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【書店さんを元気にする全国出張】岡山→高松→松山編 5/31-6/2

一人営業&孤独のグルメ。5/31の朝広島駅を立ち、福山で途中下車して、正午ごろには岡山駅に到着。午後から書店様にご挨拶いたしました。翌朝岡山から高松に移動。午前中に最初の書店様にうかがい、お昼に讃岐うどんをいただいた後、午後にもご挨拶まわり。16時前の特急に乗って移動し松山駅に前日入りしました。

松山駅に降り立つと自動改札はなく、改札に駅員さんがズラッと並んでお出迎え。笑顔を交換し切符を渡しました。めっちゃ懐かしかったです。また、改札を通った後に目の前に開ける駅前の姿も昭和の風情がたっぷり残っていて、思わず「ただいま」と言いたくなりました。

翌日、中四国出張のご挨拶を全て終えた頃には、ふくらはぎがパンパン。でも充実感が全身を包んでいました。駅から空港までタクシーに乗ったのですが、運転手さんが色々あって駅前の再開発が進まず、駅前に何もなくて申し訳ありませんと言ってました。

でも僕には逆に、全てがあるように感じました。他の地方都市の再開発された真新しい駅には無いものがあったのです。そんな思いになったのも、きっと素敵な書店員さんとの出会いがあったからに他なりません。感謝の思いとともに瀬戸内の夜景を眺めつつ、最終便で東京に向かったことは忘れることはないでしょう。

5/31の移動距離188.5km 11,939歩
6/1の移動距離266.2km 9,136歩
6/2の移動距離705.0km 12,170歩

(岡山編)

▼啓文社岡山本店様

▲そんなに売れてるなら読んでみたい!と思わる展開
店頭のランキング展開をみると「売れてるなら面白いだろうから、自分も読んでみよう」という気持ちになります。この写真のように、そのお店で実際に売れた冊数を掲出するというのも凄い訴求力だと感じました。売れるたびに数字を変えなければいけませんので、店員さんの手間はかかります。でも逆にいうと「そこまでしても売りたい」と思わせる作品なんだ、という店員さんの心意気も伝わってきますよね。
▲書店さんごとに偏愛している作家さんがいてもいい!
『首都崩壊』で有名な高嶋哲夫さんは、地元岡山県の作家さんです。効率を求めるとどこに行っても同じような本を売るようになってしまいます。結果として「金太郎飴書店」などと揶揄されるようになった現状を変えるには、思い切った展開が必要なのではないでしょうか。今回の出張では伊岡瞬さんなどのコーナーをお作りになっているお店が目立ちました。

▼宮脇書店岡山本店様

▲入り口では岡山関連商品がお出迎え
この他、晴れの国岡山検定テキストなど、多面展開をされていました。この中から僕は「岡山弁トランプ」をチョイス。アナと雪の女王のトランプがボロボロになっていて、ジョーカーがどれかわかるようになってしまいババヌキができなくなっていたので、子ども達に喜ばれました。岡山出身の妻は「岡山弁」をみてツボってます。帰宅後箱の裏を見ると、地元の出版社・吉備人出版さんの文字。トーハン時代に仕掛け販売しようとしたことを思い出しました。地方の出版社さんも応援したいですね!
▲宮脇書店員が選んだ2021年いま読むべき5作品!『ミヤボン』
仕入、パネル作成、什器。。。これだけの装飾をするにはかなりのパワーがいると思います。店頭の一等地のエンド台で展開されており、入店されたお客様がよく足をとめられていました。5作品の中には全国的なベストセラー本も含まれてますが、面白い切り口の本もありました。思わず手が伸びましたよ!

