生き方を自分で選ぶために、選択肢を広げておく〜株式会社ヌーラボ 安立さんのキャリア〜
人事のキャリアについて深掘りするメディア「HR CAREER LAB」では、日々同じように頑張る「社外のライバル」や「一歩キャリアの先を行く人」の歩んできたキャリアの体験談を紹介しています!
今回は、株式会社ヌーラボで人事を経験後、現在はコミュニケーション部で広報として活躍される安立さんに、これまでのキャリアについてお伺いしました。
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インタビュイーのご紹介(安立沙耶佳さん)
進学時の悩みから"キャリア"に興味を持ち、リクルートへ
学生の頃からキャリアについては悩んでいたタイプだと思います。新潟から上京して大学進学する際に「なぜ東京に行くのか」「地元ではダメなのか」という家族からの問いに向き合う必要がありました。私としては「これから何をして生きていくかを決めるために東京に行くから、地元に閉じ込めて、私の可能性を減らさないでほしい!」という思いが強かったのですが、それを分かってもらうのがなかなか難しくて…。
そのような経緯を経て大学進学したので、バンド活動に没頭する大学生活の中でも心のどこかに「私はどういう進路を選ぶのだろうか」「東京に出てきたからには、何をして生きていくかを考えなければいけない」というキャリアに関する悩みがありました。そのため、バンド活動中は怠惰で不真面目な自分でありたいと思いながらも、一方で1年生の時から自分の名刺を作って社会人の方にたくさん会って、自分の進路を真面目に模索している、二面性のある大学生活でした(笑)
当時は「朝活」が流行っていたので、朝活に参加してその主催者の方に話を聞き、そこから知り合いの方を紹介してもらい、累計300人くらいは学生時代にお話を聞いたと思います。そんな中で、一番楽しそうに仕事をしていたのがリクルートの人だったということもあり、自分自身がキャリアの悩みを抱えていたので「人材系だと志望理由等が作りやすい」という打算的な理由もあり、リクルートエージェントへの就職を決めました。
学生時代に色々な社会人の方と話して「どこで社会人をやっても、だいたい辛いものだ」と思っていたので(笑)、入社前後のイメージのギャップはあまりありませんでしたね。辛い前提で、相談に乗ってくれそうな人がいる会社を探した結果のリクルートだったので、挫折してボロボロになることがあっても相談できる先輩がいることで、安心して仕事を続けられたと思います。
入社後はWeb業界専門のチームで営業を経験しました。当時はまだベンチャー企業が今ほど一般的ではなく、どこもエンジニア採用に苦戦しており、営業担当としても「紹介できるエンジニアがそもそもいない」ことが悩みの種でした。そこで、ある程度営業を経験した後に、エンジニア集客のノウハウを知るため、社内転職制度を利用して社内のエンジニア向けの新規事業チームに異動しました。
異動後1年程は何もできずに自信をなくして落ち込むことも多かったのですが、2年目からはできることが増えて成果が出てきました。その一方で、自分がこれから社内でどういうキャリアを築いていきたいのかについては、漠然と悩み始めた時期でもありました。
偶然の出会いから、ヌーラボの人事へ
異動して1年目の年度末のタイミングで地方出張が入り、福岡と大阪に営業に行く機会がありました。今思えば「(期末でもう売上にも入らないし)少し地方で羽を伸ばしておいで」という粋な計らいだと思うのですが、全然そんなことには気づかず、アポを取ってスケジュールをギチギチに埋めて真面目に地方出張してしまいました。その時に、アポイントが取れた企業の一社がヌーラボでした。
営業に行った際に「自社の発信やイベントでリファラル採用ができるので、エージェントにお願いする必要がない」という、エンジニア採用担当者なら誰もが羨むような状態だったため、独自の強みがある面白い会社だという印象は残っていました。一方で、当時異動先で結果が出せるようになって面白い時期だったので転職予定もなく、ヌーラボへの転職は考えてもいませんでした。
しかしその後、しばらくしてヌーラボから人事としてのお誘いをいただき、この会社であれば人事としての枠に捉われずに仕事ができそうだという感触があり、転職を決めました。これまで経験した「営業のための開発」といった文化が強い組織ではなく、真逆の開発者しかいない組織(入社当時)を経験してみたかったことも、転職の後押しになったと思います。
ひとり人事として、人事機能の立ち上げ
ヌーラボ入社後はひとり人事として、採用から着手しました。当時はメンバーが約40人に対して採用目標が30人という、積極的に採用をしていた時期だったので、「採用する」ことと「採用できる組織にする」ことに同時に取り組む必要がありました。そのため、今まで使ってこなかった媒体に出稿したり、エージェントとのコミュニケーションを行ったりと採用を推進する傍らで、既存メンバーの給与が市場価値と照らし併せて適正なのか、給与体系を見直すことから始めました。
採用については、自分がエージェント出身だったので、「自分がやられて嫌だったことをやらない」ことを徹底しようと決めていました。その上で、「今この情報があれば助かるはず」というタイミングで情報を渡したり、書類には自分でしっかりと目を通したり、会ってみないと分からないポシジョンの場合は面接を厭わずに行ったりと、一つ一つを改善していけば、採用ができるイメージ沸いていました。そのため、頭の中ですぐに採用方針を立てて、その方針を元に理想を描いて突き進んでいました。
採用広報についても前職で必要性を痛感していたので、1年目から着手しました。特に本社が福岡にある企業なので、地元福岡のエンジニアコミュニティ等に社名を認知してもらう重要性が高く、イベントも頻繁かつ積極的に行っていました。その後も丸4年くらいはひとり人事として、採用活動等の業務を行いました。
