見出し画像

地域をまるごと食べれる村に!! 世界で学んだシェフが本気で挑む地域おこし

こんにちは! 萩市ローカルエディターの上田です。今回取材をお願いしたのは同じ協力隊の先輩で、萩食材の商品開発やPRをはじめ、食を通じての地域交流などに取り組んでいる岡本智之さん(所属:萩市旭総合事務所)。彼は平成30年の春に着任し現在約2年半の任期を勤め、来年卒業を控えています。移住を考えている方や地域おこし協力隊への応募を考えている方などに、酸いも甘いも嚙み分けたベテラン協力隊員である岡本さんの体験談、地域への想い、移住希望者へ向けたメッセージなどをお届けしたいと思います。

上田:岡本さんのご出身は?

岡本さん:岡山県です。

上田:協力隊になる以前の岡本さんは何をされていたのですか?

岡本さん:27歳で独立してレストランを経営してました。経営は順調でしたがスタッフなどが増えるにつれ、元々やりたかったことが出来なくなってきて。お店のトップとしては日々自分で勉強していかなくてはいけないんですが、技術の壁と(理想とは違う形で)お店の色も出来あがってしまっていたので、このままではダメだと思い、店を売却し勉強のため海外にいくことにしたんです。現地では「これは」と思うお店5店舗で働き、自らの理想を追い求めました。勉強を終え帰国した後は成果を仕事に活かそうと思いましたが、これはと思う仕事が地元にないのと子どもが生まれた事もあり、結果としてアルバイトを転々とする生活になっていました。
 
 
〜かつて店を経営し、海外でも勉強してきた理想像を実現できる場所を探そうと、岡本さんはいつしか移住を考えるように。実際色んなところに行って「どこがいいかな?」と探し回っていたそうです。その時フラッと萩市に遊びに来て「ここイイな!」ってなったとか〜
 
 
上田:実際、萩のどんなところが良かったのですか?

岡本さん:料理ってのは理系の世界なんですけど、その裏面で“文化”っていう文系の面があるんですよね。なので、どちらかというのではなく、理系と文系の両方を勉強する必要があるんですけど…。で萩っていうのは、凄くいい豊かな文化を持っているし、食材も凄いんですよ。そこは素晴らしいなと思って…。あと、お店やってても生産者さん達と実際に結びつくことってあんまり無いんですよね。結構努力しないと結びつかない感じだったけど、ここだったら当たり前のように結びついて、自然と料理できるっていう感じが自分の理想に近いかなって。移住というだけなら海外という選択肢もあったんですが、家内や子供のことを考えるとやはり国内でした。萩だったら、これだけいい条件も揃っているし良いんじゃないか? ということで移住を決めました。

僕は地域まるごと『食べれる村』って感じにしていきたい!

上田:しかし、どうして「地域おこし協力隊」だったんですか?

岡本さん:先輩が萩で(協力隊を)やっていてその存在を知り、地域と繋がって自分ができることを広げていくっていうのはいいなと思いました。“食を通して何かする活動”がしたいと思っていたので、自分なりに計画を立て実行していきました。最初は自分の想いを共有できる人も少なく苦労もありましたが、時間をかけ少しずつ信頼関係を構築していったことで、だんだんと生産者さんたちと繋がっていくことができ、人間関係はもちろんですが、野菜の育て方や美味しさについてなどでも多くの新しい発見があって大変有難かったです。

上田:萩で食を通した活動とはどんなことですか?

岡本さん:自分の目的はお店をすること、みたいにみられがちだけど、お店ってのはひとつのツールであって、ひとつのスタートなんですよ。だから今はお店をオープンさせるために空き家を改修したりして色々やってるけど、これをきっかけにもっと地域を循環させていけるようになればいいなと思います。僕はこの地域自体を『食べれる村』って感じにしていきたいんです。だからまずはここでお店を成功させないとね、“それ”が出来ないんで(笑)

上田:どうして空き家を改修してお店をやろうとしたんですか?

