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初デートで映画に行くヤバさ

映画は出来れば1人で観たい。
わたしはそういう人間だ。

よく、【初デートは映画がおすすめ】みたいなネット記事を見るけど、正気か?!と思う。
わたし的に映画デートはかなり高度で、もはや最終関門、突破できなくて当然くらいの難所である。

とはいえ、中高生の初々しい初デートに水を差すつもりはない。
上映中にどさくさに紛れて手を握ろうか悩んだり、こっそり隣を見て好きな人の顔がめちゃくちゃ近くにある幸せを感じたりするのは最高だ。

ただ、数百組の新郎新婦を担当してきた元ウェディングプランナーとして。
育った環境も考え方も、何もかも違う2人が「家族」というコミュニティを形成する覚悟や不安を間近で見てきた者として。
初デートで映画に行くことがいかにハードな選択かをお伝えしておきたい。

ざっくりまとめると、初デートに映画がおすすめな理由は大きく2つあるようだ。


『鑑賞後に自然と感想を述べあうことになるため話題に事欠かない』

これについては、「それはそうだけどそうじゃない。」

そもそも、映画を観なければ話題に事欠くような相手と、本当に付き合おうと思っているのか疑問に思う。
緊張して話せないとか、話下手とか言われたら、じゃあ仮に付き合えたらその後一生一緒に映画を見続けることになってしまうけどいいの?と聞きたい。

初デートで映画を観たらほぼほぼ、「おもしろかった?」みたいな話題になるだろう。
ただ、おもしろいかどうかを話し合うためには、お互いにとっての「おもしろいとは何か」について共通理解を持っておかねばならない。

例えば。突如としてカレーに例えると。

カレーといっても色々ある。
インドカレー、キーマカレー、スープカレー。
辛さの好みも辛口、甘口。
トッピングは?チーズ?パリパリチキン?
ライスにルウをかけるか、ライスをルウにつけるか。
ライスは邪道!ナンこそ至高!と言う人もいれば
手で食うのが礼儀だとか言う人もいるだろう。
そうかと思えば「カレーはカレーでしょw美味けりゃなんでもいーじゃんw」と言い出すやつもいて話はまとまらない。

そんな人間同士が惹かれあって、「初デート、カレー食べに行かない?」となったとして。
同じカレーを食べた後に「はい!意見交換せよ!」と言われて、いかに深い議論が交わせようか。
初デートならお互い「相手との関係を崩したくない」と思っているから、否定的な意見はできるだけ避けるだろうし、かといって過剰に褒めても共感が得られない。
探り探りで無難なことを言って「また行こうね~!」となるに決まっている。

ちなみに、「それでいいじゃん!一緒に過ごせて楽しかったし幸せだった!また更に好きになった!」と思えたらならば、それが正解です。
おめでとうございます。カップル爆誕。

でもここでなんか心当たりがある人もいると思う。
もちろん好きな人と一緒に過ごせたからハッピーだったけれど、これは果たして映画でなければいけなかったのか?映画じゃなければ、もっと別の話ができたんじゃないか?

そうつまり、知らない相手と感性や思考を共有するには、映画は情報量が多すぎるのだ。
テーマ・監督・俳優・アーティスト・原作・ジャンル。期待する面がそれぞれあって、特に気にしない部分があって、否定されても傷つかない人もいれば、絶対に意見されたくない人もいる。映画ってかなりセンシティブなのだ。

だから、何を言われても気にしない、もしくは誤解なく受け止められるような関係性を築いた人となら安心して観ることができる。

『相手の価値観を知ることができる』

これについては完全に同意である。
しかし初デートにおいては、それがいいのか悪いのかはわからない。

映画に行くだけで相手の行動パターンや思考についてたくさん知ることができる。

・どの映画を観るか→話し合うのか、相手に任せるのか。事前に決めておくのか、当日決めるのか。

・チケットの購入→当日買うのか、事前に買っておくのか。

・席はどこを選ぶのか→通路側?出入り口付近?最後列?ボックスシート?

・何時に映画館に行くか→待ちたくない?予告も見たい?

・フードを購入するか→持ち込みは禁止だけど・・・

・鑑賞マナーはどうか?


・・・書ききられない。

山ほどの選択肢を相手と全く同じルートで進むことなどほとんど不可能である。
でも、どこで地雷を踏むかもわからない。
関係性ができている相手には「それってどうかと思う」とか「こうしてほしい」と言いやすいと思う。
ただ、初デートとなるとそうもいかない。
だから見知らぬところで相手の地雷を踏んでしまって、取り返しがつかなくなる可能性がある。

誰しも間違うことはある。一度の過ちだけでその人のすべてを判断してしまうのはもったいない。にも関わらず、「初デート映画」はリスクが多すぎる。

何度も言うが、そんなの気にならないくらい心地いい相手、建設的批判や指摘ができる関係性の相手ならば問題はない。


このように初デートで映画に行くことはかなりリスクを伴う。
しかし、場合によっては神がかり的運命を感じてしまう可能性もある。ギャンブルだ。
だからわたしはお勧めしないし、行きたくない。誘ったこともないし、誘われたら浅はかな男だなと思って冷めてしまうか、もしくは異常なまでに期待してしまう。


ここまで書いて思ったが、わたしみたいな女と付き合えている彼氏は結構ヤバイ。
ちなみに初デートはごはん屋さんで、仕事への向き合い方について数時間語らった。
これについても特におすすめはしない。

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