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ファンタビの登場人物を考察する

私と私の書く記事についてです。

前回の記事に続いて、「ファンタスティック・ビースト 黒い魔法使いの誕生」(以下:ファンタビ2)についてです。
今回は、同作の登場人物について私が印象に残り、いろいろ思ったことを特に気になったキャラクターをピックアップしました。
テレビで放送されて、改めて気持ちを整理できたんですよね。

当記事には、「ファンタスティック・ビースト」シリーズ及び「ハリー・ポッター」シリーズの著しいネタバレを含みます。
閲覧の際はご注意ください。

(参考までに前回の記事です)

クイニー・ゴールドスタイン

一度見て、また再度本編を見た後のクイニーって、もうつらくて見ていられないんですよね。
本当に尖っていて。繊細で。脆い。

見れば見るほど、彼女の情緒の不安定性について、作中で本当に細やかに描写されています。
それがとてもつらい。
恋をすると周りが見えなくなって相手や周りに傷つき、傷つけてしまうことはありますが、それが顕著すぎる。見ていられないんです。本当に、どこまでも真っ直ぐで不器用で…。

クイニー・ゴールドスタインを演じたアリソン・スドルは自身の演じる役について「とても純粋」であると語っています。

このアリソンの発言と、クイニーの作中の描かれ方・演じ方はそれにマッチしていると思いました。完全に「ハマって」います。
だから、こんなに受け手にひしひしと伝わってくるんです。感情移入して、ただただこっちまでつらくなる。


私が思ったのは、クイニー・ゴールドスタインという人物像です。
クイニーは開心術が生まれつき優れており、「人の心が自ずと読めてしまう」魔女として描かれています。
作中ではクイニーが街の雑踏の中、周囲の人々の声が聞こえすぎて思わず耳を塞いで立ち竦んでしまう場面があります。
そして、彼女の現状、その後の展開。

私もそうなんですけど、「クイニーみたいな人」っていますよね。それぞれ個人差はあれど。
もちろん魔女ではありませんよ。あくまで人の、性質としての範囲内です。
こういう、繊細すぎる人。
不器用で、真っ直ぐすぎる人。

周りのことが気になりすぎる。
心の声というか、直感的に相手の考えていることがわかってしまう。
相手の口から出る言葉は飾られた偽りであり、心の中の事柄こそが、全て真実だと思ってしまう。
傷つきやすい。
相手を理想化して、それを求めてしまう。

なんかもう、共感性羞恥みたいな感じじゃないですけど、自分のことみたいで感情移入しすぎちゃったんですよね。
私もクイニーみたいなことを思ったり、考えてしまっていたことがあります。
それはとてもつらいことだし、今ではそれが全部正しいとは思いません。自分の持つ性質や考え方を尊重しながら、「都合がいいように」生きることが大切だと思っています。
そこに至るまで、時間がかかりました。

作者であるJ.K.ローリング女史って、私や世界にたくさんいる「こういう人」を絶対意識して登場人物像を作っていますよね。
いや、無意識かもわからないですが、ただの「開心術に長けており、マグルと恋をしている魔女」じゃないんですよね。
魔女じゃなく、それ以前になんて人間らしいんだと思わざるを得ないんです。

この人間らしさは、ハリーポッターに出てくるセブルス・スネイプや、アルバス・ダンブルドアに通ずるものがあると思います。
どこまでも人間くさくて、愛に溢れた人です。
高潔で完璧に素敵な人とは言えないけど、魅力的だと言わざるを得ません。
どこか、好きになっちゃうんですよね。

私、ファンタビではテセウスお兄ちゃんが大好きなんです。
優しくて、強くて、自分の愛する人を大切にするところ。あとかっこよくて、背が高いところが好きですね。

ですが、物語を見れば見るほど、彼女の人間性が深くて。放っておけなくて。クイニーめっちゃ好きじゃん…と思いました。
そんな彼女の現状と心境をグリンデルバルドに利用されてしまっていると思うと、いたたまれないです。
どうにかジェイコブと結ばれてほしいし、彼女に幸せな未来を与えてほしいと思っています。

リタ・レストレンジ

同様に、リタ・レストレンジも見れば見るほど、その度につらくなってしまう登場人物です。
彼女を取り巻くすべての設定が重すぎるんです。

理不尽な幼少期・学生時代を歩んできたこと。
ニュートに心を許し、今も特別な感情を持っていること。(当人にしかわからない。)
そんなニュートの兄のテセウスの婚約者であること。(理由は語られていない。)
幼いほんの一瞬の行動で、意図せず「弟」を死に至らしめてしまったこと。
それを、誰にも言えるわけがないこと。
でもそれを、暴かれてしまうこと。
最後は勇敢に、グリンデルバルドに立ち向かったこと。

