符亀の「喰べたもの」 20220508~20220514

今週インプットしたものをまとめるnote、第八十六回です。

各書影は、「版元ドットコム」様より引用しております。


漫画

デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い」(1~4巻) 平方昌宏

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地獄から暇つぶしに人間でも滅ぼそうかとやってきた最強ながらポンコツな悪魔(デビィ)をメインに据えたギャグ漫画。1話を第十二回で紹介して以来積んでいましたが、ついに読みました。

その時にもちょっと書きましたが、「かわいい異世界の存在と普通の男子が会合する1話完結コメディ」という形式は、言ってしまえば「twitterとかでよくあるやつ」です。よくあるやつということは、それなりに強力ですがわざわざ買うほどの独自性は感じにくいということです。ですが、本作には1話を読んだ時点で惹かれましたし、4巻まで買ってしまう(これからも続刊を買う)ほどに面白かったです。

その理由がなかなかわからず、かなり苦労しました。本作は「クソザコな悪魔がアクティビティで遊んで負ける」というテンプレ展開を繰り返す、いい意味で頭を使わずに読めるギャグ漫画です。期待された通りの展開でオモシロを提供してくれるのでいい作品ではありますが、逆に言えば毎回同じことの繰り返しであり、各話の最初と最後で変化がつけられない(=ストーリーがない)ことになります。フックになるストーリーがないので、(キャラが好きになるまでは)その作品を読む特別な理由もないのではないかと思っていました。つまり、自分がなぜ単行本を買おうという気になったのかがわからなかったのです。

それを探すため1巻をひたすら読み返し、ようやく気付いたのですが、この作品(の特に序盤)は、各話でキャラの新情報を出しているんですよね。話のエンジンになっているのは「デビィが調子乗りなクソザコ」で共通しているのですが、各回で中心になるのはキャラの能力や関係性という新情報です。話を読む前は知らなかった情報を知らされるので、読者が話の前後で変わります。これが疑似的な「ストーリー」になり、読者の読む理由にもなっているのではないかと思いました。

これは細かい話ですが、デビィを恋愛面でもクソザコ化させる前に、恋愛担当の悪魔キャラを用意するのも上手いなと思いました。おかげで2人でチョロインネタをシェアでき、「よくある」ラブコメになってしまいにくいよう抑えてくれている気がします。


これ描いて死ね」(1巻) とよ田みのる

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漫画に勇気をもらった女の子が、恩人にあたる漫画家の新作のためにコミティアに行ったことから漫画を描き始める物語。1話はあまりハマりませんでしたが、紙で読めば違う感想になるのではと購入し、見事刺されました。

漫画が心の支えになること、キャラの背中を押すこと、そして新たなつながりが生まれることを、キャラの隣に作中作のキャラを配置して伝える力業の破壊力がすごかったです。正直そこに脳を焼かれて抽象的な良さが言語化できませんでした。やめたらこのnote?


今週は結構冊数的には読めたのですが、面白いと思えなかったり既に分析した面白さと同じものしか見つけられなかったりと、感度の悪さが露呈した週でした。まあでもその中で「デビィ・ザ・コルシファ」の言語化に励めたのは頑張ったんじゃないっすかね?


一般書籍

前回に引き続き、今週も映画脚本術系の本を読んでいます。お前将来脚本家になるつもりか?


Web記事

素人2人がゲームマーケットに出展するまでの話

23時10分マエさんが、ボードゲームの初制作とゲームマーケットへの初出展の流れをまとめられたnoteです。

やってみたことのあとに「これは結構よかったです」的な一言を付けられているのがいいなと思いました。PDCAサイクルを回していることを強調できますし、よかったと書かれていれば真似したくなるのでnoteの利用価値も高めています。レポート系の記事を書くときがきたらパクろうと思います。


名刺ゲームの製作ノウハウ ver.2

ボードゲームを安く制作するためのノウハウをまとめられたnoteです。

印刷会社さんの比較部分が、特に参考になりました。ただし記事は2019年のものですので、現在も同じ状況なのかはわかりません。


なぜ同人ボドゲの感想が嫌がれることがあったり、PR作業に腰が重かったり、1作で製作が終わったりするのか? の話。

同人ボードゲーム制作者のスタンスを分析し、まとめられたnoteです。

作品を作って売ることを一生一回のイベントととらえている層は見落としていたので、勉強になりました。なお私のスタンスはこのどれでもなく、一言でいうと「武器商人」という感じです。


カードゲームにおける勝利条件について整理する

ゲームの勝利条件を「相対的勝利」と「絶対的勝利」に分け、その向き不向きを考察されたnoteです。

「相対的勝利」だと引き分けが生じるのが欠点という指摘は、何も考えていないと陥ってしまうかもしれない落とし穴だったので、読めてよかったですね。


『ボス戦で有効に使える状態異常』を作るにはどうすれば良いのか?

本来ボス戦のような強敵戦で使いたいはずがそうなっていないことが多い状態異常について、問題点や解決策をまとめられたnoteです。

状態異常についてのまとめとして網羅性が高く、特に後半の「◆『状態異常』自体に対するアプローチ」部分が参考になりました。ここには載っていないですが、ポケモンの状態異常はステータスを下げるデバフと一緒になっているので行動阻害やダメージが控えめでもいいという調整がされており、この記事の観点からみると改めて面白い方法だなと感じました。


『素材を集めて装備を作る』が『探索の面白さ』を殺す

↑のnoteと同じ筆者さんが、「素材を集めて装備を作る」というシステムが探索ゲームの面白さを減少させる仕組みを解説されたnoteです。

素材が出るタイプだと探索の報酬(としての喜び)を得るのが遅くなるというのは面白い指摘であり、ボードゲームでもこのタイムラグはやってしまいがちなのでチェックリストに入れておこうと思いました。


自動車工場のガロア体 QRコードはどう動くか

QRコード開発の歴史と、その仕組みを解説した記事です。

最後のオチが見事であり、わかりやすい解説と相まって大変満足いたしました。


トガったまま突っ走る真空ジェシカ。ラジオは「全部楽しいっすね」、テレビは……「ちゃんと話せばわかってもらえるはず」(前編)
“トガり芸人”真空ジェシカのトガってない趣味の話。「乃木坂46の握手会で『できない!』」「好きな合唱曲1位は『心の瞳』」(後編)

真空ジェシカさんへのインタビュー記事です。

前半4ページ目の、漫才とぷよぷよを比較して語られている部分が勉強になりました。後半の身内ネタが好きという話については、良くも悪くもトガっている理由が知れた気がして面白かったですね。


読んで楽しむ漫才・真空ジェシカ

そんな真空ジェシカのお2人がnoteで書かれた漫才です。それはズルいよ。


『いきなり売上5000万円』のスタートアップをバンバン立ち上げる僕らのやり方

「スタートアップを量産する会社」の最高責任者さんが、その仕組みについてまとめられたnoteです。

立ち上げ前に明確な基準のもとに事業の成功率を調査する方法も面白いですし、タイトルから数うちゃあたる的に起業家を使いつぶしているのではという疑念を晴らしてくれる文の書き方も好印象でした。


トレパク冤罪の顛末まとめ

お疲れ様でした。


異様にWeb記事の数が多く、本を読むほどの時間も気力もない中でストレスが溜まっていたのだろうと、過去の私をしのびながらここを書いています。来週はもっと本を読めるといいね、ハム太郎。

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