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MMTと通貨仮想化とベーシックインカム

現代貨幣理論(略称:MMT)がメディアに取り上げられるが多くなりました。現在の日本がその実験場になっているのかどうかはともかく、言わんとすることは分からなくないです。

現代貨幣理論
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E7%90%86%E8%AB%96

とは言っても、「自国通貨を発行している政府は、過度なインフレにならない限り通貨の発行量(自国消費される赤字国債)を増大し続けられる」という理論は、直感的に理解出来る上に無理感が半端ないです。従来の経済理論から猛烈に批判を浴びるのは分かります。


ただ、実際に今の日本で赤字を増やし続けているのに金利が全く上がらない理由を従来の経済理論が説明し切れていないところにもMMTが消えない原因にもなっているのでしょう。大量に発行された通貨は何故国民の手元に行きわたらないのか?

いっそのこと、紙幣を無くしてどこにお金があるか管理しやすい状況にしてしまえば解決するのでしょうか? ケネス・S・ロゴフの著作を持ち出すのは不適当かも知れませんが、お金の流れがおそらく大半の経済学者の頭の中と現実とで大きく異なっているのでしょう。

現金の呪いーー紙幣をいつ廃止するか?
https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/17/P55070/

キャッシュレス(あるいはレスキャッシュ)社会にすると、政府の通貨供給をダイレクトに個人の財布にもたらすことも可能です。今でも地域振興券でばらまいたことはありましたが、結局一時的なばらまきは一時的な経済効果しかもたらしません。

また消費増税に伴う軽減税率の適用や、キャッシュレス決済に対するキャッシュバックなど面倒なことをするくらいなら、仮想通貨形態にした日本円をスマホやICカードで使えるようにして、MMTが許しそうなレベルでベーシックインカムとして全国民に支給してしまえばいいんじゃないですかね。国債を発行して民間銀行が購入してそれを日銀が購入してとかいう迂路をたどらず、政府が直接国民の懐に札束をぶち込んでくれたら消費も増えるでしょう。

MMTが本当に正しいなら高インフレ状態にならない限り、ベーシックインカムは実現可能なはずです。同時に生活保護や社会保障や失業保険を減らした方がいいでしょうけれど、お金の配分の問題なので絶対に無くさないといけないわけでもないでしょう。

ここまでの暴論を日本政府が実現させるとは思いませんが、「将来の年金では暮らせません」と公言するくらいなら国民全体でMMTに乗っかっちゃうのも手じゃないですかね。少なくとも議論くらいはして欲しいです。

MMTもベーシックインカムも、否定する人の意見に感情が混じっているのがちょっと気になりますね。無軌道な赤字や働かなくても生きていけるという理屈に違和感を覚えるのはしょうがないですが、理論的に反論して、その上でさらにMMT側が理論を述べて、というのが理想的な光景だと思いますが、なんかあまりそんな感じになっていないような気がします。

私のような経済学の素人にとっては、経済学内で結論出してから世の中に出してこいよ、と言いたいところですが、経済学の難しいところは、過去の事象から未来に適用できそうな理論を構築することだと思います。あえて言うなら、過去の理論が未来で通用するとは限らないとも言えます。MMT支持派は従来の経済理論が現代の最新の情勢には適用できない(古くさい)と言っていますし、MMT否定派はMMTは机上の空論に過ぎないと言っています。理論的に説明していると両派共に思っているようですが、双方共に根本的なところでMMTに対する賛成反対の感情に支配されているっぽく見えます。感情というか信奉しているものが違うといった方が近いかも知れません。お互いに和解して昇華した結論がもたらしてくれればいいんですけど。

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