(おまけ)自腹出張グルメ

▲今日のお昼は福山駅で駅弁!漫遊弁当
最初、広島だけに「あなごめし」が目に入りました。でも途中で飽きそうだなと思い目を移すと「広島牛弁当」を発見。どちらも捨てがたいなと思っていると、両方入っている「漫遊弁当」の存在に気づきました。中身がわかるようなディスプレイがしてあったので、気づいたのです。弁当って、名前だけでは何がどんなふうに入っているのかわかりませんよね。でもこれは本も同じ。そのためオビやPOPや場合によっては「はじめに」まで読んで、購入検討をするわけです。満足度120%の昼食を楽しみながら、本の販促方法に思いをはせました。

(高松編)

▼TSUTAYA 高松サンシャイン通り店様

▲充実の児童書コーナー
店員さんにお話をうかがったところ、ファミリー層が多く児童書が強いとのこと。児童書売り場に行ってみると、広くて清潔な売り場に僕の9歳の息子が狂喜乱舞しそうな本が並んでいました。この日は平日の昼間だったので、タリーズでコーヒーを飲みながら読書されている若い方の姿が目立ちました。2階のカフェ席からの眺めもよく、ロードサイトのめっちゃ落ち着く書店さんでした。
▲ゴールデンゾーンの面陳は通過できません
本の顔である表紙には様々な工夫が凝らされています。視線の高さでそれがズラリと並んでいると「ちょっと、ちょっと、見ていってヨ」と呼ばれているような気がして、通過することが難しいです。上下に7段ある棚に並んだ本になかの特に「おすすめ」の本を面出しするというのは、書店員さんの腕の見せ所ですね!

▼くまざわ書店 高松店様

▲書名は何?な面陳展開
表紙に書かれてある「あなたは必ず涙する」はキャッチコピーです。とすると、書名は一体どこに?と思ってふと上をみると、パネルに『水曜の朝、午前三時』と書いてありました。ここに書かれているように、読書家の児玉清さんが絶賛したという伝説的なベストセラーです。本書に出会った幸運な方は、絶対買って読んでみたほうがよいと思います!
▲充実の書評コーナー
書評本のコーナーが設置されている書店さんは多いですが、紙面を掲出するだけでなく、手書きのPOPが添えられており大変充実していました。ゆめタウンというショッピングモールの中のお店なのでコミックや学参本の売り場が充実していました。でもその一方で、ゴリゴリとした歯ごたえのある人文書をお薦めできているあたり、書店員さんの教養の高さがうかがえました。

(おまけ)自腹出張グルメ

▲やっぱりお昼は讃岐うどん!
うどん用の小麦「さぬきの夢」をブレンドした、のどごしの良い逸品でした。タクシーの運転手さんにきくと、地元の方たちが500円以内で食べられる昼食として愛用されているお店とのこと。「そりゃあ行列店はあるけど、どこ行ったって旨いんです」とおっしゃっていました。出張の時は、貴重な時間を使って遠くの行列店にいく必要はないな、と痛感させられた出来事でした。シンプルイズベスト、日常イズベストですね。

(松山編)

▼SerenDip 明屋書店 アエル店様

▲よくお店にもこられるという縁の作家さんの本をイチオシ!
『店長がバカすぎて』という本をイチオシする店長の度量の大きさってありますよね。さらにこの店では「この本をこんな目立つ場所に置かせてくれる、うちの店長は優しい」というPOPが掲出されていました。「優しい」のところに「・・・」が付いている所が意味深ですが・・・(笑)。早見さんは書店員さんのファンが多い作家のお一人ですが、こういう展開ひとつとっても愛される理由がわかりますね!
▲セレンディップという言葉の意味がわかる売り場づくり
多くの書店さんでは、雑誌/書籍(ジャンル別)/雑貨というように売り場がわかれています。管理はラクなのですが、そうすると関連購買が生まれにくくなってしまいます。偶然の出会いを意味するセレンディップという言葉を店名にしているこのお店では、関連購買が生まれやすい商品提案をされています。最近話題の自律神経に関するフェアの売り場でも、いろいろなジャンルの書籍やムックなどで島を掲載されていました。写真の向こうには雑貨売り場もみえますね。

