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奄美大島旅録②奄美初?!麻婆豆腐ランチ&中国酒ペアリングの会

干杯!donです。1月中旬に行ってきた奄美大島の旅をまとめております。前回はコチラ。

思えば、なんで奄美大島で中華のイベントを開催したのか?という大切なことを最初に書いていなかったので、その辺りも触れていきたいと思います。

奄美大島には中華レストランがない!?

奄美大島には、「本格的な中華レストランがほぼない」という話を聞いていました。あっても、ラーメン中心だったり、島料理も一緒に提供されていたり。

食べログで検索してみたら8件だけ出てきました!

だから、ちょっと不安でした。

なぜかというと、僕がお手伝いしている中華レストランは、「中国少数民族料理」がひとつのテーマとしてあります。お客さんからは「こんな中華初めて食べた!」「これ、中華ですか?」とよく言われます。

そんな料理たちは、中華にあまり馴染みのない奄美の方々にどう思われてしまうのか?さらに、都内ですらあまりやられていない中国酒ペアリングという試み。正直、開催が決まった当初は「大丈夫なのかな?」「受け入れてもらえるのだろうか?」という不安が心の中に沸き起こりました。

でも、結果的にはランチもディナーもご予約をたくさんいただいて。現地にないものだからこそ、より興味を持っていただけたのかな?と思います。

奄美大島で中華のイベントが開催された理由。

これ、最初に書いておくべきでしたね。。今更ですがまとめます。

なぜ僕たちにとって縁もゆかりもない奄美大島で、中華のイベントを開催させていただくことになったのか?

パワー!

まずは、主催のLiving AMAMIプロデューサー・矢吹さんにお声がけいただいたことがきっかけです。矢吹さんは元々お店によく来ていただいていて(僕がお手伝いする前から)Matsushimaの料理と中国酒たちを気に入ってくれていました。

そして、かねてからこう言ってくれていたのでした。

「いつか奄美でMatsushimaのイベントやりたい!」

最初は冗談混じりのような感じでしたが、これが本当に実現した形となります。まさに有言実行!(たぶん矢吹さんは最初から本気でしたね笑

そんな経緯もあって、奄美の食材で中華料理を作ってお酒は中国酒でペアリング、という内容は元々決まっていたような感じです。さらに「奄美はテイクアウト需要が強い」とのアドバイスもあり、ランチとディナー両方で開催することになりました。

"アノ豆腐"で麻婆豆腐が作りたい!

さて、イベントの話に戻ります。

本番当日の朝9時。

僕たちは宿泊先のホテル前に集まりました。本当はもう少し遅くてもよかったのですが、あるモノを手にいれるため、早めの結集。

それは、島豆腐。

前日、シェフの松島さんが麻婆豆腐を試作した際に、通常の木綿豆腐と島豆腐を食べ比べてみたら「コクも舌触りも全然違う!これは島豆腐の方が完全に美味い!」ということを一同で体感してしまったのです。(通常の木綿豆腐でも十分美味しいんですよ!)

「普通の木綿豆腐でもいいか〜」と思っていたところから、この体験によって"奄美の島豆腐で麻婆豆腐を実現したい欲"が爆上がり。もう島豆腐一択!

ちなみに、島豆腐と普通の木綿豆腐、同じぐらいの値段で買えるのもビックリ!

早速、試作したあとに本番用に使う島豆腐を求めて近所のスーパーへ行きました。しかし、なななななななんと・・・ない・・・いくつか回っても、ない。昼間はあったのに・・・。

「やっぱり、島の人たちは美味しいものをよく知ってるんだね!」

そう感心しながらも、手に入らないことによる焦り、喪失感、もどかしさ。店員さんに聞いてみると「多分、朝ならあります。」と、"たぶん"付きの心許ない回答。

こうなるともう、島豆腐が無事に翌朝のスーパーへと並んで、売り切れないことを祈るのみ。

そして向かった1軒目のスーパー。

静かな商店街の中、島豆腐を求めて歩く朝。

ありました(あっさり

「これで美味しい麻婆豆腐を楽しんでもらえる!」と安心して会場に着くと「ランチの予約が増えた」とのことで、ご予約でランチ完売!

しっかり目を引くポスター作っていただきました。しっかりせにゃと気が引き締まります!

ご予約を締め切ったあともたくさんお問い合わせいただきました。折角ご連絡いただいたのに申し訳ないなと思いつつ、とてもありがたいことだなと。そして、スタートの時間まで着々と準備を進めました。

この張り紙を見てガッカリしている方もたくさんいらっしゃいました。心の中で頭を下げ。。
仕込み中。
奄美の葉にんにく、島豆腐を使った麻婆豆腐!
パックするとこんな感じ。ライスももちろん、おつけしました!
ご来店、ありがとうございます!

