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マンション・団地で猫を飼おう計画

とてもとてもたいせつなことを最初に繰り返しておきますが、ぼくは猫好きではありません。好きな女性がいるのと"女好き"は違うように、ぼくは"猫好き"ではないのです。

ただ、出会ってしまった猫のなかに愛せない子はいない、ということは起こりうると思います。一般論ですけどね。一般論ですよ、一般論ですってば。

また、室内飼い反対派です。ただ単純に、猫たちには自然のなかで暮らす権利があり、それを奪う権利は人類にはないからです。でも、猫の権利を奪っているのは室内飼いをしている人たちではありません。これも、とてもたいせつなことです。

室内飼いを選ぶ理由はいろいろありますが、なかでももっとも正当性が高いのは"自動車という危険から遠ざけること"にあるでしょう。きちんと制御しきれない自動車という未熟な凶器を今も野放しにしていることは、人類の罪です。

そうはいってもあらゆる運送・輸送には間接的にお世話になっており、ときにバスやタクシーに乗る機会もあって、自動車の恩恵にあずかっていることは否定できません。罪はぼくにもあるのです。そして、猫を室内飼いしている人たちは、人類の罪から目を逸らさずに贖罪を行なう、清く潔い心の持ち主だと言えるでしょう。

いや、宗教の勧誘じゃないです。

ぼくはこれまでに12匹の猫たちと暮らしてきましたが、さまざまな別れがあって、今は誰もいません。

小学生のころ、学校へ行くと友達から猫2号が「ひかれてた」と友達聞かされました。たしかに昨晩、帰ってこなかった。でも、名前も知らない親切な上級生がどこかに埋めてしまったため亡骸を確認できず、ぼくは死を受け入れることができませんでした。

その日学校から帰って猛烈に泣いたあと、夜遅くまで猫の名前を呼びながら探し続けると、小さな声で返事が聞こえた気がします。でも、猫2号が姿をあらわすことはありませんでした。

その後もなんだかんだで猫と暮らしてきましたが、すべて戸建てに暮らしていたときのこと。昨年まで暮らしていたボロアパートはあまりにも狭すぎ、猫にはストレスになるのが明白だったので考えもしませんでした。

立ち塞がるペット禁止ルール

ただ現住居は集合住宅、いわゆる「団地」でファミリー向けです。ぼくら夫婦二人暮らしには無駄に広く、実は部屋が余っています。前住居が超狭かったので持ち物も少なく、猫が運動する面積を充分に確保できます。

ただし、規約(協約)的にはペット禁止です。

そうは言っても、猫は室内飼いしているぶんにはほぼ近隣に迷惑をかけません。借家ではないのでいくら汚そうと、匂いがつこうと、もしも売却することになったら自己責任でお金をかけて清掃・改修すればいいだけですから、本来ならルールで禁止される道理はありません。そもそも賃貸と分譲が混ざっているのに共通ルールにして、内装替えまで理事会の承諾を強いるのはやりすぎだと思うので、こんなルールに従う必要はない……と言いたいところですが、そうもいかない事情があります。

ひとつは、うちのおくさんはルールに非常に厳しいからです。ま、これはいざ猫を連れてきてしまえばどうせ捨てられないのでいいのですが、代わりにぼくが捨てられるのは明白ですから相応の痛みを伴います。

ペット禁止ルールがあると、そもそも猫を連れてくること自体が難しくなるという問題もあります。室内飼い反対派なので、野良猫を拾ってきたり、外に出されている猫を譲られて室内に閉じ込めることは避けたいのですが、すると、保健所で殺処分を待っていたり、保護ボランティアさんなどによってすでに室内慣れしている、室内飼いでもマイナスにならない猫を引き取るしかありません。ところが譲る際の条件として「ペット禁止の環境に引き取ることは認められない」ケースが多々あり、これは引き取られたペットの居場所を安定させるために必要なことなので、やはりペット禁止ルールを蔑ろにはできないのです。

なおペットショップで買うことは絶対にありません。

ペット禁止ルールをどうにかするには

というわけで、答えはひとつ。ペット禁止ルールを廃止または緩和させるしかありません。

まじめに管理組合の規約をきっちり読み込んでみました。

管理組合の規約(協約)には、規約の変更は組合員(=各戸所有者)の3/4の賛成が必要とありますが、その他の議案については1/2とのこと。協約を規約に含むか否かは明示されていないので1/2で良いはずです。ただ、この場合の「その他」は共有スペースの改築などを想定しているでしょうから「協約も規約のうち」と言い出す理事がいると厄介なことになります。決議にかける議案を提出する条件について明示されていないことも気がかりです(訂正:協約も規約に含まれるとありました)。

でも1/2でいいなら、根回しなしでも可決させられそうな気もします。もし否決されたとしても、議案の再提出を拒む規定がないため毎年出し続ければそのうち通せそうです。ただ、「通るまで再提出」は、かなり倫理に反することなので個人的にはやりたくありません。

また、いくら猫などの小動物なら近隣に迷惑をかけないといっても、ペット禁止を前提に越してきたのにあとからペット可になるのは気に入らないという人はいるでしょう。迷惑がかからないなら隣家がペットを飼おうと飼うまいと関係ないのですが、そういう道理をわかる人ばかりではないことも知っています。それに、可能な限り全会一致を目指すのが民主主義の理想です。

とはいえ団地の敷地内には野良猫がやってきています。

しかもこちらはまだ越してきたばかりのペーペー入居者ですから、先輩方の反感を買って、逆に「ペット、ダメ絶対」の空気を作ってしまっては本末転倒です。

自民党が「悲願」と言いつつずっと改憲発議をせずに来たのには理由があります。ぼくは自民党を支持しないし、政権担当能力が自民党にしかないなんて思いませんが、それでも彼らに学ぶことはあります。

一度否決されたものを単純に再提出することは議会の悪用であり、これぞ数の暴力ですから、繰り返せば人々の心は離れていきます。「勝てるかどうかわからない勝負はしない」というのは鉄則で、そこは政治屋だからこそ自民党の中核にいた人たちはよくわかっています。結局、議案の再提出制限などどうでも良くて、もとより「一度負けたら、二度目はない」という覚悟が必要なのです。

そんなわけで、ペット禁止ルールをどうにかすることを目標に、その実現性を高めるにはどうしたら良いかを考え、徐々に行動に移していこうと思います。おそらく日本のどこかに前例があるでしょうから、それも調べる必要があります。

なんにせよ長い時間をかける必要があることなので、すぐに続報をお届けすることはできないのですが、追って経過を報告していくつもりです。これを読んでくれた、他の地域のペット禁止住宅に暮らす人たちとも連帯して、いっしょに考えていけたら幸いです。

まあ、まずは自分は近隣に信頼される入居者にならないといけないんですけどね。そういうのはなかなか苦手なので、前途多難ではあります。

なおタイトルに使用した雪景色&あやしい足跡は、階下の部屋を訪れている猫のものと思われます。たまに大きな声で鳴いて、その後すぐに姿を消す黒猫がいるのはわかっていたのですが、まだその姿を写真に収めることはできていません。でも一昨日の降雪で、こうして味方になってくれそうな人がどこにいるかわかったわけですから、これこそ"小さな一歩"になると信じたいと思います。

(つづく)

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