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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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『悪魔交渉人 / 栗原ちひろ』(富士見L文庫) シリーズを読み終えて。

こんにちは。はじめましての方ははじめまして。自称読書好きの春風です。

前回記事 『悪魔交渉人3.生贄の迷宮 / 栗原ちひろ (富士見L文庫)』を読んで。 の投稿後、シリーズ完結巻である第4巻を読み終えまして、その感想とシリーズの総括を書きたいと思います。

◆なによりさきに謝辞を

前回記事の投稿時に『悪魔交渉人』の著者・栗原ちひろさんにTwitterでコメントをいただきました。noteから他の方のnote記事にリンクを貼ると相手方に通知が行く、という機能があるらしいのでそちらからだと思いますが、挨拶より先になってしまったことをまずお詫び申し上げます。

◆シリーズ最大の謎、解決する

こちらも前回の記事で『(主人公・鷹栖晶の勤める)WMUA・NITTOH美術館の読み方がわからない』と書きましたところ回答をいただきました。

意外とそのままだった!作中にはルビがありませんが『世界博物館連盟所属』とあるので『World MUseum Association』の略っぽいですね。

そして更に、

装画のTHORES柴本さんも読み方知らなかった!?というわけなので、読者がわからなくても致し方なしです。公式発信で正解がわかるとスッキリしますね。貴重なご発言をありがとうございました。

◇悪魔交渉人4.天使の方舟

(あらすじ)戦前に沈んだ謎多き難破船の回収品調査のため、豪華客船に乗り込んだ鷹栖晶と相棒の音井、そして森木。調査開始早々悪魔の気配を感じ、回収品がかつて日本に存在した悪魔研究機関・ファウスト機関が密かに日本に持ちこもうとしていたものだったことを知る。奇しくもバチカン、WMUA、そして秘密結社が船上に集結、ファウスト機関の遺品を巡り、三つ巴の抗争が勃発した。そして明らかにされていく回収品の秘密。「晶。僕はまだ君のことが好きだ」音井を尻目に、悪魔交渉人・晶の最後の事件が幕を開ける。

◇「晶。僕はまだ君のことが好きだ」

読む前にあらすじの中で一番気になったワードです。一見するとドラえもんの最終回のような雰囲気のセリフに思えます。音井遊江は悪魔といえど晶ががっつり死んだ後にだって無傷の状態で生き返らせてくれるし、その他オプションでさまざまな雑務もこなしてくれるからドラえもんに近いものも感じなくはないです、悪魔ですけど。

表紙の昌・森木・音井の衣装も喪服に見えなくはないし(実際はタキシード)読む前からドキドキする展開になることだけは確かでした。

◇どんでん返しがあります

4巻内で一番面白かったのはこのどんでん返しです。とある事柄についてが二転三転するのでめっちゃ面白かったです。愚痴っぽくなりますが、昨今のミステリー小説の帯等での『大どんでん返し』という誇大広告にはうんざりしていまして、特に『このミス』(の隠し玉もの)に多いんですけど……そういうのを何作か読んだせいだとは思います個人の感想です。

この悪魔交渉人のどんでん返しは、正しい答えらしきものが登場はするがあまり確信が持てない、あれあれ実は違うらしい?正解はこっち?と読んでいてずっと面白かったのです。武器が針だし、チクッとするアレに似てなくもないのでもしかして?と思ってしまいました。

自称本好きではありますが読書自体は苦手のために引き込まれる小説は本当にありがたくてしかたないです。疑問に思い、その真実が知りたくて、それ以外は何も考えられなくてスルスルと読めてしまう、気付いたら読み終わっていた、という小説がわたしが読みたい理想の小説です。

◇なにを書いてもネタバレになってしまう

シリーズの最終巻ということで全ページが #ネタバレ 満載だった4巻です。noteは反転などでネタバレを防止できる機能がないようなので、ですが、本当にネタバレをしたくないときはこんなタイトルの記事は開かないと思いますが! わたしなら知りたくなかったな~と思うことについては書かないのでご興味がありましたら悪魔交渉人シリーズをぜひ読んで下さい。

伏線はある程度は回収されていました。『ある程度』と表現したのは、そこまで風呂敷の広げ方が広かった作品ではないので(各巻ごとに回収するべきものは回収しているので次巻に疑問を持ち越さなくいられのもあります。)悪魔交渉人シリーズは読者が特に気になるだろうなと思ったところをまず優先して回収してくれているような作品だったように思います。それが『ある程度』です。