完売ながら、反省点の見えたランチ営業

ご予約は矢吹さんたちが何時ごろにご来店されるかをお伺いしてくれていたので、時間帯によっていくつ用意すればよいかは全てわかっていたのですが・・・意外とバタバタしてしまいました。

ご予約が集中して少しお待たせしてしまったり、ご飯の炊き時間が間に合わなくてお出しできず・・・「近いのでまた来ます!」という方もいらっしゃいました。本当にすみません。この辺りは良い発見でもあります!改善!

そんないろいろがありつつ、無事14時頃にご提供を終了。イートインでお食事された方からは「美味しかった!」という言葉もいただきました。汗だくになって食べている方もいらっしゃいました。水もたくさん飲んでいただきました笑

前日お世話になった楠田ファームの楠田ご夫妻や、「あまみの魚たち」の大将やスタッフさんも来てくれました。来ていただいた皆さん、ありがとうございました!

ランチはひとまず、成功!と言ってよいのかなと思います。

店内の片付けやディナーの準備を少し進めて、その後に近くの「味の銀海」という食堂でランチを済ませました。この辺の奄美グルメは次回ひとつにまとめてお伝えします!

奄美食材の本格中華×中国酒ペアリング

今回のディナーは、「奄美食材を使った中華料理」「中国酒ペアリング」の2つが大きなポイント。

普段よく見ている松島さんの料理ですが、奄美の食材を使用しているというだけでも現地感が相まってワクワク!食材を現地で直接仕入れられたのはやっぱりよかったなと思います。

ランチが終わったらディナーの仕込み・準備!
巨大な夜光貝。
僕の本も置かせていただきました!
黄酒って何ぞや?というところから知っていただくため資料も用意。
着々と準備。

ここからはLiving AMAMIの菅野さんが撮影した写真も拝借いたします。

後ろに気配を感じて振り向いたらパシャリ!
準備万端!

ディナーメニュー&ペアリングの内容

さてさて、今回のディナーメニューは以下の通りです。

このメニューに対して中国酒のペアリングは、こんなラインナップになりました!


  • 夜光貝のスパイス米粉蒸し×云集(ユンジー)

  • 琉球イノシシの台湾紅麹揚げ×石庫門12年(シークーメン)

  • 水蓮菜の炒め 発酵島豆腐添え×東湖12年(ドンフー)

  • 島豚の黒酢スブタ×麗子佳人(マルベリー)

  • 酵海老味噌スープビーフン×即墨老酒 清爽型(ジーモウ)


お酒たちを紹介します。料理は写真で紹介していきます!

ウェルカムドリンク 特製龍宮ハイ

最初、ペアリングの前にウェルカムドリンクとして特製のハイボールをお出ししました。

「黒糖焼酎を使って何か考えてほしい!」

これは矢吹さんからのご提案でした。そこで考えたのが黒糖焼酎の龍宮をベースにしたハイボールです。

龍宮は歌舞伎町にあるOpen Bookさんが作るリアルレモンサワーのベースとして使われていることで有名です。実は、僕が初めてゴールデン街へ飲みに行ったとき、入ったお店Open Bookさんでした。既に出会っていたのです!面白いご縁だなぁと思います。

ただのソーダ割りではつまらないので、中国のニュアンスを追加するため羅漢果を龍宮に漬けました。リアルレモンサワーの原料を見ると「シロップ」とあったので、甘味を追加したかったのです。

黒糖焼酎に羅漢果を漬けると、コクが出る感じですね。いい組み合わせだなと思いました。個人的にはこれだけでもチビチビいけます笑

レモンの代わりとしては奄美で購入したハッサク。これで中国風リアルレモンサワーが完成!

「美味しい!」「面白い!」など言っていただけて、安心しました。直前まで試作していたので。。

中酒①云集(ユンジー)

「雲を集める」と書いて、云集

浙江省紹興市で造られる紹興酒。その中でも「善醸酒(ぜんじょうしゅ)」に属するのが、こちらの云集。

善醸酒とは、仕込みの水に若い年数の紹興酒を用いる製法で、非常にコクのある味わいに仕上がるセミスイートタイプです。日本で流通する紹興酒の90%以上が「加飯酒(かはんしゅ)」と言われるセミドライタイプなので、他タイプの紹興酒っていうだけでも十分に貴重です。

▼紹興酒の分類についての詳細は、こちらをご参照ください!

さらに貴重なのが、近年黄酒業界で定番化してきたノンカラメルなんですよね。今日本に流通している善醸酒の中で、ノンカラメルは云集だけですね。

通常の善醸酒は色も濃くて濃厚なのですが、云集は酒色がクリアで味わいも濃醇でありながら心地よい酸味もあって爽やか!

