少子化の真の原因とは何か?
電車で赤ちゃんが泣いていたら
あなたはどう感じますか?
少しくらいは
「うるさいな」、「あっち行けよ」
って思ったりしませんか?
私は職業柄か
赤ちゃんが身近にいると
逆に嬉しく感じてしまうんですよ。
『子はかすがい』いと言いますが、
その意味を身近に感じて頂きたく
今回は少子化について触れていきます。
それでは突然ですが、
岸田政権の「異次元の少子化対策」の内容を
ご存じでしょうか?
出産費用の保険適用
学校給食費の無償化
児童手当の所得制限撤廃
高校卒業まで支給延長
多子世帯の給付額見直し
子育て世帯の公営住宅への優先的な入居
住宅ローン・フラット35の金利引き下げ
主なものを列挙しました。
字面だけをみると
一見、手厚い対策に見えますよね?
しかし、おそらく貴方も
「これで少子化は解消されない」
と感じてしまうのではないでしょうか?
私もそう思います。
企業の採用に携わるものとして
少子化問題は非常に重要な関心事です。
(将来の労働人口減少に関係しますので…)
そこで、
あまり詳しくない方に向けて
誰でも分かり易くまとめました。
去年の出生率1.26で、80万人を下回り、
過去最低 7年連続で前年を下回りました。
少子化の加速が止まらない…
その真因を検証していきたいと思います。
異次元の少子化政策の矛盾点
まず、
少子化政策=子育て世代への支援
という誤解があるのではないか?
これを私は主張したいのです。
子育て世代である私も含め、
援助してもらえるのは
非常にありがたいことです。
しかし、
少子化対策と呼ぶには不十分なのです。
それはなぜだと思いますか?
私なりに若者が抱く不安をまとめました。
【若い世代が抱く不安】
①結婚や子育てをイメージできない
②職場環境が子育て世代に優しくない
③経済状況が苦しく結婚ができない
これらの「不安」を解決せずして、
少子化対策はあり得ないと思います。
小さい予算でできることしかしない
(=子育て世代だけにターゲットを絞る)
故の結果ではないでしょうか?
予算を11兆円余らせて
投資するのはたったの3~4兆円です。
少なすぎる…そう思いませんか?
①結婚や子育てをイメージできない
まずは以下のデータをご覧ください。
国立青少年教育振興機構
若者の結婚観・子育て観等に関する調査
(H28.11.1)より抜粋
いつかは結婚したいと思っている人の割合
男性:約71.0%
女性:約80.6%
こどもは欲しくないと思っている人の割合
男性:25.6%
女性:24.0%
子育て願望のない人の割合
既婚:20.0%
未婚:25.9%
既婚の5人に一人、未婚の4人に一人は
こどもが欲しくないという点が
個人的には気になるのですが…
しかし、それ以上に
『結婚願望や子育て願望はある』
という事実に驚かれたと思います。
今の若者は結婚や子育てに興味がない
勝手に決めつけるのは間違っています。
マスコミやSNSでも
ネガティブな情報だけを切り取って
発信をしてはいないでしょうか?
子育てが身近で、かつイメージをしやすい
コンテンツがもっと露出していて欲しい…
そのように強く感じます。
②職場環境が子育て世代に優しくない
育休の取得状況に関して
厚労省の令和3年度雇用均等基本調査を見ると…
育休取得率
女性:85.1%
男性:13.97%
取得日数
5日未満 :25.0%
5日~2週間:26.5%
※51.5%が2週間未満である
この数値から読み取れるものとして、
企業側の制度が未整備
周囲の育児に対する理解不足
があると感じます。
特に中小企業においては余裕がない
(マンパワー的にも人件費的にも)
と推測されます。
また、取得する側にとっては
キャリアのブランクや不利益が生じたり
年収の低下を恐れて、あまり取得できない
といった背景が推測されます。
更にもう一つ、大きな変化として
三世代が同居する割合の減少したこと
も理由として考えられます。
三世代が同居する割合は
2019年の国勢調査ではわずか5.1%です。
自分の親にこども預けて働ける…
そんな昭和の時代の働き方は
もはや過去のものとなってしまいました。
今の母親は、
「子育て」ではなく
「孤育て」なのです。
何かあっても、親もおらず、夫は仕事。
不安な日々を過ごしている母親の気持ちを
本当の意味で想像できるのか?
想像力を働かせて
みんなで協力する必要があると思います。
③経済状況が苦しく結婚ができない
おそらくこれが一番の理由でしょう。
日本人の30代男性の年収をみると
中央値は400万前半です。
しかし、ボリュームゾーンは
300万円~400万円未満となります。
300万円未満:14.9%
300~400万円:27.4%
400~500万円:25.0%
500~600万円:15.6%
600~700万円:8.7%
700~800万円:4.1%
800~900万円:2.1%
900~1000万円:0.9%
1000万円以上:1.2%
※doda調べ(2018年9月~2019年8月)
次に、先程ご紹介した
若者の結婚観・子育て観等に関する調査
の中でも数値で明らかになっています。
年収別の結婚できない理由
経済的に厳しいに当てはまる人の割合
100~199万円:70.5%
200~299万円:73.3%
300~399万円:60.6%
400~499万円:43.9%
500万円以上 :37.7%
※年収400万円未満の人の半数以上は
経済的な理由がネックになっています。
経済的な要因が大きいことで
そもそも結婚ができないと感じてしまう…
それでは少子化対策どころではありません。
これは非正規社員の増加によって、
日本では300万円未満の所得の人が
30代男性で6人に一人はいる
という実態があります。
アンダークラスと言われる貧困層が
男女合わせて約1,000万人に迫る勢いで
増加し続けている実態があるのです。
これは関連する記事のリンクを張って
おきますので、少しでも興味のある方は
ぜひご自身の目で確認してみてください。
真の原因とは何か?
これまでの話を整理します。
①結婚や子育てをイメージできない
結婚願望も子育て願望があるのに
ネガティブな情報に溢れているため
若い世代が将来のイメージができない。
②職場環境が子育て世代に優しくない
育休を取れる雰囲気が希薄であり
男性はまだ浸透していない。
加えて、女性も周囲の理解不足や
自身のキャリアや待遇の低下を恐れ
満足な期間を取得出来ていない。
そのため「孤育て」になっている。
③経済状況が苦しく結婚ができない
年収400万円未満では、
半数以上が結婚は難しいと感じている。
非正規社員の増加やコロナショックで
格差が社会問題化している実態を
私たちはもっと知る必要がある。
結論として、
核家族化による『孤育て』への不安
貧困化による『経済的』な不安
これが少子化の真の原因である
というのが私の見解です。
従って、支援すべきは
子育て世代だけではありません。
結婚を意識する20代~30代の若者を
どう経済的に支援していくのか?
結婚や育児のイメージを抱いてもらうには
どう制度設計をすれば良いのか?
雇用問題や企業の取り組み、
メディアを中心とした気運の醸成など
取り組むべき課題は山積みです。
このように
決して単純ではない構図を
打開するにはどうすれば良いか?
労働人口の減少という差し迫った問題に
私たちはどう立ち向かっていくべきか?
これを次回お話したいと思います。
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