自分がワクワクする方へ、歩いてから考えても良いと思う〜株式会社スープストックトーキョー辻田さんのキャリア〜
人事のキャリアについて深掘りするメディア「HR CAREER LAB」では、日々同じように頑張る「社外のライバル」や「一歩キャリアの先を行く人」の歩んできたキャリアの体験談を紹介しています。
今回は、株式会社スープストックトーキョーの人事担当 辻田さんにこれまでのキャリアについてお伺いしました!
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インタビュイーのご紹介(辻田弘基さん)
向いていないと思った「人事」を自分の仕事に選ぶまで
1社目は新卒で東京メトロに入社しました。性格的に「最新の技術/サービス」というよりは「目立たないけれどなくてはならないもの」の方が格好良いという感覚があり、インフラに携わる仕事がしたいと思って入社しました。
最初は現場の研修で実際に駅員として働き、なかなか普通の企業ではできない経験をさせてもらいました。交通は人の命を扱う仕事であり、体力的にも精神的にも大変でしたが、現場の方の大変さを知ることで、本社に戻ってからも現場へのリスペクトを忘れずに仕事ができたので、とても貴重な機会だったと思います。
研修が終わった後、現業部門の人事に配属されました。当時はまだやりたい職種が見つかっておらず、総合職としてジョブローテーションがある中で、それぞれの仕事に向き合ってみようと思っていました。配属や退職の手続き周りや育成周りの仕事をしました。当時は正直、人事は現場の方をサポートできるやりがいがある一方で、やはり大変で、自分に向いているとは全然思っていませんでした。
その後、本社の人事部に配属になり、労務として労働時間の管理や働き方改革関連の制度設計を経験しました。今までに比べて、本社で見る領域が広がったことで、自分の会社がやっている色々な事業について知ることができたのは、貴重な経験でした。人事という仕事の奥深さにも魅力を感じ、もっと追求してみたいという気持ちも芽生えました。
具体的には、人事には正解がないということが面白いと感じました。相手は人なので、同じことをやっても喜ぶ人もいたら嫌がる人もいます。書籍等に書いてあるやり方がそのまま上手くいくとも限らず、もっと人事の知見を深めていくにはどうしたら良いのかを考えていました。
その結果、次のジョブローテーションで人事以外の仕事に変わったとしたら、素直に仕事に向き合えないと感じ、転職活動を始めました。せっかくあと何十年も働くのであれば他の企業も経験してみたいという思いがあり、もっと人事を深めたらどうなるだろうという好奇心もあり、当時はあまり転職に対して恐怖を感じませんでした。
挫折と成長を通して、0→1への挑戦へ
当時はSaaSの企業が世の中に出始めた頃で、話を聞くと毎月10人近くの人が入社して、組織がどんどん変わっていくフェーズだということを知り、それがすごく面白そうだと感じて、ラクスに入社しました。
いきなり規模が小さいベンチャーに行くと、これまでの自分の知見が役に立たない恐れがあると思い、0→1というよりはまずは今の時点で制度は揃っていて、ここからブラッシュアップしていくようなフェーズに関わりたいと思っていました。
入社後は、やりたかった人事企画にしっかりと取り組めたので良かったと思います。仕事のスピード感が前職より早いので、自分自身もどんどん吸収して成長している実感があり、「自分はこれくらいのスピード感で成長したかったんだな」ということが改めて日々わかりました。
一方で、即戦力だと思って入社したものの、そのスピード感に慣れるのに時間がかかり、立ち上がりは苦戦しました。言われたことをやることしか最初はできず、課題を見つけてきて自分で考えることは全然できていませんでした。いわゆる「挫折」を味わえたことも、転職しないと経験できなかった経験ができたという意味では、良かったことでした。
当時は本当にがむしゃらに業務に取り組んでいて、夢中すぎてところどころ記憶がない位です。今になると、育成込みの採用だったと分かるのですが、当時は「即戦力にならないと!」という焦りがありましたね。
ひと通りの人事業務を経験させてもらう中で、人事企画として、制度が出来上がる前の状態から仕事をしてみたいという思いが湧いてきました。
ラクスでの経験と成長があったからこそ、前回の転職の時には無理だと思っていた0→1にチャレンジしたいと思えるようになったと思います。
これまでの経験を糧に、人事の幅を広げたnote時代
次の転職の際には、フェーズだけでなく、事業に興味が持てるかということやミッションに共感ができるか等についても意識して企業を探しました。その中で、noteが目指している世界観への共感があり、その助けになれるなら嬉しいという気持ちで、入社しました。
また、経営層との距離感の近さであったり、経営層の人事への期待値であったりも確認して、noteを選びました。
入社してすぐに、希望していた「0から制度を作る」という経験をさせてもらいましたし、前職からさらにもう一段階早い、ベンチャーらしいスピード感を体験して、とても刺激的な毎日でした。それに慣れるのにまた時間がかかりました。