軽く砕いたお米にスパイスを混ぜ、味付け。夜光貝と混ぜて蒸しています。

料理がスパイシーな味付けの夜光貝だったので、その複雑味を包み込んでくれるコクのある酒としてセレクトしました。

中酒②石庫門12年(シークーメン)

ボトルが映えますね。

石庫門は上海を産地としながら黄酒業界を牽引するビッグブランドの一つです。この12年物は特に人気で、周りの中華レストランの評判を聞いても20年よりも評価が高いように感じます。個人的にも12年が一番好きです。

糯米を主原料として、干し梅や生姜などを加熱殺菌するときに投下し、華やかで多彩な風味を生み出しています。

酸を感じ取る方もいらっしゃいますが、個人的には丸みがあって上品な印象。口当たりもまろやかで、琉球イノシシの肉感、紅麹の優しい甘味と絶妙にマッチ!

豆板醤をつけて大葉にくるんで、パクッと!

中酒③東湖12年(ドンフー)

頼もしさ溢れる佇まい。

東湖は浙江省紹興市産のいわゆる正統派紹興酒。ただ、一般的な紹興酒とは味わいが明らかに違くて、不思議と果実味のような心地よい酸味と甘味が感じられます。このバランスが絶妙!

自分だけではなくて働いてきたお店のお客さんや他の中華レストランさんからも大変好評なので、多くの人が「美味しい」と感じる紹興酒なのだと思います。

水蓮菜は台湾野菜でシャキっとした歯応えが特徴。腐乳(ふにゅう)は中国でよく親しまれている発酵豆腐。松島さんは普段から自家製で作っていますが、今回は特別に島豆腐で仕込んだところ、ウマ!!!コクや舌触りが絶品でした。ご参加の皆さんからも「美味しい!」と好評でした。

▼腐乳の解説はこちらをご参照ください!

ちなみに前日仕入れたアオノメハタも登場!蒸して自家製の発酵青唐辛子ソースがけ。とてもふんわりしていて美味!皮は少しブリッとしていて焼いたらカリッとして美味しそうですね〜と話していました。

手前が水蓮菜、左奥がアオノメハタ、右手が腐乳。

中酒④麗子佳人(リイズ)

リキュールじゃありません。しっかりマルベリーを発酵させて作っています。

黒酢酢豚は拳級の大きさで、味わいは濃厚。自家製の黒酢タレは甘味と酸味がしっかりとあります。なので、通常の紹興酒だと酒が負けてしまうぐらい。

そこで合わせたのがこの麗子佳人。桑の実を原料とした醸造酒です。産地は広東省広州市。

味わいは赤ワインに近いのですが、タンニンが強くなく、まるでベリージュースのよう!肉料理や黒酢との相性は抜群です。お店でもよく合わせている組み合わせでご好評いただいているので、自信を持ってお出しできました。

中酒⑤即墨老酒 清爽型(ジーモウ)

即墨は山東省青島市にある地名です。

最後、〆のご飯は、発酵海老味噌のスープビーフン。ピリ辛な海老味噌の風味とココナッツミルクのクリーミィ感。ビーフンは桂林米粉でモチッとした食感が特徴です。

それと合わせたのがこの即墨老酒清爽型。即墨老酒は本来、キビを焦がすように熱入れする製法が特徴なのですが、清爽型は現代人の嗜好に合わせて飲みやすい仕上がり。紹興酒のような独特な酸味は弱く、どちらかというと日本酒に近い味わいです。柔らかい甘味が感じられます。

この優しい味わいがスープビーフンの辛味を癒し、クリーミィさやコクとうまく混ざり合うのです。これもまたノンカラメルなので、酒色は鮮やかで甘みがあっても重さを感じません。この組み合わせもお店でよくお出ししているので、楽しんでいただけたんじゃないかなと思います。

実際に僕も一通り試食させてもらった上で、お酒を選びました。お酒は好き嫌いもあるし、100%ぴったりというのは難しいですが、楽しんでいただけていたら嬉しいなと思います。

イベントを終えてみて。

僕はずっと喋り通しでしたが、お陰様でご参加の皆さんと近いところにいました。味の感想や雑談をしながら進められたので、とても楽しかった!

ご参加の皆さんは、初対面の方同士でも楽しそうに会話されているシーンも見られて、とても安心しました。

イベントって料理やお酒を楽しむ+ご縁も生まれる、という点も大きな醍醐味だなと感じます。酒は人を繋ぐ。

富田酒造のお二人にも来ていただきました。酒トークで盛り上がった!詳細は次回!
今振り返っても、よい夜だったなぁ。

こうしてMatsushimaの初となる出張イベント、無事終了しました。ちなみにプロデューサー矢吹さん曰く「今までのお客さんと全く違う層が集まった!」とのこと。それも会場であるLiving AMAMIと皆さんの新たな出会いを生んだという意味で貢献できたのかな?と思っています。

打ち上げで呑んだ酒が最高に美味しかった!それが答えですね。非常にいい経験をさせていただきました。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

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イベントレポ

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