岡本さん:この家はこの地のもので作られた古民家なんです。僕がやろうとしていることは、この地と向き合って料理を作るということなので、この家に出会った時に感動したというか、一目惚れしたんです。この地を活かしたものを作りたいっていう発想にぴったりの物件でした。この古民家を再生させ、地元の生産者さんが活躍して喜びを共有できる場所にしたいと思いました。生産者の皆さんは黙々と野菜を作られてます。結構重労働だったりする中で、実態よりも評価されずにやってるんですよね。なんか喜ぶ場所っていうのが必要なんだと思うんですよね。だから店を作って、そこで生産者さん達の野菜を使って“あれ、メチャクチャ美味しかったですよ!”ってお客さんに言ってもらったらみんなのモチベーションももう少し上がるんじゃないかなって…。
 
 
〜シェフである岡本さんが古民家をお店にすべく自ら工具を取って改修する…。えー!? そんなことできるんですか? と驚きをもってお聞きしたところ、帰ってきた答えは『やれば、慣れる!』でした。私などは大工さんや業者の方に全てお任せしてもいいんじゃないかな? と思ってしまいますが、おそらく地域の一部になっていきたいという強い想いが岡本さんに工具を取らせたのでしょう、完成は 2021年春の予定だそうです〜
 
 
“萩ガストロノミーという言葉に込める想い”

上田:萩市でWeb公開されている、地域おこし協力隊としての岡本さんのプロフィールを拝見しましました。その中に“萩ガストロノミー”という言葉がありましたが、どんな意味なんですか?

岡本さん:現代社会において地域の食材と向き合って、それにストーリーを付けるってなかなか出来てないと思うんです。今って物流が凄くて、無いものはすぐ外の地域から引っ張ってきちゃうけど、外から持ってきちゃったらその地域である必要があんまりなくなってきちゃうんですよね。だったら、その地にないものはないとして“じゃあどうしようかな”って考える方がその地域の色が出てくるんじゃないかなって、それを見つめ続けるのがガストロノミー(美食学)なんじゃないかなって思ってます。それを『萩』の地でやるから“萩ガストロノミー”。これからはあまり知られていない食材(例えば山に自生している食べれる草とか)なども見つけて料理に活かすようにしたいです。あくまでも、この地やここで作っている方が主役で、店はそれを集約して表現する場でありたいですね。

画像1

画像2

信頼関係を築けばありのままの自分で過ごせる!田舎はチャンスに溢れてる!!

上田:今、全国で地域おこし協力隊という存在が注目されつつある中、これから協力隊に応募したいな、と考えている方々に何かアドバイスやメッセージはありませんか?

岡本さん:協力隊ってけっこう都会からくることが多いと思うんです。で、都会が嫌になって田舎を理想にしている部分もあるかもしれないけれど、結局田舎に来ても解決しなくてはならない部分がすごく多いです。だから、もし都会で何か問題を抱えていたとしたら、それを都会で全部出し切ってもらいたいと思うんですよね。結果はともかく、都会でうまくいかないことに挑んで、その経験を持って来たらたぶんうまく回るんじゃないかな、という思いは大きいですね。技術も必要だけど、まずは根気強く信頼関係を築いていく。それができたら色んなことが許されるというか、ありのままでいられるというか…。そうなると気持ちいいですよ。あと、いろんな仕事振られるんですけど、プレーヤーがまずいないんですよ。全部こっちに振られるような感じなんですけど(笑)だから田舎っていろんなチャンスがあるので、とにかくいろんな人に来て欲しいなっていう感じですよね。

上田:岡本さんありがとうございました。
 
 
〜「地域と向き合って料理を作る」という想いは、土地の生産者さん達との繋がりを生み、少しずつ実現に向かっています。お店のオープンも楽しみですが、そこで提供される料理がどんなものになるのかも興味深いですね。以上、レポートはローカルエディター上田晃司でした〜
 
 
★古民家レストランのリノベーションを応援したい人
★岡本さんのレストランに行ってみないなぁと思った人
★この記事が“いいな”とか“気になる”と思った人
は、ぜひ「興味ある」のボタンを押してくださいね。今後も経過レポートをお届けします!

<岡本シェフ情報!>
YouTube「パエリャ巡礼」はこちら▷ https://youtu.be/14oA8YzE2rM
 

画像3

KOJI0150のコピー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?