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Hane * 絵のない絵本棚

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絵のない絵本を思うままに書いています。 よろしければ見てください(*^^*)
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絵のない絵本⑱ うちのかあちゃんは忍者かもしれない

絵のない絵本⑱ うちのかあちゃんは忍者かもしれない

ぼくには、

母ちゃんそっくりなこわい姉ちゃんと

父ちゃん自慢の大食いな妹がいる。

ぼくは、ごく普通の小学3年生だ。

昨日はイヤなイヤな参観日だったんだけど、ぼくは不思議なことに気がついた。

父ちゃんは大工の仕事がいつも忙しい。

とうぜん、参観日も父ちゃんは忙しい。

母ちゃん一人で3人の授業を見るんだけど、3人もムリだろうから、

ぼくは

「来なくて大丈夫」だと言ったんだ。

本当は

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絵のない絵本⑰ おじいさんからのプレゼント

絵のない絵本⑰ おじいさんからのプレゼント

空はグレー。今にも消えそうな雪がちらちらしていた。

ぼくは、たいくつな今日を

さらにたいくつにさせて過ごしていた。

コンコンコン

ドアをたたく音がした。

ぼくの体に“たいくつ”がまとわりついて動けない。

ドンドンドン!

!?

ハッとした。

目が覚めたようだった。

ドアをあけると、そこには

赤いセーターを着た、まんまるな体の大きなおじいさんが立っていた。

白いひげで口が隠れて

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絵のない絵本⑯ 花の一生。~めぐる~

絵のない絵本⑯ 花の一生。~めぐる~

ちいさなちいさな“たね”

栄養と空気たっぷりに耕した“つち”に

ぽん。

水と栄養と太陽と、それから、

すくすく元気に育ってね。って“めでる”の。

まいにち、まいにち、愛でてるうちに、

かわいいちいさな“め”が

ぽん。

かわいいね。ってみんなえがお。

大きくなぁれ。

大きくなぁれ。

がんばれ。がんばれ。

美しい花。

立派な花。

強く逞しく。

時には優しく、時には厳しく。

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絵のない絵本⑮ あおちゃんとあかくん(みちをあるくときは?)

絵のない絵本⑮ あおちゃんとあかくん(みちをあるくときは?)

あおちゃんとあかくんは、おさんぼがだいすき。

いつもふたりでおさんぽにでかけます。

あおちゃんは、てくてくてくてく。

「あ!ありさんだ!」

「こっちにはちょうちょ!」

「みてみて!かわいいお花だよ!」

あっちへてくてく。こっちへてくてく。

あらあら、ぶつかりそう。

あかくんは、はらはら。

「きゅうに走っちゃぶつかるよぉ。」

「よそ見してたらこけちゃうよ。」

「そっちはあぶない

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絵のない絵本⑭ ぼくのきいろいくつ

絵のない絵本⑭ ぼくのきいろいくつ

ぼくのくつはきいろいくつ。

パパがすきないろの、ぼくのきいろいくつ。

パパが「こんどのうんどうかいはこれで、だれにも負けないぞ!」と言って買ってくれた、ぼくのきいろいくつ。

このくつをはいていると、ほんとうにだれにもまけない。

かっこいい、ぼくのきいろいくつ。

このくつがあれば、だれよりもたかく、だれよりもはやく、だれよりも力がつよくなる。

毎日のれんしゅうも、へっちゃらなんだ。

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絵のない絵本⑬ まま、がんばれっていってよ

絵のない絵本⑬ まま、がんばれっていってよ

つみきむつかしい。

「まま、がんばれっていってよ!」

「がんばれー!」

「できたよー!」

こけちゃた。ぐすん。

「まま、がんばれっていってよぉ。」

「がんばれ。」

「もう歩けれる!」

「まま、がんばれっていってよ。」

“?”

ゆびさす、テレビの向こう側。

“泣いてるね…”

「いっしょに言おうか。」

「がんばれー!」

絵のない絵本⑫ こもりうた

絵のない絵本⑫ こもりうた

“ゆっくりおやすみ

きょうもいいこだったね

ゆっくりおやすみ

あしたもいいこだね”

うでの中の、ぬくもりとミルクのにおい。

“ありがとう”と“だいすき”を抱いて。

“どんなユメをみてるの?

