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【読書記録】『哲学ってどんなこと?ーとっても短い哲学入門ー』&『生きるための哲学』

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『哲学ってどんなこと?ーとっても短い哲学入門ー』

 心と身、ことば、自由意志、正義、死、人生など、「世界と私たちの関係から直接生まれる」哲学的な問題について、哲学の初心者のための入門書。特定の思想を紹介するのではなく、哲学的な考え方を、代表的なものを中心に種まきしてくれる一冊。

哲学とは、非常に掴み所のない学問です。「哲学」という言葉を調べても、哲学に関する本を実際に読んでも、いまいちしっくり来ません。もしかしたら哲学を大学で専攻していれば、哲学漬けの日々を送っていれば、哲学がわかるようになるのかもしれません、しかしそれは非常にハードルの高いことです(大学を卒業した人、就活を理由に文学部を避ける人などには)。しかしこの哲学入門書を読めば、気軽に哲学に浸かることが可能です。哲学による浅漬けです。ことばや人生など、生きる上での根源的な“何か”について、ちょっとでも問い直してみること。常識を一旦無視し、全方位的に考え直してみること。学問としての哲学は日常生きている中で使う機会の少ないものですので、この根源的な何かについて、少しでも時間をとって考えてみることで、もう哲学に入門していることになるのです。この本は訳者の工夫によって、難解な言葉を極力少なくした文章に訳されています。この本一冊読むだけで、今日からあなたの哲学人生の始まりになります。

そのように考えると、私は社会学という哲学の末端的な学問を専攻してきたので、考え方の土壌だけはあったように思います。そのためこの本を読むことは根源的な考え方の想起というよりも、常識を疑う懐疑論(本書で登場するものよりも緩い、一般常識程度のものを歌だうもの)の補強となるものでした。


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『生きるための哲学』

学問としての哲学、哲学者が残した言葉を軸に、幸福や仕事、人生、心、理解、理性、世界観といった、俗世的な、我々の生きる生活を捉え直すきっかけを与えてくれる一冊。

先ほど紹介した『哲学ってどんなこと?ーとっても短い哲学入門ー』は哲学的な考え方、=生きる上での根源的な考え方を植え付けてくれるものだとしたら、本書はその哲学の種に、仕事や幸福といった卑近な事柄という水を撒き、読者の頭に思考という花を咲かせる一冊と言えます。一応、この本だけでも哲学的な考え方に触れることはできるので、日常を生きる我々の一般的な価値観を相対化してくれる一冊にはなっています。

本書のタイトルや各章の話の流れはハウツー本のような、成功者が成功したい人に金言を与えてくれるもののように思えますが、筆者は哲学を真理の体系や論理的な正誤を決めるものとはしていません。筆者は哲学書を人生経験の芸術、本書を生きるためのヒントとしています。よって、本書を読むことは読者の人生の慰みと感受性の想起、そうした尊い感情による人生の支えになることにつながるのではないかと思います。


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