もう、設定過多のような気がします。
ただただ、物語に深みを与えるために、このようなキャラクターが生み出されたんだろうかと。
彼女を物語(今回のファンタビ2の)キーパーソンたらしめるために、悲痛で複雑な設定を多くしすぎたのではないか、とも思えてしまいます。

内容過多で展開が急とも言われる同作の中でも、このように重要人物である彼女の内容は比較的丁寧に語られています。
最後まで見て、彼女の人生や心境を想像するとただただ悲しくて。
もう、いいでしょう…と思ってしまうんですよね。

まあさすがに、次作でも触れられると思うし、何らかの形で彼女が報われてほしいなと思わざるを得ません。
あと、テセウスといざ婚約するという柄なのに、それを作中で全く語られてないのも個人的にはかなり残念でした。
まあそれ含め、リタ全般は次作で掘り下げてくれると思いますが。

あと最後に気になったんですけど、「レストレンジ家」について。
ハリポタでレストレンジと言ったら、「ベラトリックス・レストレンジ」が印象に残りすぎているんですけど、彼女とリタは何の関係もないんですよね。
ベラトリックスはブラック家の娘です(結婚してレストレンジ家の嫁になった)。ベラトリックスの夫であるロドルファスとリタが遠い親戚の可能性があるというだけ。作中においては、同じ姓を持っている、というだけに過ぎません。

本作ではかなりレストレンジ家が純血派の特に過激な人たちみたいに描かれていましたよね。家系図の話とか、家主の話とか。
そこは案の定って感じで、私たちにベラトリックスの刷り込みがあったので、その設定はスッと入ってきたんですがね。
まあでもハリポタ時空のベラトリックスは学生時代はブラック家だったので、リタみたいな状況とは一切無縁だったんだろうなと思うと、そこも対比的なんだと思わざるを得ません。(まあそもそも性格が全然違うけど)。

ナギニ「という女性」

ナギニについては、ハリポタファンならでは悶々とした気持ちがありますよね。彼女の行く末を知っているからです。

ナギニは、マレディクタスという血の呪いを背負いながらも、自分の意志を明確に持った強い女性です。
グリンデルバルドに唆され、彼の元に行こうとするクリーデンス。
自分が何者か知りたい。その一心で彼はグリンデルバルドの側につこうとします。
彼女はクリーデンスにこう言いました。

生まれがわかったからって何?
あなたはあなたでしょう?

なんて気高く立派な考えでしょうか。
そう、生まれなんてどうだっていい。大切なのは、どう生きるか。どんな人生を歩むか。
それが大切だと彼女は考えていました。

うーん、つらすぎます。
先程も書きましたが、私たちは彼女の行く末を知っているからです。

彼女は近い将来、人間としての自我を失ってしまいます。
そして経緯を持って、最悪の闇の魔法使いであるヴォルデモートに魅入られ、分霊箱という世にも恐ろしいマジックアイテムにされてしまいます。

なんて残酷なんでしょうか?
こんな惨い運命があるなんて。
ナギニがただの大蛇なら、こんなにつらい想いをすることもありませんでした。
でもこんな過去があるのだと知ってしまったら、いろいろ思わざるを得ません。

でも、彼女は確かにこういう強い意志、自立した考えを持っていたんです。
どういう経緯でも、もし彼女が「選んだこと」だったら。私は理解してみようと思います。
絶対に意味があると信じています。こればかりはさすがに信じさせてもらわないと困りますね。

最後に

ファンタビ2の登場人物に改めて想いを馳せてみました。こうやってみるとやはり、全体的につらい運命を背負いすぎ。
ファンの間では、「前作がハリポタでいう“賢者の石”なら、今作はいきなり“謎のプリンス”」みたいな風に言われています。
それくらい前作と打って変わってダークな雰囲気が前面に出ています。だからこそ、受け入れるのに時間がかかっちゃったんですよね。
「魔法使いの旅」は本当にウキウキワクワクのファンタジー映画だったのに。
やっぱ「黒い魔法使いの誕生」はハリポタと世界観を共有しているローリング女史の作品だなって。いやー、きっついなあ…。

ファンタビ3においては、グリンデルバルド役のジョニー・デップの降板、それに伴いマッツ・ミケルセンが後任に正式発表されました。
本編の全米公開も、2022年7月15日を目指し制作中ということも明かされています。
ファンとしてはただただ待つことしかできないですが、必ず前には進んでいます。

早く続きが見たいです。楽しみですね。

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