きょうもいっぱい泣いたね

あした、きっと今日より

あたらしい出会いがまってるから”

まだ泣くことしかできないあなたが

あした、みるせかいも平和でありますように

“ゆっくりおやすみ あした

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絵のない絵本⑪ かぼちゃのおばけだぞ~!

絵のない絵本⑪ かぼちゃのおばけだぞ~!

「ママ!そのくろい服、のんちゃんにかして!」

「何するの?」

ニヤリとしながらのんちゃんは

「ひみつにきまってるでしょ~!」

とパパの黒いシャツを持ってへやのとびらを閉めた。

パタンっ

のんちゃんはたくさんの“たのしいひみつ”を思いつく。

今日は何かな?

食器を洗っていると、

ツンツンツン

ふとももをつつかれた。

“ふふふ、きたきた!”

ふり向くと、のんちゃん。

「かぼち

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絵のない絵本⑩ かぜのうた

絵のない絵本⑩ かぜのうた

さわさわさわ

草木がゆれている。

「はっぱがうたってるね!」あおちゃんが言った。

「ほんとだ!うたってるね!」りんちゃんも言った。

ふーっ。

ふーっ。

「しゃぼんだま、いっぱいだね!」「うん!」「しゃぼんだまも うたってるね!」「ほんとだ!」

「みて!雲もうたってるよ!」「ほんとだー!」

ごろん。

ごろん。

さわさわさわ

「きもちいーねー。」「うん、きもちいーねー。」

絵のない絵本⑨ きょうもかなちゃんはごきげん。

絵のない絵本⑨ きょうもかなちゃんはごきげん。

きょうも、かなちゃんはごきげん。

かごからパパのお菓子を

だす。

ティッシュを全部ひっぱり

だす。

ひきだしからタオルを

だす。

こわれかけているトビラの取っ手を

はずす。

えほんを全部

だす。

かごの隙間にゆびを

いれる。

はずれなくて、泣いてはじまる1日。

これは

かなちゃんの日課。

ママにだっこされている

かなちゃんはごきげん。

絵のない絵本⑧ 今日もあさひがのぼる ~我が子を抱いて~

絵のない絵本⑧ 今日もあさひがのぼる ~我が子を抱いて~

今日もあさひがのぼる。

近くの小学校からきこえるにわとりの声。

新聞をくばるバイクの音。

私はまだ“きのう”を終えていない。

なにもかもから私を置き去りにして、

ニュースキャスターが言った。

“おはようございます!”

きょうは、いつもより空気が冷たい。

小さなわが子が、うでのなかで

ほこほこと眠っている。

始まったきょうを横目に、

やっと終えた“きのう”を抱えてねむる。

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絵のない絵本⑦ スイカじいちゃんは空にいったんだって。

絵のない絵本⑦ スイカじいちゃんは空にいったんだって。

ぼくは、じいちゃんのスイカが大好きだ。

なつやすみは、じいちゃんがつくるバクダンみたいなすいかを食べるんだ。

いちど、落っことして、大ばくはつさせたことがある。

母ちゃんにえらくおこられたけど、

じいちゃんは、いっぽん抜けた前歯をみせて笑ってくれてたっけ。

じいちゃんのスイカは、スイカ畑を見下ろしながら、木陰のベンチでかぶりつくのが世界でいちばんうまい!

じいちゃんもそうなんだろうな。

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絵のない絵本⑥ なっとうのひげ

絵のない絵本⑥ なっとうのひげ

ねばねばねば~!おいちいね!ねばねば~!

おさらと納豆と、スプーンとコトちゃん。

みんな糸でつながって仲良しこよし。

ねばねばねば~!

びょーん、ねばねば。

ねばねば、びょーん。びょーん。

ねばねばねばねば

ねばねばねば~!

ぱくん。

ねば~ ぱくん。

ねば~ ぱくん。

ママ!なっとう、おいちいね!そういって、まんまるく笑うきみのあごに、

なっとうのひげ。

絵のない絵本⑤ せーの、じゃんぷ!

絵のない絵本⑤ せーの、じゃんぷ!

“みててね!”

せーの、じゃんぷ!

“ママも!”

せーの、じゃーんぷ!

“トトも!”

せーの、 じゃ~んぷ!

あっ、そーだ!

て、つないで!

つないでてよ~、せーーのーー、

じゃ~~~んぷ!!

わっ、とり!とりさんみたいだったね!

ね、もういっかい!