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ドット絵『背伸びしたい年頃』

ここまで人間男女のキャラクターは16x16ドットのファミコンサイズを基準にしたものを「微妙に斜め」に見る感じで発展させて描いてきたわけですが、「さすがにちっちゃすぎる」と思ったわけです。

そうです、いまさらです。

ただ、先日の椅子に座る少年少女を描いたときに、いかにも「幼児」感が出ているのがけっこうかわいくて良い、これは小さい子どもということにしてしまった方が良い、とも思ったんです。

そんなわけで~、今回はもう少し背の高いハイティーン以上のキャラクターを描いていきます!

まずはサイズを検討する

これまでの24x24ドットのキャンバスのままでは大して背を伸ばせません。まずはどれくらい背丈を伸ばすかを検討しつつ、キャンバスのサイズを縦に広げます。

下準備:キャンバスの上方を8ドット広げて24x32ドットに。

とりあえず余裕をもって8ドット伸ばし、24x32ドットにしてみました。

頭身バランスのイメージは、昔の人気漫画『ドラゴンボール』で……ドラゴンボールとは……ドラゴンボールはさすがにまだみなさん知ってますかね。ジェネレーションギャップを意識しすぎて逆におかしくなるパターンになるところでした(もうなってる)。

とにかくその、ご長寿連載が続くなかで背が伸びていった主人公・悟空が最初にグニョっと背が伸びたときの前後くらいの関係にしたいと思います。

切り張りしながら身長を検討する

キャンバスを8ドット広げたからといって全身を8ドット伸ばすのはやりすぎです。頭のサイズを変える必要はないと思うので、胴と足をそれぞれ数ドット伸ばす想定で、「子ども時代」のドット絵をそのまま切り張りしてみます。

手順① 足先の位置は変えずに、腰や胴を上へ移動して調整。

おや、意外とこれだけでイメージをつかめるものですね。

ちょうど胴を2ドット、足を2ドットずつ伸ばすのがよさそうなので、あわせて計4ドット身長を伸ばすということに決めます。

行間を埋める

「人間の輪切り」状態は残酷ですから(?)、2ドットずつ伸ばす部分の空白、いわば「行間」を埋めます。

手順② 行間を埋める。

この段階ではあまり細かいことは考えずに、とにかく「行間」を縦につなげて埋めることを優先します。少女……いえ、もう「女性」ですかね。女性の左腕が酷いことになっていますが、今は気にしません。

結果的に全体のバランスは問題なさそうですが、腕以外にもいろいろ気になるところがあるので手直ししていきます。

足腰を調整する

まず、一番大事な腰から直していきます。

手順③ 足腰を調整。

子ども時代には胴も足もドット数が少なく、体が少し横を向いているとわかるように腰の境界部分を斜めのラインにする表現が難しかったことが思い出されます。でも今回は、ドット数が多いので余裕があります。シャツの右半分(絵的には左)の下にシャツの暗色を入れることで"斜め感"を出しています。

ただし、まだ男女の体型差までは考慮していません。腰周りの表現次第で胴や足の長さが変わってしまうので、まずはバランス確定のための暫定的なデザインということになります。

また、女性の靴が薄っぺらくてなんだか怪しい雰囲気になっているのを修正し、靴を縦2ドットにしました。子ども時代は"ソックス+靴"で2ドットしか確保できなかったのですが、今回は男子……男性にあわせることができました。

腕周りを調整する

次に、腕の周辺を調整していきます。

手順④ 腕周りを調整。

まず腕の太さと形を直していきます。男性の左腕(画面手前)のみ少しゴツく、前腕が太いイメージにしました。あた、子ども時代は「袖なし」か「半袖」かわからなかった半端な袖の長さも、はっきり「半袖」とわかるようにします。

そして、右腕を1ドット短くすることにしました。少し短かすぎるように見える気もするのですが、体が斜めを向いていることを強調するのを優先しました。微妙な差ですが、これ以前のように1ドット長いと体が少し前を向いているように見えます。本当は間をとって0.5ドットにしたいところですが、それができないのがドット絵のつらいところ! なのです。

胸部を差別化して男女差をつける

続いて、胸部を調整します。ここでの最大の目的は「男女差」を出すことになります。

手順⑤ 胸部の男女差をつける。

男女差をつけるといっても女性の胸を突き出すなど、アウトラインから変えるのではなく「塗り」の違いでがんばります。

微妙な差ではあるのですが、まず男性は腰の暗色を少なくして「寸胴」っぽさを出しました。これで相対的に、女性の腰は細いことになります。

さらにシャツの明色部分を男性は縦に広く、女性は上寄りにしつつ少し狭めました。こうすると、男性の胸部は垂直にストンと落ち、女性は胸のふくらみがある、ということを示せます。

ただし! この「胸の下に影ができる」という表現は、あくまで抽象的な表現であり、ウソになる場合があるので注意が必要です。

少し古いアニメなどでは「腹部は明るいのに、胸の下だけが暗い」とすることで胸のかたちを強調する一種の「エロコード」になっていることが知られています。胸の影を強調するために腹部を明るくすると、お腹が出ていて妊婦のように見えることもあり、かなり違和感があるんですけどね。そういうのを気にしないところが中学生男子っぽい表現でした。大人になれ。

最後に頭部を調整して完成!

さて、最後に頭部を調整します。

手順⑥ 頭部を調整。

子ども時代は頭部を含めて全体を縦にギュッと詰めざるをえなかったこともあり、背が伸びると男女とも髪に少し違和感があります。

特に女性は後部の長髪を持ち上げた感じにせざるをえなかったので、これを少し降ろしぎみに修正します。

また、男性も耳を強調する都合で後部の髪が描かれておらず「カリアゲ感」が出ていました。色気づいてくるこの年頃にそれは酷でしょうというわけで、耳の表現は最小限に抑え、代わりに後頭部の髪を少し増やしています。

なんだかドット絵を描くことそのものより、男女それぞれに配慮しなきゃならないことの方がたいへんな気がしましたが、以上で完成です!

こうして背丈・手足が伸びたキャラクターを描いてみると、身に着けるものもいろいろ描いてみたくなってきました。背伸びしたい年頃の、彼ら彼女らの気持ちが今になってわかったような気がしてなんだか不思議です。

(おしまい)


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