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中欧旅行記⑯:ウィーン

2004年に中欧4ヶ国を旅した時の記録です。目次はこちら
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シェーンブルン宮殿にやってきた。ここは後期のハプスブルグ家が狩猟のための別荘としてつくり、毎年の夏を過ごすようになった場所である。敷地に惜しげもなく立てられた別荘本体と、その脇の森と丘。敷地内に森があるあたりでどんだけでっかいのか想像してください。

館内見学ではオーディオガイドがついてきて、中のお姉さんがハプスブルグ家のなんたるかを、たどたどしい日本語でお話ししてくれた。総じて、民に人気のあったご一家のようだ。某世界最強国の王様とはえらい違いである。

広すぎる建物を一通り巡ったのち、中庭を抜けてグロリエッテと呼ばれる別荘の別荘に向かった。別荘本館から森林浴をしながら20分ほど坂道を登る。小高い丘というよりは軽い山登り。

道中、腹をすかせたリスがいくども姿を見せる。かわいらしさにカメラを向けようとするのだが、食べるものといえばフリスクしか持っていないぼくには興味がないようで、ふいと去っていく。都会に暮らす動物は現金だ。

グロリエッテの室内は喫茶店になっている。いい時間だったので昼食を取ることにした。「王室の味で散歩の疲れを癒そう」などとガイドブックにあったので期待したが、味は可もなく不可もなし、ウェイターの雰囲気が「食ったらさっさと出てけ」的でNG。

帰り道は下りでラク。やはりリスがいたので、喫茶店で仕入れたエサ(人間様の食事の一部)でおびき寄せてみた。食べるものがあると小走りで向かってくる。所詮は動物よ。写真は撮れたが、エサは食べずに去っていった。王室の味はリスのお口に合わないようである。

ウィーンの中心地に戻り、秋口の服を仕入れるためにケルントナー通りをうろついた。入ったのはH&Mという若者向けのお店。非常に廉価にもかかわらず、センスはカジュアルブランド並によろしい。この店を2軒はしごして、マフラーとシャツを買った。併せて3,000円くらい、安い。

ドナウ運河のほとり、シュヴェーデンプラッツ駅のすぐそばの雰囲気の良いオープンカフェ。地元人ばかりである。ここで夕食。ウェイターの、客にこびるでもなく愛想がないわけでもない、心地よい距離感がよかった。グラーシュという牛肉のシチューを注文。脇役のイモにもきちんと味付けがあってうまかった。ビールは陶器のジョッキで出てきたが、味は昨日のに軍配。

まっすぐホテルに帰るのがもったいなかったので、喫茶店で本を読んでまったりした。日に々々夜が来るのが早くなる。旅行の初日は8時でも明るかったのに。これから短い秋が訪れ、そして冬が始まるのだ。


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