当時のnoteは規模が拡大している時期だったので、そのような環境で制度設計やバリュー浸透等に挑戦させてもらったのも、貴重な経験でした。そのフェーズで入社しないとできなような人事業務を任せてもらえ、とても楽しかったです。
人事企画や制度設計等をやるにあたり、他社の人の知見を借りることも重要だと思い、今まで以上にSNSやコミュニティなどの横の繋がりを大事にするようになりました。人事の方たちは優しくて、自社の取り組みをシェアしてくれるので、その中で自社に合いそうな情報を参考にして進めていました。
正直、noteでまだまだやりたいこともやれることもあり、転職はまだまだ先のことだと思っていたので、スープストックトーキョーへの転職は自分でもまだ上手く説明できない部分があります。
理念に惹かれて、葛藤の上で「自分のためだけではない」転職
たまたまスープストックトーキョーの方とお話しする機会があった際に、企業理念を知り、深く共感しました。スープストックトーキョーは『世の中の体温をあげる』を理念として掲げているのですが、それを聞いた時に、そういう会社が世の中に必要だと思ったことがきっかけです。
自分自身、周りの人たちを温められる存在でありたいという思いがあったのですが、そういった漠然とした思いがスープストックトーキョーの『世の中の体温をあげる』という理念を聞いた時にスッと腑に落ちた感覚がありました。
これまでは「自分がこういう経験を積みたい」という思いで会社を選んできたのですが、初めて「自分の経験とかは傍に置いておいて、この会社がもっと世の中にインパクトを与えるための手助けをしたい」という気持ちで転職を考えました。ただ、当時まだnoteでやりたいこともたくさんある中で、「そもそも転職するのか」については今までで一番悩んだと思います。
最終的に転職の決め手となったのは、ちょうど、今までの自分の経験が役に立てられそうなフェーズであったことでした。今もし転職せずに、他の人事の人が整えた状態で後から参画するくらいなら、一番面白そうな今参加したいという気持ちになり、転職を決めました。
今は人事部の人事企画グループのマネージャーとして、人事部長の下でひとりで人事をしています。同じ部には労務のメンバーもいますが、人事は自分ひとりです。人事企画と採用をどちらも一人で担当しており、採用については本社と店舗の中途採用をそれぞれ担当しています。本社と店舗はそれぞれ求人が全く異なり、特に店舗は飲食業会全体で人手が足りていないこともあり、継続的に募集をしています。
人事制度の策定と運用もどちらもやっており、回せていれば格好良いのですが回っていない部分もあり、現在、絶賛人事担当者を募集中です。まだまだ整っていない部分も多いので、人事の範囲にとどまらず、色々な業務にチャレンジしたい方のご応募をお待ちしております!
今後は、業界の当たり前を変えるようなチャレンジをしたいと思っています。飲食業界は、「労働時間が不規則だったり、身体が資本で大変にも関わらず、給与水準も他業界と比べてそこまで高くない」という状態が「当たり前」になってしまっていて、なかなか採用も難しくなっています。この状態が続くと、どんどんなり手が少なくなってしまう未来が既に見えています。
弊社はその当たり前を変えることにチャレンジできる会社でもあるし、チャレンジしていかないといけない会社だと思っています。一社が変わることで、業界全体にスタンダードとして波及していくというのは今までにもあったと思うので、そういう良い動きが作れるように頑張りたいと思っています。
自分がワクワクする方へ、歩いてから考えても良いと思う
自分は、キャリアの逆算が苦手なタイプです。もし逆算できたとしても、きっと決めた道を歩くことにはあまりワクワクしないと思います。
過去にはこれからのキャリアについて聞かれた際に、自分の中にも答えがないことで「逆算できないキャリアじゃダメなのかな」という悩みを抱えていた時期もありましたが、最近は逆算できなくて良いと思っています。
その時ワクワクする方や面白そうだと思う方を選んで進めば、その時々では確実に楽しく仕事ができるし、キャリアの繋がりは後付けでも良いと思っています。実際に、一社目で何に役立つか分からなかった経験が、今になって参考になる貴重な経験になったという体験があり、その思いが一層強くなりました。
進んでから考えるというのは、決して気まぐれに転職を繰り返すべきだという意味ではなくて、そもそもキャリアに正解がないという前提に立って、歩いた道を後から振り返ったときに正解だったと思えるように、その時々で頑張るということなのではないかと思っています。
キャリアインタビューを最後までお読みいただき、ありがとうございました。インタビューの後編は人事のための無料コミュニティ「ひつじんじ」にて限定公開しております。コミュニティへのご参加申請はこちら よりお願いいたします。
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