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昼月まひる
2024年4月5日 07:42
ふたりめの弟が生まれたとき。すでに弟をひとり従えていた私はもうすっかり母親気どりで、この子の名前は「桃太郎」がいいと言ったらしい。自分にだって、本当はもっとふさわしい名前があるのだと。 さくら 5歳の私がなぜか名乗りたがったというその名前は、儚い春の香りがした。 一年のなかでも、桜の時期が一番好きだ。なんでこんなにも心惹かれるのが、ほんのひとときだけ美しい姿を見せてすぐに散ってしまう