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☆.15 Continuing education~って!(継続的な専門分野の教育)

外資系組織での長いHR経験の中で、立ち後れ感がある領域の一つが職業や職務に関わる社会人のための"継続的な専門分野の教育”(リカレント教育やフルタイム就学など)です。経済学者の中には、「現代社会に適応していくためには、生涯にわたって教育を受け続けることが重要であり、必要に応じて労働と教育を交互に行える状態が好ましい。」と提唱する人もいます。そこで、HRの見地から、必要だと思われる理由と提案を書きたいと思います。

まず最初に、日本での社会人のための教育制度と学歴についてですが、多くの組織では、採用する人材に最終学歴の記載を履歴書にて求めていると思います。この学歴の確認は、専門知識や特別な資格が必要な場合であって、業務遂行に必要な学歴であれば理解できますが、”とりあえず”大学を卒業していれば直接業務に結びつかなくても職務経験でカバーできる。と、いう認識で一応最終学歴に大学の卒業を求めている組織が多いと思います。1. その様な会話を組織内で聞いた事は、ありませんか?2. なぜ大学を卒業している必要があるかを話し合った事は、ありますか?3. 特に中途採用面談で、応募者に、組織のトレーニングや"継続的な専門分野の教育”、などを受けたかなどを確認していますか?

HR分野を例にあげると、欧米のようにHR専門課程やHRに特化した専門分野が日本の教育制度にはありません。(経営学部/経済学部の人事系は含めません。)従って、HRを学問として専攻、する場合の選択肢は、海外の大学/大学院や専門課程(CIPD)などの教育制度を利用する事になります。私自身も欧米大学院や専門課程のHR management等の修士を現在持っていません。(いつか勉強したいと思っています!)しかしながら、イギリスの外資金融に在籍中の5年間、HRトレーニングを受け続ける事ができ、当時のHRエリア領域の知識を網羅できました。そして、“継続的な専門分野の教育“が必要な理由を学びました。大変感謝しています! 尚、CIPDについてのお問い合わせは下記までご連絡ください。
SSK Communications HR推進部: HR推進部担当: 杉本
email: d_sugimoto@ssk-com.co.jp
tel: 070-1442-2629

実際、日本で、組織に入り職務を遂行する中で、"継続的な専門分野の教育”を受け続ける事ができた人が、どの程度の割合でいるでしょうか? 例えば、アメリカでは、医師や看護師は、2年毎の資格更新制度となっており、”継続的な専門分野の教育”を受けなければいけません。全ての職業に資格は必要ありませんし、更新制度が必要だとは思いませんが、“継続的な専門分野の教育“は、1. 情報をアップデートしていく作業、2. 訂正された情報を修正していく作業、3. 新しい挑戦やモーチベーション向上のトリガーになり、定期的に行う必要が全ての職業にあると思います。

現在の中途採用の求人広告などには、職務経験10年以上の人材に対して最終学歴は、大学卒業が最低条件で、MA,MBAがあれば尚可、のような組み合わせをしばしば見かけます。これらのJDは、人材に求めている能力/経験/将来性が曖昧で違和感があります。その理由は、上記で述べた様に、人材が高学歴であっても、10年以上前の専門分野の情報から知識がどの程度アップデートされているかが不明だからです。例えば、私が日本の外資系企業でHRのポジションに就いたときには、経営上層部をサポートするビジネスパートナーのような役割はJDにはありましたが、HRBPという役割のポジションは、未だありませんでした。(欧米諸国ではHRBPの職務における役割は、確立されていました。) 現在では、日本でも認知されているポジションですが、残念な事になっているケースもあります。実際の面談での経験ですが、組織やHRがHRBPの役割を誤って解釈されている事が沢山あります。この理由の一つに、"継続的な専門分野の教育”制度がない事があげられると思います。

組織や職業によって求められている能力と経験は違うと思います。しかしながら、専門分野の知識をアップデートすることは、大変重要だと思います。現在の日本では、一度教育課程を修了するとそれが継続的に永遠と最終学歴として認識されます。この様な認識では、1. 人事評価を最新のものにしても、あまり意味はないと思います、と同時に、2. 働く人が職務の遂行を行うだけでなく、次へのステップを歩めるように促す必要もあると思います。そして、3. 職務範囲だけでなく新しい領域への挑戦が可能になると思います。組織であれば、4. これが働く人のモーチベーション向上にもつながり、組織全体のアップグレードにもつながると思います。

これからの組織と働く人の成長のためにも、社会人への教育制度を導入していくべきだと思いますし、eラーニングなどの選択肢も増え、ようやく身近になってきたと思います。過去の就学を否定するわけではありませんが、変革の激しい時代となり情報がアップデートされるスピードも大変早くなりました。個人が準備できたタイミングで、"継続的な専門分野の教育”を考えてみてはいかがでしょうか!そして、組織が後押しできれば、組織と人の成長につながると思います。

尚、"継続的な専門分野の教育”は、選択する教育制度や就学内容によりコストが違ってきます。ハローワークも含め、色々なソースから情報を集める事をお勧めします。また、リカレント制度についてもネット検索をしていただくと、詳細を確認していただけます。







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