は捧げられる

知恵の可能性はカルマで

燃焼すれば天に香りとして空気の一部になろう

あらゆる存在は火で燃やされ

灰になり

その灰をかぶり

情けを買う

灰を身につけ

かぶり

天は許しを与える

かつてあったであろう月の文明は

本当に昔々のこと、

どこから出たという

黄金の星

それは女性の肉体のように

あらゆる生命の調整の役割をもって

命の浄化を成す

イシスの知恵は

月の力を借りて

神智学を創始なせば、

あらゆる隠された知恵を啓示望む

時の賢者はそれを知り

世界を救うか

一人ひっそり万物を楽しむか

隠者となるかであろう

預言者は迫害されて

信仰ゆえに滅ぼされる人もいよう

時すでに遅くして

老年に悟りを得ても

天空への道は許されよう

死の番人は彼らを祝福し

イシスの顕現を光を見せられ浄化される

あなたはいましたか

どこに、あってもそこまでも

月夜に星を眺めては

汝が夢を思い出し

どこか、古代の思い出を

いつか、発見し、

輪廻を超えて私を探すだろう

イシスの月夜は

花を捧げ

いつしか大地は花でいっぱいの

安楽もまたあろう

時は巡り

遥か星の彼方のお話でありました

燔祭は今日も捧げられ

血は香りとなって

天は慰みを得たのだった。




2024年7月22日本多裕樹

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