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小説|晩産のたしなみ。

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いわゆる晩婚、もしかしたら「晩産」に至れるかもしれない40代のリアルデイズ……。いちコピーライターとして初めて書き残したくなった自分ごとは、苦節9年、不妊治療の行末でした。普通の…
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2022年12月の記事一覧

DAY25.  シラサギの舞う日に

DAY25.  シラサギの舞う日に

 つい、出来心だった。最後になるかも知れない移植前に、できるだけストレスを減らしておきたかったのだ。

「なんか、思ってたよりも……。そうか、こういう感じになるんですね……」

 これまでにない手触りのする髪を弄びながら、目の前の大きな鏡をまじまじと眺めた。

「もう少し、サラッとした感じになるのかと思ってたな。ブローいらず、みたいな……」

 そこに映るのは、ひとり自分の顔を見て苦笑している私と

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