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ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語~第十七集

サブタイトル「闇炮坊」。第十六集の最後に梅長蘇が誉王を訪ね、闇炮坊の件を上奏しようとしている沈追を助けるよう進言した。ところが、誉王の謀士である秦般弱が別の提案をした。闇炮坊から資金を得ている皇太子によりダメージを与えられるよう事を大きくしようと言うのだ。


你听见了吗

秦般弱の提案を受けて誉王は、「罪なき民を巻き込みたくはなかったが」と後で言いつつも闇炮坊を爆破した。自分の屋敷で爆破音を聞いた梅長蘇の言葉から見ていこう。

你听见了吗
ー今のは?

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第17話
梅長蘇

「你」は傍らにいた黎綱に対する二人称、動詞「听(聞く)」+結果補語「见」で「聞こえる」を表す。この「聞こえる」は受動的な感覚上の経験のことである。「了」は状況の変化を表す語気助詞で、最後に疑問の文末助詞「吗」が加わり、この2文字があることで「聞こえ(てき)たか?」というニュアンスになる。

直訳すると「おまえは聞こえたか?」だが、字幕ではよりシンプルかつ臨場感のあるセリフになっている。この梅長蘇の問いに対して黎綱は「听见了」、つまり「聞こえました」と答えている。

做得很好

状況を調べさせた梅長蘇。闇炮坊の爆破は死傷者多数の大惨事であった。黎綱は被害状況と対応状況の確認、江左盟の仲間の薬舗からも支援させている旨を報告した。報告に対し梅長蘇が言った。

做得很好
ーよくやった

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第17話
梅長蘇

こちら4回目の登場であろう様態補語である。「する」という動詞「做」、様態補語「得」と続き、動詞「做」に対する評価が続く。「很好」なので、「とても良い」という評価だ。日常会話にも使えそうな表現である。

様態補語は第四集①第六集第十集②で扱ったが、第十集②の「写得好」の時と比較すると評価部分は「好」と「很好」の違いがある。同じ「好」でも今回の方には副詞「很」がつき、様態補語の後ろには直接的評価にあたる形容詞以外にも柔軟に副詞がつけられる。第六集の時のように「走得可真快」と副詞を二重に使うこともできる。

刚才殿下都不知道为什么还是照办呢

闇炮坊が爆発した場所へ向かった梅長蘇。物資の援助で霓凰郡主、被害にあった民の救済と略奪の鎮圧のため靖王も現場に来ていた。靖王は梅長蘇が誉王に爆破を指示したと疑う。それに対しブチ切れる霓凰郡主!梅長蘇は霓凰郡主があまりに怒ることで靖王に正体がばれないよう彼女を懸命に諫めた。梅長蘇は誤解だと靖王に説明し、靖王は梅長蘇に詫びた。

靖王の部下が、配分された軍の物資である天幕や布団を民のために使ったことを兵部に報告しようとするのを止めた梅長蘇。靖王が理由を尋ねると梅長蘇が言った。

刚才殿下都不知道为什么还是照办呢
ーではどうして私の指示に従ったのです?

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第17話
梅長蘇

「刚才」は「先ほど」、「殿下」は靖王に対する尊称、「都」は「いずれも」、「全部」などの意味だが、疑問詞を含む文の場合は、通常「都」の前の言葉を指すところを、後ろの言葉の方を指している。

その後ろの言葉が「不知道」の「わからなかった」と「为什么」の「どうして」である。「刚才」が文頭にあったので、「不知道」は過去と文脈上わかる。そのため「(兵部への報告を止めたのが)どうしてかわからなかった」に「」はかかるので、前半は「先ほど殿下はどうしてかまったくわからなかったのに」となる。

「还是」は「やはり」、「照办」は「その通りに処理する」、最後の「呢」は疑問文の答えを催促する気分を表す文末助詞なので、「それでもなおその通りに処理したのですか」となる。この部分は中国語の方がかなりシンプルなので、字幕で具体的に表現されている。

先ほど靖王に疑われたことに対する嫌味とも取れるセリフである。言われて気まずくなる靖王だが、これは第六集で定めた主従の原則を靖王が違えたからとも言える。靖王の気に入らない事はしないと梅長蘇は約束したが、靖王は絶対の信頼を置くという約束をした。信頼していたら疑いの言葉を口にしないはずである。

まあ、林殊としても腹立たしい言葉だから普通に嫌味として言った部分もあるかもしれないが。頑固な靖王は、規則を守らないといけない、皇太子の勢力下の兵部が自分を訴えかねないから規則通り報告しようとしたが、梅長蘇は靖王の今後のために靖王の善行をプロモーションしようとしたのだった。

戦時中でもないのに大した数ではない物資を家を失った民のために使って悪いはずがない、それを皇太子側の兵部が訴えたところで、訴える方がおかしいと良心のある臣下が指摘するはず。皇太子と誉王が帝位争いをしている間に、靖王が民のために動いたことを知らしめられるという訳だった。

頭の固い靖王は、人に見せつけるための善行ではないというが、それでは梅長蘇は自身の存在意義(国のために靖王を帝位に着かせること)がないと言う。おっしゃる通りだ・・・・

久々に主役の梅長蘇・靖王・霓凰郡主が揃ったが、良い雰囲気にはならなくて残念だが、すでに梅長蘇の正体を知っている霓凰郡主が、ある意味「女性」としての反応を示すところが可愛いシーンだと思う。


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