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ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語~第二十九集③

サブタイトルである「榛子の菓子」の話にやっと触れられるところまで来た。まずは前回のシーンの続きから。


原来以为只是羊结果却是两只狼

よりによって被害の深刻な岳州の長官から礼品が贈られていたことが判明し皇帝の怒りを買った誉王。救済の任を解かれ、屋敷にこもって酒を飲んでいた。そんな誉王を秦般弱がたしなめる。

彼女の話で誉王は、いよいよ梅長蘇は本当は靖王についていると認めざるを得なくなった。靖王だけでなく母親の静妃も寵愛を得て勢いを増している。そんな母子のことを誉王が評した。

原来以为只是羊结果却是两只狼
ー羊かと思いきや実は狼だったとは

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第29話
誉王

▼原来(yuánlái)
副詞で「もとは」「以前は」という意味もあるが、ここでは同じく副詞で「なんと(~であったのか)」というそれまで気付いていなかったことに気が付いた時に発する言葉と思われる。

▼以为只是羊(yǐwèi zhǐshì yáng)
「以为」は「〜と思う」「~と考える」、「只是」は「ただ~だけだ」「~にすぎない」、「羊」はそのまま動物の「羊」である。この部分で「羊に過ぎないと思っていた」となる。

▼结果却是两只狼(jiéguǒ quèshì liǎng zhǐ láng)
「结果」は「結局」「とどのつまり」、「却是」は「どちらかといえば~だ」である。「两(二)」+「只(量詞)」+「狼」で「二匹の狼」なので、「結局はどちらかといえば二匹の狼だ」という意味になる。

全体を直訳調にすると「なんと羊に過ぎないと思っていたが、結局どちらかといえば二匹の狼だった」となる。字幕の方が端的な言い回しである。

「毒蛇」の誉王が清廉潔白な静妃と靖王を「狼」と評するのは、視聴者としては「?」である。彼らを敵としかみなしていないからこその暴言だ。

この状況から巻き返すために誉王は、梅長蘇より靖王の弱点を突くことにした。靖王と皇帝のわだかまりである祁王と赤焔事案だ。やはり頭は悪くないし、やられてもただでは起きない誉王。

秦般弱はその点に関して夏江を協力者にしようと言う。後継者争いには通常加わらないが、赤焔事案の審理をした夏江ならば、靖王との間に怨念があるはずなので、夏江にとって靖王が即位するのは都合が悪い。

秦般弱は師匠・璇璣公主と夏江が旧知の仲のため、夏江には自分が探りを入れると提案。誉王は秦般弱が滑族の末裔と知ってはいたが、璇璣公主の弟子とは知らなかったようで驚いていた。

ヤバい奴同士が手を組むとろくなことにならない・・

所以现在看来静妃娘娘知道应该帮我保守这个秘密

靖王経由で静妃から梅長蘇に送られるお菓子(主に飛流が食べているようだが)から、梅長蘇は静妃に自分が林殊であることがバレてしまったのではないかと危惧していた。

林殊が子どもの頃、静妃が作るお菓子をよく食べていたが、榛子(ハシバミの実)のお菓子の時だけいわゆるアレルギー症状が出たことがあった。そして榛子のお菓子は靖王が一番好むので、息子の好物を通常母親なら作るはず。

それにも関わらず、靖王と梅長蘇に中身が同じお菓子(榛子なし)を渡しているとわかったので、靖王が間違って榛子のお菓子を梅長蘇(=林殊)に渡さないように静妃が気を遣っている可能性があると言うのだ。

だが靖王の梅長蘇に対する態度がこれまでと変わらない。少なくとも静妃から靖王に梅長蘇=林殊の可能性について話はしていなさそうだと思った梅長蘇が言った。

所以现在看来静妃娘娘知道应该帮我保守这个秘密
ーつまり静妃娘娘は私の秘密を守るつもりなのだろうな

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第29話
梅長蘇

▼所以(suǒyǐ) したがって だから

▼现在看来静妃娘娘知道
(xiànzài kànlái jìngfēi niángniáng zhīdao)
「现在」は「いま」「現在」、「看来」は「見たところ~のようだ」「~かもしれない」という推量を表す。「娘娘」は妃に対する尊称なので、「静妃娘娘」は「静妃様」と言う感じか。「知道」は「知っている」「分かっている」。

▼应该帮我保守这个秘密
(yīnggāi bāng wǒ bǎoshǒu zhègè mìmì)
「应该」は「~でなければならない」、「帮」は「助ける」「手伝う」で直後に助けたり手伝ったりする対象の人物、さらに助ける内容が続く。ここでは「帮」+「我(梅長蘇)」+「保守(守る)」で梅長蘇を助けて守ることを意味する。

具体的に何を守るかというと「这个秘密」、つまり「この秘密」である。「这个」で特定の一つに絞っているので、ここは「梅長蘇=林殊という秘密」を指している。

全体で直訳すると「したがって今見たところでは静妃様は私のために(を助けて)この秘密を守らなけらばならないと分かっているようだ」となる。梅長蘇と静妃、賢い者同士の意思疎通すごい!

場面変わって外出する梅長蘇。行き先は言侯府で友人の言豫津が出迎えた。梅長蘇は言豫津の父・言闕に会いに来たのだった。

次回は第十二集に続き私の特に好きな回だが、来週はどうしても上げたい映画感想文があるので、琅琊榜で習いたかった中国語はお休みします。

🖌今回の気になる単語帳

榛子 zhēnzi
ハシバミの実。ハシバミにも種類があるようだが、琅琊榜に出てくるハシバミがどれかは不明。同属で別種の「セイヨウハシバミ」はヘーゼルナッツのことらしい。言葉は知っていたが、恥ずかしながら具体的には何か知らなかった。

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