部分部分では気になる点もありました。たとえば1巻、エジプトの事件などは、どうして爆発事故が起こったんだろう、晶と音江はなぜ巻き込まれたのだろう、と思いました。思って普通です。ですが特には詳細は書いてありません。省いてあると言ったほうが正しいとわたしは思いました。音井の死、そして晶と悪魔との出会いであったためにその辺の描写はあとあとでなされますが、それも『ある程度』でした。描いてあるそれ以上は描写の必要がなかった、と作家さんが判断されての結果なような気がします。晶と音井と森木の大学時代についても同じことが言えると思います。少し描写はされている。でもそこまで詳しくはされていない。想像にお任せする、お任せしても大丈夫だ、とそういうメッセージだとわたしは感じました。

小説は『描くことで表現する』ものではありますが、この『描かないことで表現する』がなされている作品は尊敬してしまいます。一段上な気がします。漫画や映画でも同じかもしれません。

◇一番好きなシーン

一番沁みたのは、最後。終章のひとつ前のラストのシーンです。このシーンを読むために4巻読んできたといっても過言ではないくらいに、晶と音井の間で交わされたセリフが最高でした。

◇興味深い終章

そして、なんといっても終章。4巻最後の章で数年後の晶達についての描写がされています。興味深過ぎてここだけ何度も読み返しました。なにひとつ読み逃したくなかった章です。

感想は書きたいんですけど作品のかなり大事なところだと思うので記述は控えます。ということで、ぜひ読んでみて下さい。読んでみて、わたしはこの作品は好きだなと思いました。

◇男二人のバディモノを読むとき、これを重要視している

ずばり『恋愛描写について』です。主人公もしくは相棒が誰かしらを相手に恋愛をするかどうかを重要視しています。

ある小説もあれば、ない小説もある。わたしの場合は、ないほうが望ましい、という具合です。恋愛モノも読むには読むんですけど、今はいらないみたいな感じです。仕事と恋愛は分けてほしいような、恋愛のお話はどこでも読めるからの気がします。

悪魔交渉人シリーズには恋愛要素はありませんでした!

とわたしは考えます。なぜなら、

◇想像にお任せする、なので好きに想像にさせていただく

これです。想像にお任せする(作品を読んでそう言われているように受け止めたので)、なので好きに想像にさせていただきたいと思います。

森木という女性の存在もあるので、晶が森木と恋愛をしたと想像するのもよししなかったと想像するのもよしだと思うんです。最後まで何も匂いすらも書かれていないのでどっちとも取れます。読み手の好きに想像したらいいのではないかと思います。心の中で妄想するだけなら誰も傷つけませんから。

◇『悪魔交渉人』シリーズの総括

『真実を見る』鷹栖晶と、『秘密』を大切にする音井遊江。二人が出会い、共に過ごし、ときどき交渉もするなかで、晶が見えなかったものがあり音井が隠せなかったものがあることを読んでて気付けた。言葉って大事だ。嘘ではない気持ちを伝えることって大事だ。晶と音井は最後にほんの少しそれができたから、ここからの彼らはシリーズ本編内で描かれた以上の関係になれると思う。『交渉』の目的はお互いに妥協点を見つける、つまるところの譲歩だから、晶と音井が譲り合い、分け与えたかたちが終章で描かれていた未来の彼らの姿であるならば納得する以外ほかにない。

◇おまけ、『悪魔交渉人』のCMを見つけたよ

富士見L文庫公式のYoutubeがあったようでした。数年前より更新がないので現在は稼働してはいなさそうです。

KADOKAWA 富士見書房の新レーベル「富士見L文庫」の創刊を記念して、声優/小野友樹・江口拓也出演のCMを作成しました!
創刊ラインナップの中から「悪魔交渉人」の一部を朗読してもらいました。
友人を事故でなくした主人公・晶を演ずる江口拓也と、死んだ友人の身体を間借りする悪魔役の小野友樹の掛け合いをお楽しみください。

長尺バージョンもありました。

◆外部リンク

富士見L文庫公式内『悪魔交渉人シリーズ特集ページ』

◆後記ひとこと

noteのヘッダーに小説の写真が使えたらいいのだけど著作権的に表紙だけでもまずくて個別に問い合わせて許可をもらえた場合のみ可能らしい。調べてみるとKADOKAWAは個人からの問い合わせ自体を受け付けてないらしいぞ!(←こちら

Q出版物の表紙・カバー、パッケージ画像を転載したい。
A個人のお客様への出版物の表紙・カバー、パッケージ写真の許諾は行っておりません。

残念わたしは個人だ。KADOKAWAでなくても今後何冊も投稿するのの全部を問い合わせになると大変だから自分で画像を作るなりしようかな。しかししばらくは画像なしでやっていくこととしよう、大変だから。

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