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「文と花」  本多裕樹 詩

「文と花」

春は来たか そこまで どこまで
桜はちった 花は 花びらは川面に流れ浮いている
終わりは、初まりとなり
君を覚えたことだろう

守るべきものを守り
芥子の花の香りを楽しみ
悦楽の気分にはしゃぎ
快く眠る

春のあたたかな平原に
ただ、一人眠っているのだ
時は昼にて正午なり
あらゆる生命の繁茂が栄を覚えるのだ

君は確かにあって
夢の世界を旅立つのだ
愚かな思いに浮かれゆき
どこまでも足っていく

日々は過ぎ去る
過去は戻って来ない
だって、君がいないのだもの
帰ってこないあなたを思いながら

ソネットを歌いながら
君の喜びを覚え
悲しみも消え去るのだったよ
あなたの姿は光に消えていく

全ては劣化していく
若ければ栄える
衰えば死んでいく
若ければいつかは燃え消える

ただ、君の思いは過去にあって
私たちは未来を生きなくてはならない
未来は怖い
前は進むに勇気がいる

どこにいくのか
髪のささやく音
日々の葬送に
その香りは懐かしい

文を書き
先生を呼び
文は喜び
私は脅される

日々、そのことを覚え
自分の甲斐性のなさを提示する
花の香りが幻想を思い出させ
眠り快楽に身をゆだねるのだ

月影は自分を映す
文を読み
きっと
神格化したのだ、幻想が

ありえぬ日々に私たちは
苦悶もなく楽になれる
花の香りは私たちを救うのだ
いつも、喜んでいる

こうして花は苦悶を癒してくれる
終わりの日もないまま
花を眺めて
うっとりするのだった

令和6年4月20日 本多裕樹


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