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米をもたらす雪が無くなる地球温暖化をどうするか

地球温暖化がこのまま進めば、当然ながら地球全体で様々な変化が起きるはずです。日本に限ってみても、昨今のゲリラ豪雨、酷暑、巨大台風などの影響が大きいです。

夏だけではなく、冬にも温暖化の影響があるのだということが今年の暖冬を見ると実感されます。2月の中頃に入ってようやく雪が各地で降り積もり始めました。スキー客を相手にしている商売にとってはこの記録的な暖冬はたまったものではないでしょう。

しかし物事には両面があります。この温暖化で雪国といわれる北陸地方・東北地方・北海道などでは、雪不足によって雪下ろしの手間も減るはずです。過疎と少子高齢化が進んだ地方では雪下ろしに必要な人手を確保するのが難しくなっていますから、もし温暖化によって雪下ろししなくて済むようになるのなら、かえって歓迎とまでは言わないまでも悪くないと思うかも知れません。

とは言いつつも、やはり物事には両面があります。雪国は雪解け水で成り立つ産業があります。古くは小千谷縮のような雪ざらしを生産工程に入れているような繊維産業もありますが、雪国のほとんどは米の生産量が多い地域です。

米は本来、暖かいあるいは暑い地域で生産される作物です。コメの原産地は中国南部や東南アジアと言われています。しかし今の日本で有名なブランド米のほとんどは、上記の雪国にあります。

その理由は農林水産省のホームページで説明されています。

どうして北海道、東北、新潟で米の生産量が多いのですか。
https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0405/02.html

・品種改良
・栽培技術
・寒暖差
・他産業よりも儲かる

といった理由のようですが、そもそも稲の栽培、特に水田での農業には大量の水が必要です。それも海水ではなく淡水が必要ですので、必ず川か地下水を水田まで引っ張ってこなければいけません。

雪国では雪解け水が豊富に存在します。そしてそれは一度に川に流れるのではなく数ヶ月間かけて流れます。米作りには水が必要で、そのような淡水が比較的少ない地域は昔は米に依存せず麦や蕎麦も作っていました。蕎麦の美味しい地域と言われるのは、比較的冷涼で山間にある地域が多いのはそのためです。

その肝心の雪が、冬場でも雨として降るとしたら米の生産にも影響するかも知れません。また、年中暑くなるのであれば、ジャポニカ種ではなく長粒種に適した地域になってしまい、従来の美味しいお米を食べること難しくなるでしょう。物事には両面あるとはいえ、急激な気候変動はやはり、デメリットの方が大きいでしょう。少なくとも、衣食住どれにおいても今と同じ環境を享受し続けることは難しくなります。

現在、地球温暖化に対する反応は真っ二つに分かれつつあります。環境保護を優先するか、経済成長を優先するかの両陣営がお互いに感情的に罵り合う構図になってしまっています。お互いが相手を論理的に説得するのではなく、問題の本質とは関係ない個人攻撃、人格攻撃を行っている以上、歩み寄りも解決も無さそうですが、単なる温暖化というよりも異常気象の頻発という見方をすれば、問題意識を持つ人や組織をもっと増やせるはずです。

異常気象の頻度が高まったという見方をすれば、産業界にとっても異常気象は売上・利益の減少につながりますから、利害の共通点を見出せるはずです。

例えばゲリラ豪雨によって、人的災害はもちろんのこと、それ以外にも道路・橋・線路や電線などのインフラが破壊されることにより経済的にも大きな損失が発生します。それらの復旧にかかる費用だけではなく、復旧するまで利用できないことによる機会損失もあります。

経済的な損失を自覚した企業は、CSRという社会的責任の看板ではなく、決算のためにも環境保護を意識し始めています。おそらくこの流れは局地的あるいは局時的なものではなく、今後の長い潮流となって経済界にも訪れます。まずは意識の高い欧州市場で、次いでトランプ後(来年か5年後か分かりませんが)のアメリカでも民主党候補が勝てば始まるでしょう。中国やインドなどの経済発展が著しいとしても、北米・欧州市場へのアクセスのために環境保護を打ち出すことは、企業や産業界そのものにとって必要になってくるでしょう。

その頃に環境保護派と反対派の争いになった場合、個人としてどちらに付くのか? 日本企業は? 日本政府は?

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