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イメージと現実は違う

イメージだけで判断せず、それが本当に正しいのかを計測することはとても大事です。「正しそう」というイメージだけで先行する人は多いですが、検証がなければただの意見にすぎません。

今回は、イメージと実際の現実が大幅に違ったために、大きな損害を被った例を一つ紹介しましょう。

子供も遊べて、水も汲める「プレイポンプ」

貧困国では、水汲みが大きな問題となっています。水を汲むために遠くまで行き、長い時間ポンプを動かし続ける。これは結構な重労働です。そこで慈善団体が水汲みの問題に悩む貧困国のために、イノベーティブな水汲みポンプを寄付する活動を始めました。それが「プレイポンプ」です。

公園にあるメリーゴーランドのような水汲みポンプであれば、子供が遊びつつ水汲みもできるだろうという考えで、従来よりも大型のプレイポンプが貧困国に寄付されました。

確かに、子供の遊具もなくて水汲みにも困っている貧困国で、二つの問題を一度に解決できるのであれば、なんてイノベーティブなアイデアなんでしょう。実際にこのアイデアを聞いた時、子供が遊びまわって母親は水汲みの労働から解放されるような素晴らしいシーンが想像できます。

実際、この活動は数年間でとても大きなものになり、多くのがメディアで登場し、有名人からの寄付も多く集まりました。現地の声が正しく慈善団体に届くまでは・・・

想像通りはいかない

しかし現実はそう上手くはいきません。プレイポンプの結果は散々でした。重すぎるせいで想像していたように子供は遊美ませんでした。回してもすぐ止まるメリーゴーランドでは何も楽しくありません。しかもプレイポンプは水を汲むにも使いにくい。従来の水汲みポンプに比べて5倍の労力がかかります。

結局現地の人からは、「従来のポンプのほうが良かった」という声が伝わり、プレイポンプは徐々になくなっていきました。

「正しそう」ではなく「本当に正しい」

このエピソードから我々が学べるのは、正しく計測することの重要性です。現地の意見が慈善団体に伝わらなかったことによって、このプログラムは数年間行われ、その間に1800台ものプレイポンプが設置されました。これらは従来の水汲みポンプより値段が高い上に使い物にならないゴミです。

こういった取り返しのつかない損害になる前に、自分たちのやっていることの効果を正しく調べる癖をつけましょう。特に誰かのための行動は、効果の計測をサボってイメージだけで語りがちです。しかし、世の中にはイメージの罠がたくさん潜んでいます。人のためだからこそ、その人が幸せになるかをしっかり確認して行動しましょう。そうすれば、おのずと「正しそう」ではなく「本当に正しい」行動をとれるようになるでしょう。 


参考 <効果的な利他主義>宣言! ウィリアム・マッカスキル

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