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ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語~第十二集②

サブタイトル「痕跡なくとも」の続き。霓凰郡主が梅長蘇こそ林殊だと指摘した場面から。文字打ちながら涙浮かんできてしまう。

女人的感觉总是这么不讲道理

泣きながら梅長蘇を抱き締める霓凰の肩を抱き返す梅長蘇。霓凰がそのままの状態で言った。

女人的感觉总是这么不讲道理
ー女の直感は理不尽なものよ

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第12話
霓凰

「女人的」は「女性の」と言う意味で、この「的」は頻出の所有を表す連体修飾語である。「感觉」はそのまま日本語の「感覚」で、「总是」は「いつも」という意味の副詞、「这么」は「このように」という指示代詞、「不」でその後に続く内容を打ち消している。「讲道理」は「道理を説く」と言う意味である。

直訳調にすると「女の感覚はいつもこんなふうに道理を説明できない」になる。道理に合わないことを日本語で「理不尽」というため、字幕の訳の方が伝わりやすい。たしかに女の直感はすごい。霓凰も「(林殊の)当時の痕跡がないほど確信できる」と言っている。道理に合わない!

もっとも、第十一集で穆王府に招待されて梅の花を一緒に鑑賞した時に、梅長蘇は霓凰郡主の髪についた花びらをとってあげてしまったことは女の直感にかなり作用したと思う。

梅長蘇もついやってしまったのだと思うが、あの時点で彼女の髪に気安く触れられる男なんて、この世に普通に考えたらいないでしょう。霓凰には父親や年上の兄、夫もいない。遺体の見つかっていない林殊兄さんを除けば。バレますとも。

你不要再离开我了 你永远都不要再离开我了

次は失ったと思っていた愛する人に大泣きしながら、必死で訴える霓凰のセリフ。彼女としては当然の言葉だが、10万の精鋭を率いる強い軍人でもあるキャラクターであることを踏まえるといじらしい。

你不要再离开我了 你永远都不要再离开我了
ーもう離れないで 二度と私から離れないで

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第12話
霓凰

「不要」は「~してはいけない」という禁止の表現、「再」は否定表現と一緒に用いることで、未来の状況に対して「もう(~しない)」という意味を表す副詞、「离开」は「離れる」という動詞、「了」は「不要」とセットで文末に使われることで制止の意味になる。そのため文章前半の直訳は、「あなたはもう私から離れてはいけない」になる、女性としての霓凰らしい表現に字幕ではなっている。

文章後半は、前半の「你」と「不要」の間に「永远都」が入った構成になっている。「永远」が「永遠に」という意味で、「都」は直前の言葉「永远」を指して「すべて」のニュアンスを足している。結果、字幕でこの部分は「二度と」という強めの表現になったようだ。

🖌今回の気になる歌詞

この涙のシーンで、挿入歌『红颜旧』が流れる。そして歌っているのは霓凰役の劉涛さん。このドラマの凄い所はいろいろあるが、メインの梅長蘇、霓凰、そして靖王の役者さん全員がドラマの曲を歌うところもその一つだ。エンディングテーマは梅長蘇役の胡歌さん、靖王役の王凱さんも別の挿入歌を歌っている。

今回の『红颜旧』は実質的に霓凰郡主のテーマとして、今後も要所要所で流れる。そのサビ部分の出だしを見ていく。

♪忍别离 不忍却要别离
ー離れたくなくとも これが運命

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~
挿入歌『红颜旧』

「忍」が「耐える」「我慢する」、「别离」は「別れる」で、やや長い期間にわたり親しい人と別れる場合に使われる。

「忍」を「不」で打ち消して「耐えられない」「忍びない」になるが、直後の「却」は、話し手の予想や一般的道理に反する時の「~のに」がついて「耐えられないのに」「忍びないのに」となる。「要」は必要か予定を意味する助動詞と思われるので、「要别离」で「別れなくてはならない」か「別れることになる」というところだろうか。

直訳すると「耐えて、別れて、耐えられないのに別れなくてはならない」になるのか?辛い切ない歌詞だ・・・でも琅琊榜の物語と霓凰のキャラクターと相まって非常に印象的で、『红颜旧』はすっかり私の好きな曲になっている。

第十二集はこの印象的な梅長蘇と霓凰のシーンの後、私が琅琊榜全体を通して最も好きなキャラクターの初登場があるので、もう1回続きます。



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