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ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語~第二十六集

サブタイトルは「友との別れ」。蕭景睿が実父のいる南楚に向けて出発する。


有些事情千万不要太在意

金陵(都)を出た宇文念(南楚の公主・蕭景睿の妹)と蕭景睿を言豫津が馬で追いかけて来た。蕭景睿は病の実父を見舞うために南楚に行くのだが、言豫津は勘違いして、蕭景睿が辛くて梁を離れるのかと思っていた。大切な友人である蕭景睿に言豫津が言った。

有些事情千万不要太在意
ー決して気に病んではいけない

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第26話
言豫津

▼有些事情(yǒu xiē shìqíng)
「有」+「些」で「いくらかの」「一部の」、これに名詞「事情(事柄)」がついて「いくらか事情がある」

▼千万不要太在意(qiānwàn bù yào tài zàiyì)
「千万」は「どんなことがあっても」「くれぐれも」という副詞、「不要」は禁止表現の「~するな」、「太」は「あまりにも~すぎる」の意味で直後の副詞で直後の「在意(気にかける、気にとめる)」を修飾している。

全体を直訳調にすると「いくらかの事情があっても、くれぐれも気にしすぎるな」と言うことである。言豫津は親の因縁(第二十~二十一集)のことを指して言っているが、蕭景睿は今までの家族の恩や情もあり簡単に割り切れない。最後にこれからも友情は変わらないことを伝え、冗談を言い合った。

この後、梅長蘇も見送りに来ていたことに気付いた蕭景睿は梅長蘇と話す。心から詫びる梅長蘇に「責めはしない」と答える蕭景睿。蕭景睿の美しい心根と、それを良く知っていたけれども謝玉を倒すために蕭景睿を傷つけることになった梅長蘇の痛々しくも清々しいやり取りは必見である。涙を拭くものをお手元にご覧いただきたい。

吉婶 饭做好了没有啊

靖王が贈る皇帝の誕生日祝いの品に、梅長蘇は良い弓を選ぶ。靖王の性格やこれまで冷遇されていてお金をかけられず、陛下の好みを知り得ないことなどを踏まえ、あえて大切な良い弓を送って感謝と誠意を表すためだ。

梅長蘇の側近の黎剛は、贈り物一つにここまで気を配らないといけないことに「面倒」とつい本音を漏らしてしまう。梅長蘇にこれを聞きとがめられ、慌てて「さすが周到です」と言い直して黎剛はさっと逃げた。そして逃げながら別の人に大声で呼びかけた。

吉婶 饭做好了没有啊
ー吉さん 飯はまだか?

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第26話
黎剛

▼吉婶(Jí shěn) 吉おばさん
「吉」は固有名詞、「婶」は母親と同世代で母親より年下の夫人に対する「おばさん」の意味。吉おばさんは第九集①で登場している。

▼饭(fàn) ご飯 食事

▼做好了没有啊zuòhǎole méiyǒu a)
「做」はここでは「(ご飯を)作る」という動詞で、結果補語「好」で「十分になる」「完全になる」ニュアンスが加わり、動態助詞「了」で動作の完了を表す。最後の「没有」は動態助詞を含む文章を反復疑問文にしている時の表現である。

この場合の反復疑問文の成り立ちは、まず動作の完了を表す「了」の否定に「没」あるいは「没有」を使う。それを踏まえて肯定形と否定形を重ねると「做好了没有做好」となるが、後ろの否定形の「做好」が消えている構造になる。

最後に文末助詞「啊」で催促と疑問の語気を足しており、「(ご飯は)出来あがっていますか?」ということになる。

逃げた黎剛に梅長蘇は、弓の試射をしていた甄平に黎剛を射るよう命じ、それに甄平が応じる返事をした。この一連のやり取りはちょっとコミカルで、張り詰めた内容の琅琊榜では貴重なシーンである。

この回の終わりには、ついに秦般弱の依頼で四姐が動き出し、梅長蘇の配下で野菜売りに扮した連絡役・童路に接触した。

🖌今回の気になる単語帳

避讳 bì huì
禁句を言わない、タブーなどの意味。靖王に旅行記を貸したが、梅長蘇が自分の正体に気付かれないか懸念して蒙大統領と話していたシーンで出て来た。

ここで言うタブーは梅長蘇(=林殊)の母親の幼名である。旅行記に出てくる地名と同じため、画数をあえて減らして梅長蘇は記載していた。字幕にも「君主・先祖の名前を書くことを避ける習慣」とある。「諱」の事である。

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