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稲盛和夫「働き方」感想・書評

稲盛和夫さんの訃報

先日、京セラ・第二電電(現KDDI)の創業者である稲盛和夫さんが亡くなられたというニュースを目にしました。90歳で亡くなられたそうです。
そういえば以前に、稲森さんの本を買ったと思い出し、せっかくなので読んでみました。

「カミソリのような人」と「鈍な人」

この本の珍しいところは、一見どんくさくて、仕事のできなそうな人のある一面を、誉めているところです。
人材には、「カミソリのような人」と「鈍な人」がいると言います。

カミソリのような人

カミソリのような人は、職場にいる、いわゆるできる人です。

「カミソリのような人」とは、頭が切れるのはもちろん、仕事の飲み込みも早く、いわゆる才気走った人物です。中には、入社した段階から、「将来は会社を背負って立つ人になってくれるだろう」と思うほど、「できる」人物もいたのです。

稲盛和夫「働き方」p.101

鈍な人

鈍な人は、てきぱきしてなくて、どんくさい人です。

一方で、反対のいわゆる「鈍な人」もいます。採用してはみたものの、利発でもないうえに、気もきかない。言ってみれば、「真面目だけが取柄」といった人物です。

稲盛和夫「働き方」p.101

カミソリのような人は辞めてしまう

カミソリのような人は、目利きがきくのか、いずれ会社をやめ、どこかへ行ってしまいます。
会社に残るのは、鈍な人たちです。
しかし、稲森さんは、そこで初めて、あることに気がつきます。
むしろ、そういう鈍な人の方が、「継続力」がある分、長期的にはすごい人物になれるのです。

「鈍な人」たちは、倦まずたゆまず、自分の仕事をコツコツとこなしていきます。あたかも尺取り虫の歩みですが、十年、二十年、三十年と、営々と努力を重ねることを厭わず、ただ愚直に、地道に働き続けるのです。

稲盛和夫「働き方」p.102

稲森さんは、世の天才・名人と呼ばれる人たちも、継続する力を生かした人たちだと言います。
鈍な人は、「非凡な人」になる才能を持っていた人たちだったのです。

読んでみての感想

自分がすごそうに見えるかとか、やることが地味か派手かとか、そういう見かけ上のことと将来的な結果は、あまり関係がないのかもしれないなと思いました。
思えば、誰だって、周りの人間を偏見の目で見ているんですよね。こいつはすごい人物になるだろうとか、こいつは言われたことしかできないからダメだとか。
そういうのが、絶対に当たるものだと思い込むことにも、この本は警鐘をならしてくれているのではないでしょうか。
大事なのは、「継続力」とのことなので、あえて「鈍な人」である必要はなくても、その継続力は取り入れていくべきでしょう。

もし今、「真面目に働く」ことしか自分には能がないと嘆くような人がいたら、その「愚直さ」こそを喜べと言いたい。

稲盛和夫「働き方」p.102

「愚直さ」こそを喜べ。
なかなか聞かない表現ですが、至言だと思います。自分も倦まずたゆまず、努力を続けていけたらなと思います。

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