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34歳のおじさんの肌からドーランの匂いがした話 〜消しカスちゃんの東京ライフ〜





自己紹介

わたしについて

はじめまして。

消しカスちゃんです。

年齢は23歳、役職は新卒ピチピチOL。

今年の春から上京してきました。

世間で言う

𝑱𝒂𝒑𝒂𝒏𝒆𝒔𝒆 𝒕𝒓𝒂𝒅𝒊𝒕𝒊𝒐𝒏𝒂𝒍 𝒄𝒐𝒎𝒑𝒂𝒏𝒚(ジャパニーズ トラディショナル カンパニー)に勤めています。

ちなみにどうして私なんかに内定が出たのか全く分かりません。面接官、前世で私に命救われたのかな。

このnoteでは20数年ド田舎で暮らしていた私が、この汚ぇ東京で若さと不確かな迷いの中ウェカピポする日々を綴りたいと思います。

よろしければ、ご覧あそばせ。

おじさん(34)とセックスした話


出会い

あれは東京に来て1週間目、はじめての週末の事でしたね。

ホームシック、寂しさ、元々の性欲の強さ

様々な要因が複雑に絡まった結果

「誰かとデートしてぇ〜」

という気持ちで溢れていました。

でも、マッチングアプリなんぞ使うにはあまりに麗らかすぎる春だったわけです。桜なんか咲いちゃって!

そんな私は(アプリ名は言えないんだけど)
某チャットアプリをインストールし、乱立するメッセージを眺めていました。

”誰か今日お花見行ける人ー?”

目に止まった”お花見”の文字。
いいじゃん、お花見いいじゃん。
しかも、会ったことない人と。なんだかロマンチックじゃん。(絶対に真似しないでね)

早速、お花見相手募集のメッセージに「行きたいです!」と返事し、夜から新宿の公園の桜を見に行くことになった。

そして夜、新宿駅。

新宿駅での待ち合わせは非常に難しい。相手が何線を使ってるかによって全然集える場所が違う。100人いれば100人の新宿駅があるのだ(?)。

なんとか待ち合わせ場所の電気屋の前までたどり着いた。ドキドキ。どんな人が来るんだろう。メッセージした感じは若そうだ。こういう待ち合わせって相手も気になるけど、自分でガッカリさせないかも結構気になる。そんなこと考えず涼しい顔で待てる美人が羨ましい。

さて、この勝負吉と出るか凶と出るか……

「消しカスちゃん?」

そう言って現れたのは、爬虫類顔のイケメンだった。

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!大吉大吉ぃ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

脳内はもう、おみくじフィーバーパーリナイ。くす玉パカーンして「大吉」出てくるし、神社みたいなところで紙吹雪舞ったし、プォォ〜〜〜〜〜〜〜ンみたいな雅な音楽は流れるし、巫女も踊り狂ってる。

彼、田中さん(仮名)としよう。
田中さんは、GUに売ってそうなトートバッグに、GUに売ってそうなシャツとパンツを着ていた。

「消しカスちゃん何歳?」
「23ですよー、田中さんは?」

落ち着いてるから年上ではありそうだけど、そこまで年は離れてないだろう。24.25歳というところか。

「年言ったらびっくりするんじゃないかなぁ」
「え?27歳くらいじゃないの?」
「俺、34なんだよね」

どひゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

34!!?!?

そうなってくると、全身GUもチャットアプリで女探してるのも全て見方が変わってくる。まあ22でもそんなことやるなよって話ではあるけど(切腹)

痛おぢや……

まさかの大吉からスライディングで小吉にチェンジ。
脳内の巫女達も妙な雰囲気を察知して「え?どうする?舞うのやめとく?」「ありぢゃね?」とか話してる。脳内巫女、ギャルだ。


けどまぁイケメンではあるし、全然34に見えないのが逆にすごくなってきた。

撤収しかけてた脳内の巫女を呼び止めて静かに舞わせるくらいのテンション感にどうにか持ち直し、田中さん(34)とのお花見デートを楽しんだ。
1年分桜を見つめまくり上げた頃、田中は「いいところ連れてってあげる」と提案しきた。

会ったばかりの男の言う”良いところ”ほど怖いものもないよ、田中。そう言いたいところだったけど大人しく田中に着いていった。 

田中に連れていかれたのは展望台。東京の夜景が一望できる。

やるやん、田中。伊達に歳食ってない。
サプライズ展望台もお手の物ってわけね。



わ〜、きれーいなんて言って夜景を楽しむ私たちだったが、展望台から見覚えのあるビルが目に見えた。
弊社だった。最悪だ、月曜日のことを思い出してしまった。
萎えに萎えた私は早々に展望台を下りることを提案してそのまま田中と別れて帰った。

ごめん田中、田中は悪くないんだ。
あんなとこにある弊社が悪いんだ……。

低反発枕、そしてドーラン


なんやかんやあり、田中と2回目のデートに行った。
焼き鳥から、うちで飲みなおして、事に及んだ。

恥ずかしながら、私(わたくし)、事の経験はそれほど多くなく、しかも一回り離れた男とはなおのこと経験がなかったので期待大。

そんな中、田中の二の腕に触れてびっくりした。
水分が無い。明らかに同世代と比べて肌の水分量が少ない。人間は60パーセントが水分なんて言うけど、多分田中の体内にはヤクルト1個分くらいしか水分が含まれていなかったと思う。
水分は感じないけどやけに柔らかい。

……何かに似ている

低反発枕だ。
実家にある10年くらい使ってる低反発枕そっくり。
押したら、1テンポ遅れて元に戻りそうな肌。

おじさんの肌が低反発枕だとわかっただけでも大きな収穫なのに、田中とのセックスはもうひとつ私に知見をくれた。


おじさんは、ドーランの匂いがする。

ドーランってわかるかな、あの、舞台用ファンデーション。
顔からとかじゃない、鎖骨、鎖骨からドーランの匂いするんだもん。流行りのメンズメイクではなさそう。

なんでドーランの匂いするんだこいつ。プライベートでは歌舞伎かバレエかやってるのか??
ハッ、言われてみれば片岡愛之助に似てる。
田中、片岡界隈だったのか。

鏡台の前でドーラン塗りながら「私お蕎麦の天ぷらはイカじゃなきゃ嫌っていったわよねぇ?!」と弟子にキレ散らかす田中が目に浮かんだ。

歌舞伎役者への解像度が低い上に、半沢直樹のオネエの片岡愛之助と混ざって質の悪い田中の虚像を作り上げてしまった。

おかげであんまり濡れず、そんなに良くもないセックスだった。
ごめんね田中、今回ばかりはドーランくさい田中が悪い。

別れ

その後、田中とはポチポチLINEしてたが、
恋愛相談をした途端

「うんうん」
「それはなんで?」
「どうしてそう考えるの?」

と卒論製作の時の教授並みに詰められたのでLINEを返さなくなった。

田中、貴重な経験をありがとう。

これを読んでくれた人、おじさんはドーランのにおいがする、これだけ覚えて帰ってください。


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