一方で、制度設計等は初めてだったので、当初はリクルートの制度を参考に手を動かしていましたが、今振り返ると全く上手くできていなかったと思います。人事のメンバーを増やした後に、外部コミュニティで知り合った他社人事の方から制度設計を教えてもらう機会があり、そこで学習してから5年目頃にやっとスタートラインに立てたと思いました。
その他にも、Backlogを使って自社の採用後のオンボーディングを設計したり、社内研修のワークショップを企画したり、まだまだ人事としてやりたいこともできることもたくさんあるぞ!と思っていたタイミングで、突如広報への異動が伝えられました。
人事から広報への異動と新たなチャレンジ
人事から広報への異動は、正直ショックな部分もあり、葛藤もしました。一方で、採用広報という観点では「認知獲得」の重要性は分かっており、今まで「管理部門」という枠では実施できなかった施策が広報ならできるということも分かり、広報に挑戦する道を選びました。広報部門の戦略を聞いた時に「こういうことをしてみたい」というアイデアが湧いてきたので、切り替えは割と早く「広報でやったるぞ!」と覚悟を決めましたね。
最初はメディアリレーション作りのために、アポを取ってメディアの方と会い、自社を売り込むところから始めました。当初はマーケティングの部署とPRの部署が同じところにあったので、ユーザーさんとのウェビナー等も手伝っていました。ひとり人事からひとり広報になったので、「これで正解がわからない」という難しさはありましたが、上司にフィードバックをもらいつつ進めていきました。
現在は、ヌーラボで広報として、社内外の広報活動やコミュニティ運営に携わっています。コミュニケーション部の下に広報があるので、ワークショップデザイナーの資格を生かして、社内イベントのワークショップ設計をしたり、社外のコミュニティデザインをしたりという珍しい仕事もしています。
人事の経験が広報に活きるポイント
人事の経験が広報に活きる場面はたくさんあります。例えば、人事時代の横の繋がりは、広報としてイベントの共催を打診する際に活かせました。広報になって自分のチームのメンバーをリファラルで採用したのですが、これも、人事での採用経験があるからこそできたことです。ちなみに上司も、人事時代にリファラルで採用した方です(笑)
また、メディアとのリレーションを作る際に、社員のバックグラウンドやプロフィールが頭に入っていることも、人事出身の強みでした。メディアで特定のテーマに沿って個人を取り上げたいような相談を受けた際に、全社員の情報が頭に入っていることですぐにその方に打診をして、推薦につなげることができ、自社メンバーの取材の機会を掴むことができます。普通に仕事をしていても、自社メンバーのプロフィール等の情報が自然と入ってくることはないので、ひとり人事としてほぼ全員自分が採用面接したことが、今の仕事に活きています。
元々、人事は採用面接で当然会社の説明をしますし、採用広報では「採用したい方とどう繋がるか、情報をどう届けるか」について考えます。最近の採用活動にはマーケティングの視点は必須だと思っており、単に求人を出して応募を待つのではなく、集客や認知獲得から動く必要があるので、そういう意味では、そもそも人事と広報の仕事は重なる部分が大きいと思います。
逆に他のスキルが必要になる点としては、広報はメディアに対して自社を「売り込む」必要があるので、人事ではない「営業スキル」が求められるということは大きいと思います。私の場合は一社目が営業だったので問題なかったのですが、人事のみの経験で広報に異動すると、大変かもしれません。
生き方を自分で選ぶために、選択肢を広げておく
ヌーラボに転職してからは「自分のキャリア」よりも「会社の今後」を優先して、常に「会社がやりたいことをやるために、自分のスキルは足りているか?」「目の前の人に貢献できているか?」ということを問い続けています。そもそも会社が伸びていかないと、自分のキャリアが構築できないという状況になったので、主語が完全に「会社」になった瞬間に、個人のキャリアには悩まなくなりましたね。そのため、短期的なキャリアについては「会社のために役に立つ人である」ことに集中しています。
長期的なキャリアについては「自分で選択できる状態を作っておくこと」を大事にしています。大学進学の際に自分の希望だけでは進路を決められずに苦しんだ経験もあり、「自分で生き方を選べるように、選択肢を広げておきたい」という思いは強いです。
自分ができることが広がれば広がるほど、将来に選択肢を残すことができます。営業・事業企画・人事・広報と経験したことで、掛け算でできることが増えましたし、副業や地方コミュニティでの人との繋がりがあれば、今の会社や今住んでいる場所に依存しない、将来に対するリスクヘッジになります。
本業の他に副業をしたり、地方コミュニティと関わったりしていますが、短期的なキャリアと長期的なキャリアどちらも大事にしたい思いが、今の自分のキャリアを形作っていると思います。本業で成果を出すために飛び込んだコミュニティとの関わり方が、思わぬ形で長期的なキャリアの選択肢を広げることもありますし、長期的な選択肢を増やすための活動で「本業を疎かにしている」と思われたくない気持ちが、さらに目の前の仕事へのコミット具合を高めてくれます。
短期と長期、どちらも自分にとっては楽しくかつ重要なことなので、会社へのコミットと、自分の叶えたい未来のための活動の「共存」は、これからも大事にしていきたいです。
キャリアインタビューを最後までお読みいただき、ありがとうございました。インタビューの後編は人事のための無料コミュニティ「ひつじんじ」にて限定公開しております。コミュニティへのご参加申請はこちら よりお願いいたします。
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