▼紀伊國屋書店いよてつ高島屋店様

▲今回多くのスーパーで青い梅をみかけました
僕の母も毎年、この季節は梅を漬けていました。この出張でモール内の書店さんに訪問させていただく機会も多かったのですが、その入り口付近で走りの梅が並べられていましたね。季節だなぁと思いました。百貨店のなかに入っているこのお店では、梅を漬ける世代の方も多いのでしょう。僕がお店にいる間も、ご婦人がこのコーナーに何名もいらしてました。ちなみに、この売り場の通路の反対側の東急ハンズで「梅の種抜き」の器具を売っていました。
▲文庫のエンド台の特別什器。迫ってきますね!
手前に並んでいるのは道後温泉を舞台とした小説です。最新刊が出たばかりのようで作者の方のサイン色紙付きで新刊コーナーで売られていただけでなく、文庫売り場のエンド台でこうして大きく訴求されていました。きっと売れるんでしょうね!隣のエンドもこの什器が使われており、時代小説の展開がまた圧巻。本日天気晴朗なれど浪高し。坂の上の松山城のように、季節感と地元感を取り入れた素敵な売り場でした。

▼明屋書店中央通店様

この3月にオープンしたばかりの新しいお店です。お店をグルリとまわって、僕が感じたのは店員さんの爽やかな熱意でした。おすすめ本と他の本の黄金比というのがあるとしたら、このお店がそれを実現しているのかもしれません。爽やかな熱意と書いたのは、そういう意味です。

おすすめ本だらけでも、どれを読めばいいかわからないじゃないですか。でもこの書店さんの中を歩いていると、とっても自然な形で本に出会えます。今回はその中でも、僕の足をとめたPOPを4つご紹介します。ちなみにTwitterで「#明屋書店POP職人」で検索すると、全国の明屋書店書店員さんの手書きPOPが表示されるのでチェックしてみてくださいね!

▲え!そんな本だったの!?と僕をレジにむかわせたPOP
僕は話すのが苦手なのですが、相手の人次第で気持ちよくお話しできることがあります。そのため僕は「伝わらない相手のときどうしたら良いんだろう」という課題を抱えていました。今回の出張で本書は何度も目にしてきていましたが、表紙だけでは残念ながら、それを解決してくれる本だとは思えませんでした。でもこのPOPを読んだとき、ビビッと電流が走ったのです。かんき出版さん、このPOPの全国展開をご提案します!
▲POP付きの本が並んでいました
ひそかに店員さん同士でバトルをしてたりして…。と感じましたが、そんなことがあっても楽しいですよね。売れた冊数をカウントして表示(日々更新)しても面白いかもしれません。僕は、高齢の母がいるので左の本に惹かれましたが、Twitterの創作漫画が小説になるという展開もまた興味深かったです。
▲過日他界された瀬戸内寂聴さんがモデルとした小説
この出張では、瀬戸内寂聴さんの追悼フェアをよく拝見しました。でも基本的にはご本人の著作が多いんですよね。そんな中で目にしたこのPOPに僕は釘付けになりました。若い頃に寂聴さんの本を読んで励まされましたが、この本の存在は知りませんでした。出会いをくれた書店員さんに感謝です!
▲原田マハとグルメの組み合わせ。読まずにはいられない!
僕は原田マハさんの小説が大好きです。美術への造詣は深いわけではありませんが、美術館に行くのも好きです。しかしそれ以外にもう一つ、共通点が見つかりました!それはグルメです。本書を見つけてレジ直行。美術ではかないませんが、グルメでは肩を並べるところまでは行きたいなぁ。

(おまけ)自腹出張グルメ

▲小松菜と松山あげの煮びたし
東京小松川と松山の味が愛媛で出会いました。カウンターに置かれていたのを目撃して「これは食わずにおくべきか!」と早速注文。出しのきいた薄味の味付けも申し分なく、あげも小松菜も新鮮そのもの。帰り際にもう一回注文してしまいました。松山は「鯛めし」が有名ですが、地元の方が普通に食べているこういう料理に出会えるのも幸せですね。


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